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第四章 非公認のカップル
17話 その才能に託して(※)
しおりを挟む「素直に飲まなかった罰だ。飲みますというまで、こうしてやる……」
ワルフはソファの上であぐらをかき、胸の辺りまで服をめくった。露わになった下着姿を食い入るように見つめる。
「白。予想通りでつまんねぇけど、お前らしい。本当は普通の大きさでゆっくり脱がしたかったけど、言うこと聞かないから仕方ないよな」
屈辱的な恰好にオリビアは恥ずかしさに赤面するが、体を動かそうにも彼のたった二本の指によって簡単に押さえつけられてしまう。苦悶の表情を浮かべるオリビアをあざ笑うように、彼の手が全身を大きく撫でまわす。
「やめて…お願いワルフ…」
オリビアの声など届かない。ワルフは嬉々として近くの棚へ手を伸ばした。
「ここは古いけど、色々と道具はそのまま置いてあるから便利なんだよ。例えば、これなんか使えそうだよな」
引き出しの中をごそごそと漁っていたかと思うと、ビッと何かが切れる音がする。振り返ったワルフが指に貼り付けていたのは、透明のテープだった。
「……!!」
もがくも抵抗むなしく、頭の上に持っていかれた両手首にテープが巻きつけられる。強い粘着力のそれが体の自由を奪っていく。ワルフは抵抗する事の出来なくなった彼女のブラジャーに人差し指を引っかけた。流行りの色形がある事は知っているが手を出せない性格のオリビアらしい、地味なものだが、彼の興奮は増すばかりだった。
「俺は好きだぜ。純情そうだし」
勢いよく剥かれたオリビアの乳房がぷるんと揺れ、ワルフは喉を鳴らす。そのまま黙って、人差し指でオリビアの胸を突いた。人形と違って当然柔らかさのある膨らみを初めはそうっと押し、押し返す力に今度は指に力を入れて突き、その感触を繰り返し楽しんだ。
「柔らかい……触り放題だ」
オリビアは顔を背けて耐え続ける。ワルフは中心を避けてしばらくふにふにと揉んでいたが、次第に中心へと指を近づけていった。
「……!や、」
その指先が頂に触れ、オリビアの体がびくりと震える。ワルフがにんまりと笑い、大きな指の腹でそこをゆっくりと撫で始めた。
「可愛いな」
オリビアは足をばたつかせるが、ワルフは全く意に介さず、両手の指で双丘を何度も優しく撫で続けた。人差し指で腕を万歳させるように押さえつけ、親指で胸の先端を押しつぶす。小さなオリビアの反応を見て一番感じる力加減を探り当てると、彼女の息は少しずつ荒くなっていった。
「うぅ……やめてよ……はぁ、はぁ」
「やばい、これめちゃくちゃ興奮するな。ほら、どうだ?今度は弾いてやろうか」
そう言って、両手で同時にぴんと先端を弾かれると、オリビアはその刺激に思わず背中を浮かせてしまった。
「あっ!」
「可愛いな。素直でいいぞ」
味をしめた親指に何度も繰り返される。大きなワルフからは逃げる事が出来ない。オリビアは悔しい思いと裏腹に、快感の波に我慢出来ず女としての反応を見せてしまう。
「あっ、あっ」
意識を保とうと目をつぶり耐えようとすると、今度は円を描くようにくりくりとこね回される。執拗にそこだけを延々と弄られて、オリビアの理性は限界を迎えつつあった。
「口が開きっぱなしだぜ、だらしねぇな。そんなに感じてんのかよ」
「や…ああ……ん」
与えられる刺激からは逃れられない。恐怖だけだった感情が、次第に快楽に支配されていく。オリビアの意思に反し、抑える事の出来なくなった声が大きく漏れる。
「そうだよな、そろそろ我慢出来ないよな」
ワルフの指は赤く色づいたそれをぐりっと押し潰した。
「!!」
(いや……いやだ!気持ち良くなりたくないのに!)
