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一章 死が始まり
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━━━━「キィ―――――――ン」
頭が痛くなりそうな酷い耳鳴りと共にぼんやりとイツキの意識が戻る。
ただ何も見えず、手や足がまるで無いかのように動かそうとしても、その感覚がない。
何がどうなっているんだ?
あれ、僕は何をしていたんだっけ?
・・・確かさっきまで。
意識が少しずつハッキリ戻って行くのに連れて、微かに男性の低い声が聞こえてきた。
「お・よ・」「お・よう」「おはよう!」
その声がはっきり聞えた時。
イツキの重く閉じ切っていた瞼が一瞬で開いたのと同時に耳鳴りが止み、慌て飛び上がるようにベットから飛び起きる。
・・・見慣れない光景。
大きな鏡と病室のような部屋、繋がれた複数個の医療用センサー。
さらには、50代身長190cmほどで、黒と白が混ざった長髪をオールバックにし、ピシッとシワ一つない黒のスーツを身にまとい、その上から白衣を羽織っている男性がこちらを覗き込んでいた。
「・・・えっと」
突然の事すぎて何を言うべきなのか、言葉が詰まる。
男はこの状況になれているか、特に表情を変えることもなく冷静なまま口を開いた。
「私は、ローレンだ気分はどうかな?」
ローレンと名乗ったその男性の手には何やら沢山の資料があった。
状況がいまいち分からず辺りを見渡し手や足が問題なく動く事を確認して、少しの沈黙を得てようやく言葉がでた。
「ここは病院ですか?」
イツキの言葉に特に反応を示す言なく、ローレンは分厚い資料を開き得意げに話し始めた。
「草薙伊月君、18歳高校3年生で部活動は特に無し。そして両親ともに高校の教師違いはないかな?」
ローレンの質問に間違いないとゆっくり頷いた。
「イツキ君ここは病院というよりも医務室・・・いや」
ローレンは途中で言葉を渋り、手元の資料から目を放すと真剣な表情で、「君は死んだ」と一言放った。
「・・・はい?」
その言葉があまりにも唐突すぎて一瞬誰に言っているのか分からなくなり、自分の意志とは関係なく言葉が漏れる。
変な冷汗が頬を流れるのと同時に、ローレンから目を放し目の前にある大きな鏡に目を向けた。
ふー良かった。
イツキは安堵した。
現に短い茶髪に高くも低くもない平均的な身長。
体格は日常的な筋トレをしているというのもあって少し筋肉質、やけに灰色の病衣が似合っていて
少し泣きそうな顔をしている自分自身が写っていたからだ。
「初対面でこんな事言うのもなんですが、あまりにも不謹慎です。」
イツキは思わずローレンを睨みつけ、その不謹慎極まりない発言を訂正してもらうよう言った。
「ん?あー確かに不謹慎だ。しかし事実を述べているだけだ。まー詳しく説明するよ。」
不謹慎だと分かっていながらも表情一つ変えず、持っていた資料を何ページかめくり話始めたローレン。
「2035年6月11日午後9時頃、裏路地にて男性が倒れていると報告を受け取ったのち、病院に救急搬送されるがその後死亡が確認された。遺体はひどく損傷しており強い力が加わったものとみられている。飛び降り自殺、もしくは殺人事件として捜査していく。さて、今言った資料がここにある。自分の目で確認してみなさい。」
そう言いローレンは複数枚の資料をイツキに手渡した。
最初にイツキの目に映ったのは、自分がが血を流して倒れている写真だ。
その写真のすぐ下には、【2050年6月11日午前12時40分、青木病院にて草薙伊月大量出血により死亡】
という文字が。
視界が歪み頭が痛くなりそうだった。
嘘だ、これは捏造だ。僕はここに来る前・・何してた?
思い出せ・・思い出せ!思い出せよ!!
混乱した頭の中で何度もそう叫びながら頭を押さえる。
「私が嘘をつく理由は一つもない、そして本来君は亡くなるはずだった。」
「・・・亡くなるはずだった、どういう事です?」
「どういう事?君が感じでいる通りだよ。ここはどこか?天国、地獄?なぜ病衣を身に着けているのか、私は一体誰なのか・・?」
まるで自分の心をよんでいるかの様に語るローレンを思わず驚いた表情で見上げた。
「さぁイツキ君、君に一体何が起きているか説明していくとしよう。時間はまだあるから歩きながら話そう。」
ローレンはそう言い終わると病室の扉を開き、外に誘導するように手を出す。
「もし、ついて行かなかったらどうなりますか?」
「はは、別にそれはそれでいいけど多分困るのは君だよ。それに知りたくはないかい今の状況を?」
イツキは動揺しつつもベットから体を起こし、ローレンを追いかけ病室を出た。
頭が痛くなりそうな酷い耳鳴りと共にぼんやりとイツキの意識が戻る。
ただ何も見えず、手や足がまるで無いかのように動かそうとしても、その感覚がない。
何がどうなっているんだ?
