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一章 死が始まり
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病室を出た先は白い廊下に、薄暗い赤オレンジ色のネオンライトが壁に埋め込まれている幅3m縦6mほどの広い廊下だった。
そしてどこまでも続く先の見えない廊下を二人はゆっくりと歩き始めた。
「イツキ君色々質問したい事が多いだろうが、まず私から質問させてほしい。いいかな?」
ローレンが興味深々と言った表情で言い、これにたいしてゆっくり頷いた。
「君は不幸にも18歳でこの世、いや地上を去る事になった訳だが、生きてきた18年間一体どのような時間だったかな?」
ローレンの言う地上という言葉に違和感を覚えたが、それよりも質問の意図がよく分からなかった。
「・・・・どのような?質問の意味がよく分かりません。」
「んーー?では簡単に聞こう、生きていたといえるかい?」
「・・・余計分かりませんよ。」
一体何が言いたいのかよく分からいと首を傾げた。
「その様子だと特に人生を振り返っていないようだね。」
ローレンはそんないつきを見て少し苦笑いを浮かべそう言った。
「あなたは何者なんですか?」
次はイツキが質問する。
「私は製薬会社の社長。そして医者ではなく正確には科学者だ。」
ローレンは意外にもすぐに自分が何者なのか答えたの同時にその場で足を止めた。
左側にGWR14保管庫と書かれている大きな扉があり、ローレンは首からかけられているセキュリティコードをあてる。
大きな扉は「プシュ―――」と音を立てて開き、扉の先から緑蛍光色の光が廊下に漏れる。
「さぁー入って、君の体に何が起こったか説明をする。」
恐る恐るイツキは扉の先に進み、そこに広がる光景に驚愕した。
そこには何千、何万個という大量の緑蛍光色の液体とそれが入った瓶が、怪しく光りながら等間隔で棚に積み重ねられていたからだ。
「これは・・一体なんですか?」
「これはGWR14通称【神の遺物】呼ばれている。科学そして医学の最高傑作品だ。」
「・・・最高傑作?」
「イツキ君、君が発見された時、体はひどく損傷し大量出血で手の施しようが無かった。ただこの薬を使う事で5時間ほどで体は再生し今に至る訳だ。」
「つまり僕は死んでないってことですよね!」
死んでいないという事実が嬉しすぎて反射的に言葉が漏れた。
しかしローレンは曖昧な表情を浮かべ、イツキの中でも新たな不信が生れた。
仮に僕が死ぬ寸前だったとして・・。
こんな怪しい薬一つで傷に遺症も無く完全に完治する事なんてできるのだろうか?
もしかすると死ぬ寸前だったというのも嘘じゃないのか?
「まぁ、今考えている事は分かるから実際に見せる方がいいかな?」
ローレンはそう言いさらに部屋の奥に進んで行く。
イツキも当然後を追いかける。
「お疲れ様です~、ローレン先生。」
部屋の奥で手を振り、眼鏡をかけた若い女性が言った。
白衣を身にまとっている事からおそらくローレンの部下にあたる科学者だろう。
「準備はできているかね?」
「えーでも、私じゃないと駄目ですか!?」
二人は何やら会話を行うとローレンはGWR14の瓶を、銃の様なトリガーが付いた注射器にセットした。
「イツキ君、人を殺した事は?」
ローレンの普通じゃありえない質問にイツキは一瞬体が震えた。
「ある訳ないじゃないですか。」
「そうだろうね。では殺したいという欲求はあるかね?」
「一切無いです!」
イツキは少し怒った表情で言う。
「すまない、なら私が行う。」
そう言い終わった後、瞬きする間に。
「バンッ!・・・・・・カンカラカラララ・・・。」
「え?」
大きな銃声と共に血を流しながら、部下の女性が倒れる。
薬莢が何度も地面に反発した音と耳鳴りだけが残った空間に、イツキの哀れな声が漏れる。
そのあまりにも急な出来事にイツキは酷く動揺するのに対して、ローレンは依然冷静なままだった。
「さ、イツキ君。これで普通なら彼女は助からない状況だ。」
ローレンがそんな事を言っていい振り返ろうとする間にイツキの体は自然に動いていた。