強い刺激に腰が揺れ、オリビアは再び背中を反らせた。構わず胸をいじり続けられ、頭の中は真っ白になっていった。
「まだ終わらせないぞ。飲むと言うまでな」
ワルフの無常な言葉が頭に響く。オリビアは選択を迫られた。
(もう限界……でも、これを飲んでしまったら……)
そう簡単にワルフの要求を受け入れる訳にはいかなかった。ハヤトのために、我慢しなければ。わずかな理性で必死に耐える。
「しぶといなぁ」
舌打ちしたワルフは突如指での刺激をやめ、オリビアの体を持ち上げた。さらけ出されたままの彼女の胸へ向かって、舌を出して吸い付く。
「んっ!いやぁっ!!」
大きな口に左右の乳房がまとめて覆われた。舌で胸全体を舐められ、強い力でじゅうっと吸い付かれる。そのあまりの勢いに、オリビアの体はさらなる快楽に震えた。
「あぁ!は……ああっ」
尖らせた舌先に、何度も強く上下に弾かれる。
「だ、だめっ……あああっ…!!」
オリビアが拘束された腕を胸を隠すように曲げても、すぐにワルフの指に遮られてしまう。息の荒い鼻や頬を押しのけようと試みるが当然びくともせず、ワルフはこちらにぎょろりと動かした目を細くさせただけだった。
「あっ……んっ!」
オリビアはたまらず体をくねらせた。ワルフは執拗に同じ場所を舐め続けるが、その舌の動きは徐々に早くなっていった。
(ちゃんと杖を持ってきていたら……こんな事にはならなかったのに……!!)
ワルフの罠だったとはいえ、どれだけ勤勉でも肝心な時に失敗してしまう自分を呪った。ハヤトを超える以前の問題だ。彼にも言われた事がある。何でも出来る素振りを見せるが、誰もやらないミスもする─────作戦を成功させたワルフに対してまでも、思わず感服してしまう。杖を忘れる魔女がいてなるものかと、オリビアは喘がされながら思った。
「はは、腰が震えてきてるぞ」
彼の手の中で体が揺れる。その反応にワルフは満足げに笑い、舌の動きを速めた。器用にも大きな舌で正確に先端を捉え、たっぷりの唾液でそこを濡らし、ねぶられる。彼の口内にすっかりおさまってしまっている両胸がどうなっているのかオリビアには見えないまま、強烈な刺激だけが襲いかかった。
「うああっ!」
オリビアは大きく背中をしならせた。彼の舌が動く度に、体がびくびくと反応してしまう。激しい動きに敏感になった胸の先端が何度も擦れると、視界が点滅して何も考えられなくなってしまった。
ぐったりと動きが鈍くなってきたところで、ワルフはようやく口を離した。
「まだか?でも大人しそうなくせして意外に意地っ張りなところも好きだぜ」
「……はぁ……はぁ……」
胸元を舌で舐め上げられて、びくんと体が跳ねてしまう。もはや抵抗する力など残っていない。再びソファに寝かされ、されるがままにショーツを脱がされる。
「やっ……」
大きく足を広げられて、まじまじと見つめるワルフの視線にオリビアは羞恥に顔を歪めた。
「お前さぁ、ハヤトにここ見られた事ないんじゃねぇのか?デートも誘えない奴にそんな度胸ねぇよな」
「………」
オリビアが何か言う前に、ワルフはそこに顔を埋めた。オリビアがひっ、と声をひそめるのも構わずに秘部をべろりとひと舐めした後、物足りない顔をして棚のある方に目をやる。
「うーん……さすがに小さくて舐め辛いな。そうだ、あれあるかな…」
手を伸ばしてテープを取り出した場所とは違う段の引き出しを漁り、今度は長い棒の両端に綿が丸くついたものを取り出した。
(そ……それは……)
「これなら細かいところまで気持ち良くさせられるだろ?」
ワルフはオリビアに見せ付けるように、手元の物─────綿棒の先端を口に含んだ。そして、唾液で湿ったそれを片手に、オリビアの大事な部分を片手で広げた。
「やめて!あっ……」
濡れた綿から伝わる生暖かい感触に体がこわばる。綿棒が円を描くようにゆっくりと動かされ、敏感な部分を撫でていく。
「いや、ああっ……」
ワルフは丁寧に角度を変えながらゆっくりと擦る。表面を往復してなぞられ、体の奥底が熱くなっていくのを感じた。すでに溢れてしまっていた愛液とワルフの唾液が混ざり合い、ぬちゅぬちゅとした水音となってオリビアの耳を刺激する。
「小さくなっても立派にエロい音出しやがって」