あれ、僕は何をしていたんだっけ?
・・・確かさっきまで。
意識が少しずつハッキリ戻って行くのに連れて、微かに男性の低い声が聞こえてきた。
「お・よ・」「お・よう」「おはよう!」
その声がはっきり聞えた時。
イツキの重く閉じ切っていた瞼が一瞬で開いたのと同時に耳鳴りが止み、慌て飛び上がるようにベットから飛び起きる。
・・・見慣れない光景。
大きな鏡と病室のような部屋、繋がれた複数個の医療用センサー。
さらには、50代身長190cmほどで、黒と白が混ざった長髪をオールバックにし、ピシッとシワ一つない黒のスーツを身にまとい、その上から白衣を羽織っている男性がこちらを覗き込んでいた。
「・・・えっと」
突然の事すぎて何を言うべきなのか、言葉が詰まる。
男はこの状況になれているか、特に表情を変えることもなく冷静なまま口を開いた。
「私は、ローレンだ気分はどうかな?」
ローレンと名乗ったその男性の手には何やら沢山の資料があった。
状況がいまいち分からず辺りを見渡し手や足が問題なく動く事を確認して、少しの沈黙を得てようやく言葉がでた。
「ここは病院ですか?」
イツキの言葉に特に反応を示す言なく、ローレンは分厚い資料を開き得意げに話し始めた。
「草薙伊月君、18歳高校3年生で部活動は特に無し。そして両親ともに高校の教師違いはないかな?」
ローレンの質問に間違いないとゆっくり頷いた。
「イツキ君ここは病院というよりも医務室・・・いや」
ローレンは途中で言葉を渋り、手元の資料から目を放すと真剣な表情で、「君は死んだ」と一言放った。
「・・・はい?」
その言葉があまりにも唐突すぎて一瞬誰に言っているのか分からなくなり、自分の意志とは関係なく言葉が漏れる。
変な冷汗が頬を流れるのと同時に、ローレンから目を放し目の前にある大きな鏡に目を向けた。
ふー良かった。
イツキは安堵した。
現に短い茶髪に高くも低くもない平均的な身長。
体格は日常的な筋トレをしているというのもあって少し筋肉質、やけに灰色の病衣が似合っていて
少し泣きそうな顔をしている自分自身が写っていたからだ。
「初対面でこんな事言うのもなんですが、あまりにも不謹慎です。」
イツキは思わずローレンを睨みつけ、その不謹慎極まりない発言を訂正してもらうよう言った。
「ん?あー確かに不謹慎だ。しかし事実を述べているだけだ。まー詳しく説明するよ。」
不謹慎だと分かっていながらも表情一つ変えず、持っていた資料を何ページかめくり話始めたローレン。
「2035年6月11日午後9時頃、裏路地にて男性が倒れていると報告を受け取ったのち、病院に救急搬送されるがその後死亡が確認された。遺体はひどく損傷しており強い力が加わったものとみられている。飛び降り自殺、もしくは殺人事件として捜査していく。さて、今言った資料がここにある。自分の目で確認してみなさい。」
そう言いローレンは複数枚の資料をイツキに手渡した。
最初にイツキの目に映ったのは、自分がが血を流して倒れている写真だ。
その写真のすぐ下には、【2050年6月11日午前12時40分、青木病院にて草薙伊月大量出血により死亡】
という文字が。
視界が歪み頭が痛くなりそうだった。
嘘だ、これは捏造だ。僕はここに来る前・・何してた?
思い出せ・・思い出せ!思い出せよ!!
混乱した頭の中で何度もそう叫びながら頭を押さえる。
「私が嘘をつく理由は一つもない、そして本来君は亡くなるはずだった。」
「・・・亡くなるはずだった、どういう事です?」
「どういう事?君が感じでいる通りだよ。ここはどこか?天国、地獄?なぜ病衣を身に着けているのか、私は一体誰なのか・・?」
まるで自分の心をよんでいるかの様に語るローレンを思わず驚いた表情で見上げた。
「さぁイツキ君、君に一体何が起きているか説明していくとしよう。時間はまだあるから歩きながら話そう。」
ローレンはそう言い終わると病室の扉を開き、外に誘導するように手を出す。
「もし、ついて行かなかったらどうなりますか?」
「はは、別にそれはそれでいいけど多分困るのは君だよ。それに知りたくはないかい今の状況を?」
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