めいいっぱい拳に力を入れローレンの顔面を殴り飛ばし、倒れた部下に駆け寄った。
人生で初めて人を殴った・・。
そう思いながらも震える手で、撃たれた女性の腹部をおさえる。
どうしたらいい?何とかしないと・・・。
額からは汗が流れ、腹部をおさえる手には熱い血の感覚が。
「うー・・痛いじゃないか。」
ハッと振り返ると、唇から流れる血をふき取りながらローレンはよろよろと立ち上がっていた。
「あなたは頭おかしいです!」
なぜだろう、逃げるという選択肢もあるが謎に勇気が湧いたさきほどの状況に嫌気が増し、急に恐怖が湧き上がってきた。
「いや、本当に素晴らしいね君は。」
そう言いローレンは近くの机の上に銃を置き、先ほどセットしていたGWR14の薬を手に持ち近づいて来た。
「・・クッ!」イツキは恐怖から目を閉じた。
「イツキ君、よく見ていなさい」
優しい声でローレンはそう囁く。
恐る恐る、片目を細く開くと、GWR14の注射器を女性の腕にセットし引き金を引いていた。
「・・・・ぶは!」
注射器を打って10秒くらいで部下の息が吹きかえした。
「・・どうなって?」
「痛かったーーー!」
驚いているイツキをよそに、撃たれたその女性は何事も無かったように大きな声でそう言い立ち上がった。
立ち上がった女性の撃たれた傷は完全に塞がり、流れたはずの血が消えてその後だけがシミになって残ってる。
驚き地面に座り込んで、間抜けな顔をしているイツキにローレンが手を伸ばす。
「これで信じただろ、神の遺物の効果を。」
ローレンは自身に満ちた顔で言った。
「・・・こんな事が本当に」
「しかし驚くのはまだ早いよ、神の遺物の効果は他にもある。ただ実際に見せるのは難しいから口頭で伝えていく。」
ローレンはそう言いながらソファに腰かけ、空いてる席を指差しイツキを誘導する。
撃たれた女性は、イツキとローレンに手を振りながらその場を去り部屋の奥に姿を消した。
そしてどこまでも続く先の見えない廊下を二人はゆっくりと歩き始めた。
「イツキ君色々質問したい事が多いだろうが、まず私から質問させてほしい。いいかな?」
ローレンが興味深々と言った表情で言い、これにたいしてゆっくり頷いた。
「君は不幸にも18歳でこの世、いや地上を去る事になった訳だが、生きてきた18年間一体どのような時間だったかな?」
ローレンの言う地上という言葉に違和感を覚えたが、それよりも質問の意図がよく分からなかった。
「・・・・どのような?質問の意味がよく分かりません。」
「んーー?では簡単に聞こう、生きていたといえるかい?」
「・・・余計分かりませんよ。」
一体何が言いたいのかよく分からいと首を傾げた。
「その様子だと特に人生を振り返っていないようだね。」
ローレンはそんないつきを見て少し苦笑いを浮かべそう言った。
「あなたは何者なんですか?」
次はイツキが質問する。
「私は製薬会社の社長。そして医者ではなく正確には科学者だ。」
ローレンは意外にもすぐに自分が何者なのか答えたの同時にその場で足を止めた。
左側にGWR14保管庫と書かれている大きな扉があり、ローレンは首からかけられているセキュリティコードをあてる。
大きな扉は「プシュ―――」と音を立てて開き、扉の先から緑蛍光色の光が廊下に漏れる。
「さぁー入って、君の体に何が起こったか説明をする。」
恐る恐るイツキは扉の先に進み、そこに広がる光景に驚愕した。
そこには何千、何万個という大量の緑蛍光色の液体とそれが入った瓶が、怪しく光りながら等間隔で棚に積み重ねられていたからだ。
「これは・・一体なんですか?」
「これはGWR14通称【神の遺物】呼ばれている。科学そして医学の最高傑作品だ。」
「・・・最高傑作?」
「イツキ君、君が発見された時、体はひどく損傷し大量出血で手の施しようが無かった。ただこの薬を使う事で5時間ほどで体は再生し今に至る訳だ。」
「つまり僕は死んでないってことですよね!」
死んでいないという事実が嬉しすぎて反射的に言葉が漏れた。
しかしローレンは曖昧な表情を浮かべ、イツキの中でも新たな不信が生れた。
仮に僕が死ぬ寸前だったとして・・。
こんな怪しい薬一つで傷に遺症も無く完全に完治する事なんてできるのだろうか?