膨れ上がった陰核を、綿棒は蜜を絡めながら何度も往復する。快感を逃がそうとオリビアは腰を浮かせるが、ワルフの手は執拗に追いかけてきた。その刺激に体が震えると、今度は綿棒の先で陰核を押し潰すようにぐりぐりと押し込まれる。一切止まる事のない責めに、オリビアの気力は限界だった。
──ここまでされてしまうくらいなら、ハヤトの力を信じるしかない。あの人ならきっと、自分を元に戻してくれる。
「ワルフ……!分かった……分かったから!!飲む!!薬を飲みます……!!」
オリビアはついに白旗を揚げた。その体はこれ以上快感を受け入れたくないと耐えながら、びくびくと震えている。ワルフは熱い息をひとつ吐いた後、探るようにこちらを見た。
「本当か?また直前で暴れたら容赦しないぞ」
オリビアが必死に何度も頷く。ワルフが満足そうにニッと笑ったのを見て、ようやく終わるのだと安心した時だった。
「分かった。でもせっかくだから一回イっとけ」
「え……」
その言葉と共に綿棒の動きが早まり、オリビアの頭の中で何かが崩れていく音がした。
「いやぁっ……!!やめっ……あっ」
激しい刺激に頭が真っ白になり、絶頂へと容赦なく追いやられる。
「あぅ……ああ!いや、だめ……っ!」
激しく腰が揺れ、その瞬間は訪れた。ぷしゃっと何かが溢れた感覚がして、体中が熱くなる。下半身からこみ上げる快感に心臓の鼓動も早くなり、びくびくと痙攣した後、息も絶え絶えでオリビアはぐったりと横たわった。
「ははは。気持ち良かったか?指にかかったぞ」
ワルフはオリビアの愛液がかかった指をなめると、彼女の余韻が終わらないままに杖を向けた。
オリビアはワルフに絶頂させられた絶望に打ちひしがれる間も無く、再び強い光に照らされて目を瞑った。しばらく経って目を開くと、長い時間大きくなっていた瞳に映る世界が、久しぶりに見慣れたサイズに戻っていた。体が元の大きさに戻ったのだ。
「はぁ……はぁ………」
(ぜんぶが……小さく見える。ソファも、ワルフも……。あ…テープが取れた……!服も……!)
きつく巻かれていたテープは元に戻る時に破れたらしい。ワルフに脱がされたワンピースも、小さくなる前のように着た状態に戻っている。どろどろになっていたはずのショーツも、乾いた感触になった。しかし、喜びもつかの間だった。
「くそっ、間違えた。裸のまま大きくしたかったのに、さっきの魔法の解除にしちまったんだ」
ワルフは杖をイライラと振って、舌打ちをした。このクリスタルも使えねぇな、と文句をぶつける。
「まあいいか。続きは飲んだ後だ」
念のためにと再び後ろ手にし、そばに落ちていた布切れで縛った後、ポケットから出した2本目の小瓶のフタを開けてオリビアの口元へ持っていった。
「私はハヤトが好きだからね」
オリビアは目に涙を溜めて気丈に言い放ち、睨みつけた。
「ふん。お前そもそもなんであいつが好きなんだよ?全く理解できねぇ」
「ハヤトは私が追いつくのを信じてくれているから」
「口だけだろ」
オリビアの耳に、ワルフの冷たい声が響く。
「……そんなはずないわ」
本当はワルフの言う通りかもしれないという思いを隠して答え、近づいてくる小瓶のふちに口をつける。
──もしかしたら、そうかもしれない。戦いの場に、出してくれないもの。でも、例えハヤトの応援が本心じゃなかったとしても、私は彼を追いかける事を諦めたりはしない。ハヤトが私の力を信じていなくても、私はハヤトの力を信じている。
だから、ワルフの魔法を解いてね。出来るでしょう?あなたなら。
オリビアが目を閉じて魔法薬が流れ込んでくる覚悟をした時だった。窓の外の木々が揺れる音が聞こえ、一瞬の間の後、入り口のドアが乱暴に開けられるバンという音が聞こえる。
「オリビア!!」
「……!!」
「ちっ!」
目を開けるとドアの前に、いつになく息を切らせたハヤトが立っていた。オリビアは彼の姿を見て思わず涙を溢れさせた。間一髪助かったのだ。
ハヤトは縛られたオリビアと彼女の前に立つワルフを見てホウキを床に投げ捨て、足音を立てて凄まじい形相で近付いてきた。杖を折れそうな程強く握って、ワルフに向ける。ワルフはハヤトの杖の先に集まった黒い光を見て、それが自身へ向かってくると悟り、とっさに─────オリビアの口へと強引に魔法薬を流し込んだ。
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