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二章 炎と水のエクソシスト
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教会を出て少し歩いた所で、四人の足が止まる。
「はぁ、全く油断なんねぇーなこの町は!」
シビスが声を荒げて言った。
その視界先には三体の悪魔と中位クラスの悪魔が一体。
「一旦引くか?」
ロクが言う。
「いえ、それは出来ないでしょう。」
フミーはまだ子供。
悪魔三体に中位クラス相手では逃げきれない。
それに旧市街中央は悪魔が集中して多い。
つまり逃げた先に悪魔がいないとは限らない。
アルベが頭の中で考えているこれらの危険性はおおよそ当たっているだろう。
エクソシストがもっとも命を落とす原因は悪魔に囲まれ、選択肢を削られる事。
つまり、戦う意外道はない。
中位クラスの悪魔はもうほとんど人間だった時の面影は残っておらず、今回の奴に限っては半獣狼男といった見た目で体長は2.5mはあるだろう。
長い鉤爪に筋肉質な足に狼のような体毛。
逃げてもどのみち追い付かれる。
アルベ達は各々武器を取り出し戦闘体制に入った。
「フミーちゃん。少し怖いかもだけど安心して、すぐ終わらせるから!」
精一杯の笑みと冷静さを装い物陰にフミーを誘導した。
「神聖書。」
ロクがそう言い手を上げると一冊の青白いオーラを放つ本が出現し空中に浮遊した。
神聖書。
エクソシストが使う魔法の聖書であり、様々な能力を引き出す。
使う者によってそれぞれ違った種類の聖書になり、エクソシストの大半はこれらをベースに悪魔祓いを行う。
「アクアボイド!」
続けてロクが唱えると、神聖書がペラペラとめくられ聖水が泡の様に浮かびながら出現し、弾丸と同じスピードで中位クラスの悪魔に突撃する。
目を隠し怯む中位クラスの悪魔をよそに、三体の下位クラス悪魔達がフミーがいる方へ駆け出した。
「行かせるかよ!神聖書!」
次はシビスが言った。
ロクとは違い赤い炎のオーラを放つ神聖書が出現した。
「エンチャントフレア!」
シビスがそう唱えると、持っているメイスと盾が炎に包まれ、火力が上がっているのか一撃で悪魔を祓う。
「さぁさぁ、他の悪魔がくる前に最後の締めと行きますか!」
シビスの火とテンションがドンドン燃え上がる。
「おい、気を抜くなよ。相手は中位クラス、そこらの悪魔とはレベルが違う!」
ロクがシビスをそう叱り、なんだよっといった表情を見せるシビス。
その一瞬の間に狼男はすごい脚力でシビスにつめより鋭い鉤爪で切りつけた。
なんとか盾で防いだシビスだったが、狼男の力が強いのか軽く吹き飛ばされ、追撃とばかりに再びつめよられる。
「まずい。アクアボイド!」
ロクの攻撃は軽くかわされ、しりもちをつくシビス。
二度目の攻撃もなんとか防げたが、狼男の鉤爪が盾を貫通していた。
「これで終わり!」
この隙を逃すまいと狼男の動きが止まったところを、後方から剣を振りかざし首をとろうとしたアルベ。
狼男は危機を察知したのか、咄嗟に振り返りながら左腕でアルベを貫く構えを取った。
「まずいぞアルベ!」
ロクが叫ぶ。
「タイムターナ!」
アルベが唱える。
空中にジャンプし浮かんでいるアルベが方向転換する事は不可能に近かった。
つまり、狼男の攻撃をかわす手段はない。
ロクとシビスはそう思っていたが、アルベのすぐとなりには銀色に輝く神聖書が出現しており、アルベの体はジャンプする前の構えに巻き戻り、狼男の攻撃をかわした。
「あぁ!?」
この不可解な動きに狼男からも動揺と低い声が漏れた。
タイムターナ。
この魔法は使用者の時間を少しだけ戻すことが出来る。
アルベは攻撃をかわし、敵の隙を作り出す事が出来たというわけだ。