もしかすると死ぬ寸前だったというのも嘘じゃないのか?
「まぁ、今考えている事は分かるから実際に見せる方がいいかな?」
ローレンはそう言いさらに部屋の奥に進んで行く。
イツキも当然後を追いかける。
「お疲れ様です~、ローレン先生。」
部屋の奥で手を振り、眼鏡をかけた若い女性が言った。
白衣を身にまとっている事からおそらくローレンの部下にあたる科学者だろう。
「準備はできているかね?」
「えーでも、私じゃないと駄目ですか!?」
二人は何やら会話を行うとローレンはGWR14の瓶を、銃の様なトリガーが付いた注射器にセットした。
「イツキ君、人を殺した事は?」
ローレンの普通じゃありえない質問にイツキは一瞬体が震えた。
「ある訳ないじゃないですか。」
「そうだろうね。では殺したいという欲求はあるかね?」
「一切無いです!」
イツキは少し怒った表情で言う。
「すまない、なら私が行う。」
そう言い終わった後、瞬きする間に。
「バンッ!・・・・・・カンカラカラララ・・・。」
「え?」
大きな銃声と共に血を流しながら、部下の女性が倒れる。
薬莢が何度も地面に反発した音と耳鳴りだけが残った空間に、イツキの哀れな声が漏れる。
そのあまりにも急な出来事にイツキは酷く動揺するのに対して、ローレンは依然冷静なままだった。
「さ、イツキ君。これで普通なら彼女は助からない状況だ。」
ローレンがそんな事を言っていい振り返ろうとする間にイツキの体は自然に動いていた。
めいいっぱい拳に力を入れローレンの顔面を殴り飛ばし、倒れた部下に駆け寄った。
人生で初めて人を殴った・・。
そう思いながらも震える手で、撃たれた女性の腹部をおさえる。
どうしたらいい?何とかしないと・・・。
額からは汗が流れ、腹部をおさえる手には熱い血の感覚が。
「うー・・痛いじゃないか。」
ハッと振り返ると、唇から流れる血をふき取りながらローレンはよろよろと立ち上がっていた。
「あなたは頭おかしいです!」
なぜだろう、逃げるという選択肢もあるが謎に勇気が湧いたさきほどの状況に嫌気が増し、急に恐怖が湧き上がってきた。
「いや、本当に素晴らしいね君は。」
そう言いローレンは近くの机の上に銃を置き、先ほどセットしていたGWR14の薬を手に持ち近づいて来た。
「・・クッ!」イツキは恐怖から目を閉じた。
「イツキ君、よく見ていなさい」
優しい声でローレンはそう囁く。
恐る恐る、片目を細く開くと、GWR14の注射器を女性の腕にセットし引き金を引いていた。
「・・・・ぶは!」
注射器を打って10秒くらいで部下の息が吹きかえした。
「・・どうなって?」
「痛かったーーー!」
驚いているイツキをよそに、撃たれたその女性は何事も無かったように大きな声でそう言い立ち上がった。
立ち上がった女性の撃たれた傷は完全に塞がり、流れたはずの血が消えてその後だけがシミになって残ってる。
驚き地面に座り込んで、間抜けな顔をしているイツキにローレンが手を伸ばす。
「これで信じただろ、神の遺物の効果を。」
ローレンは自身に満ちた顔で言った。
「・・・こんな事が本当に」
「しかし驚くのはまだ早いよ、神の遺物の効果は他にもある。ただ実際に見せるのは難しいから口頭で伝えていく。」
ローレンはそう言いながらソファに腰かけ、空いてる席を指差しイツキを誘導する。
撃たれた女性は、イツキとローレンに手を振りながらその場を去り部屋の奥に姿を消した。
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