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その後①強制告白
命令には背けない
しおりを挟むハヤトに監禁めいた事をされ始めてから、一週間が経った。魔力は返して貰い、学校にも行けるけど、帰る場所はここ。私は毎日のようにこの屈辱的な行為を強要された。魔法をかけられてしまい、操られ、抵抗どころか進んで彼と繋がってしまう日々。
勉強は最低限しかさせて貰えなくなった。ハヤトが本を読んだり、課題をこなしている間は、ベッドの上からそれを見ながら自慰をさせられる。夜になり、課題をする時間の足りなくなった私は彼にお願いして写させてもらうしかなくなり、当然、成績はみるみるうちに下がっていった。
その代わり学校にいる間は付け回される事がなくなった。でも助けを求める事は出来ない。先生に言おうとすると、いつの間にか後ろにいて、いつもの落ち着いた話しぶりで先生をまんまと騙してしまった。すでに彼は人望を集めていた。生徒会長に推薦されたのを断ったと聞かされた程だ。私は彼を妬むあまり妄言を吐くようになった面倒な生徒として扱われ、また友達とも未だに関係を直す事が出来ずに、誰かに助けて貰うという選択肢も失った。
こうして学校が終わると彼のホウキに乗せられ、今日もこの恥辱が待つ地獄の小屋へと帰るしかなくなったのだった。
「ん……」
ハヤトとの行為で疲れて眠ってしまっていた。目が覚めると、乱れていたベッド周りは整っていた。彼が用意した白いワンピースを着せられている。体も拭かれているみたいだった。
私に性欲をぶつけているだけかと思いきや、彼は終わった後も私を放置する事は無かった。いつも私が起きるまで、そばにいて髪を撫でながら見つめていた。
「オリビア……起きた?」
ぼうっとした頭で、ハヤトに差し出された水を飲む。最初は思い切り弾いていたが、そんなささいな反抗では何も変わらない毎日に、私は素直にコップを受け取るようになっていた。
意のままに私を操る一方で、雑に扱ってくる事の無い彼に、優しさを感じ始めてしまう。私はおかしくなってきているかもしれない。毎日体を重ねて、たっぷりとキスをして、好きだと叫ばされている内に、本当にハヤトの事が好きなのかもしれないと思った時もあった。そう思い込んでしまった方が楽なのかもしれないけど、まだ理性は残っているようで、すぐに我に返る。
そんな私の心の動きにハヤトも勘づいたのか、私がコップの中身を飲み干したのを見届けて、嬉しくない提案をした。
「そろそろさ……学校でもイチャイチャしたくない?」
「…………え?したくないけど」
また何か企んでる……そう思った私は、ハヤトの提案をすぐに拒否した。しかし、ハヤトは私の言葉が聞こえていないかのように続けた。
「今は周りに内緒にしてるだろ?でもさ、時間ずらして登校したり、ランチタイムも一緒にいられないのも嫌になってきたんだよね。せっかく付き合ってるんだからさ、もっと堂々としたくないか?」
呆れた。ハヤトは今の状況に飽き足らず、この関係を公言したいと言っている。あなたから離れられる、私の唯一の休息時間も奪うというの?本当に悪魔みたいな人。
「私は付き合っているつもりは無いわ。あなたに無理矢理言わされて、動かされているだけ。逃げられないから、ここにいるだけ。勘違いしないでくれる?この変態魔法使い」
自由を取り戻した口で罵る。さすがに怒らせるかと思って言ったのだが、意外にもハヤトは私の発言を受け止めた。
「じゃあさ、学校で改めて僕に告白してよ。みんなの前で」
「は…………?」
怒りで頭が沸騰しそうだ。ひくひくと頬が震える。苛立ちを隠せない私に、ハヤトは平然と説明した。
「僕ね、他の女の子たちの告白断るの面倒になってきたんだよね。だからって、オリビアと付き合ってるなんて僕の口から言うのも癪じゃないか。君が先に僕の事好きになったんだから、僕の事しか考えられないってみんなの前でもう一度言ってくれたのを受け入れる所を見せれば、それで説明つくだろ」
ハヤトの言っている意味が、何一つ分からない。私から告白……しかもみんなの前で?ハヤトの事好きでもないのに、すでに閉じ込められているのにどうしてそんな茶番までしないといけないの?嫌だ……気が遠くなりそう。どこまで私を支配する気なんだろう。
わなわなと拳を作って震わせていると、ハヤトは杖を見せつけてきた。彼の杖は私を脅す手段となっていて、私は見ただけで体を硬直させるようになってしまっていた。
「勇気が出ないならこれで協力してもいいよ。でも僕は、オリビアの言葉で言ってくれた方が嬉しいな。どうしても恥ずかしいなら仕方ないけど、その代わり大胆で過激な告白をして貰う。どうする?」
杖を振るような素振りをして、選択を迫られる。本気なんだ……断ったら操られて、もっと酷い事になりそうだ。私は拳を膝に叩きつけて、ワンピースの裾をぐしゃりと握って、歯を食いしばった。
「分かった……やるわよ」
「オリビアならそう言ってくれると思ったよ。じゃ早速明日お願いね。ああ、楽しみだ」
ハヤトは私の頭を撫でながら、恍惚とした表情で言った。
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