そして再びアルベが剣を向けた時には、狼男の心臓にアルベの剣が刺さっていた。
「はぁ、全く油断なんねぇーなこの町は!」
シビスが声を荒げて言った。
その視界先には三体の悪魔と中位クラスの悪魔が一体。
「一旦引くか?」
ロクが言う。
「いえ、それは出来ないでしょう。」
フミーはまだ子供。
悪魔三体に中位クラス相手では逃げきれない。
それに旧市街中央は悪魔が集中して多い。
つまり逃げた先に悪魔がいないとは限らない。
アルベが頭の中で考えているこれらの危険性はおおよそ当たっているだろう。
エクソシストがもっとも命を落とす原因は悪魔に囲まれ、選択肢を削られる事。
つまり、戦う意外道はない。
中位クラスの悪魔はもうほとんど人間だった時の面影は残っておらず、今回の奴に限っては半獣狼男といった見た目で体長は2.5mはあるだろう。
長い鉤爪に筋肉質な足に狼のような体毛。
逃げてもどのみち追い付かれる。
アルベ達は各々武器を取り出し戦闘体制に入った。
「フミーちゃん。少し怖いかもだけど安心して、すぐ終わらせるから!」
精一杯の笑みと冷静さを装い物陰にフミーを誘導した。
「神聖書。」
ロクがそう言い手を上げると一冊の青白いオーラを放つ本が出現し空中に浮遊した。
神聖書。
エクソシストが使う魔法の聖書であり、様々な能力を引き出す。
使う者によってそれぞれ違った種類の聖書になり、エクソシストの大半はこれらをベースに悪魔祓いを行う。
「アクアボイド!」
続けてロクが唱えると、神聖書がペラペラとめくられ聖水が泡の様に浮かびながら出現し、弾丸と同じスピードで中位クラスの悪魔に突撃する。
目を隠し怯む中位クラスの悪魔をよそに、三体の下位クラス悪魔達がフミーがいる方へ駆け出した。
「行かせるかよ!神聖書!」
次はシビスが言った。
ロクとは違い赤い炎のオーラを放つ神聖書が出現した。
「エンチャントフレア!」
シビスがそう唱えると、持っているメイスと盾が炎に包まれ、火力が上がっているのか一撃で悪魔を祓う。
「さぁさぁ、他の悪魔がくる前に最後の締めと行きますか!」
シビスの火とテンションがドンドン燃え上がる。
「おい、気を抜くなよ。相手は中位クラス、そこらの悪魔とはレベルが違う!」
ロクがシビスをそう叱り、なんだよっといった表情を見せるシビス。
その一瞬の間に狼男はすごい脚力でシビスにつめより鋭い鉤爪で切りつけた。
なんとか盾で防いだシビスだったが、狼男の力が強いのか軽く吹き飛ばされ、追撃とばかりに再びつめよられる。
「まずい。アクアボイド!」
ロクの攻撃は軽くかわされ、しりもちをつくシビス。
二度目の攻撃もなんとか防げたが、狼男の鉤爪が盾を貫通していた。
「これで終わり!」
この隙を逃すまいと狼男の動きが止まったところを、後方から剣を振りかざし首をとろうとしたアルベ。
狼男は危機を察知したのか、咄嗟に振り返りながら左腕でアルベを貫く構えを取った。
「まずいぞアルベ!」
ロクが叫ぶ。
「タイムターナ!」
アルベが唱える。
空中にジャンプし浮かんでいるアルベが方向転換する事は不可能に近かった。
つまり、狼男の攻撃をかわす手段はない。
ロクとシビスはそう思っていたが、アルベのすぐとなりには銀色に輝く神聖書が出現しており、アルベの体はジャンプする前の構えに巻き戻り、狼男の攻撃をかわした。
「あぁ!?」
この不可解な動きに狼男からも動揺と低い声が漏れた。
タイムターナ。
この魔法は使用者の時間を少しだけ戻すことが出来る。
アルベは攻撃をかわし、敵の隙を作り出す事が出来たというわけだ。
そして再びアルベが剣を向けた時には、狼男の心臓にアルベの剣が刺さっていた。
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