ヒナの国造り

第１７章・ステラガーデン死刑台編

光の希望と絶望⑳～知られざる事実の物語へ～

　スペーシー家と資仁枚達の会食の会場へと案内しようとする絶人は全員に声を掛けたのである。


　「じゃあ、行くぞ・・・」


　するとユミリが目を覚ましては絶人の右腕の噛みつかれた痕を見て心配そうな目で絶人に話しかけた。


　「絶人さん・・・その怪我・・・」


　「てめえ・・・まさか！？」


　「大丈夫ですか？痛くないですか？もしよければ手当てします・・・！！」


　「(まさか・・・覚えてないのか！？これまでのことを！？)」


　「どうですか？」


　「・・・けっ！！大丈夫だ。気にせんでええわ！！」


　「良かった・・・！！」


　絶人の怪我が大丈夫と安心したのかユミリは少し涙を流していたのであった。絶人はユミリの顔を見て目を大きくしたのであった。


　「(こんな優しい女がいたとは・・・知らなかった・・・！！)」



　～絶人の回想～

　ある日、幼い絶人に対してある女性が往復ビンタを食らわせていた。


　「あんたは、あんたは忌々しい子よ！！」


　「ごめんなさい！！ごめんなさい！！」


　泣きじゃくる絶人に対して母親らしきその女性はビンタをし続けていたのであった。



　１５歳の頃、ある女性とバーで出会い意気投合した絶人は一緒にデートするようになった。しかしある日の繁華街を二人で歩いていると前から来たある厳つい男性に突然胸ぐらを掴まれたのである。


　「俺の女に何手を出しているんだ貴様！？」


　「いえ・・・この人は僕の・・・」


　すると女は豹変したのである。


　「あら～、あなた！！最近この男が付きまとって来て困ってたのよ～！！何とかしてほしいわ！！」


　「エルさん、何を・・・！？」


　「ちょっとこいやコラ！！」


　とある公園内・・・男性に殴られる絶人を見て笑う女性の姿があった。


　「竜ちゃん・・・もうそこまでにしなさいよ(笑)。」


　「ああ、そうだな。スッキリしたぜ！！」


　スッキリしたのか絶人を放置して去ろうとする二人・・・絶人は倒れながら怒りの言葉を放ったのである。


　「くそぉ・・・てめえらに天罰が下る！！覚悟しとけ！！！」


　この言葉を発した絶人の身体を光が包んだのであった。そして男女二人は翌日交通事故にあって二人とも重傷だったという。

　～回想終わり～


　絶人は呟いた。


　「(優しい女などいるはずがない・・・・・・・・・・・・・)！！ましてやこいつら・・・・は・・・！！！」


　「絶人さん・・・」


　ユミリは絶人を呼んだのである。絶人は後ろに振り向いてユミリを見た。


　「なんだてめえ？」


　「何かあれば私に話してね！！」


　「は？そんな話などねーしっ！！」


　「それなら良かったわ。」


　「(なんだこいつ・・・！？訳が分からねえ！！)」


　そして一行は会場へと到着したのである。高級ホテルのような外見の建物であった。


　「この建物は後原こうはら財閥、林原はやしばら財閥、西福にしふく財閥に並ぶ名門財閥の一つである柿福かきふく財閥の経営する建物だ。」


　すると幸徳は柿福財閥の話に反応したのである。


　「柿福財閥は俺のお爺ちゃんの実家だ！！」


　「何！？お前はあの柿福かきふく誠太郎せいたろうの孫か！？」


　「そうだけど何か！？」


　「いやいや・・・あの誠太郎さんの孫に会えたので驚いてな・・・(こいつはこれから祖父の建物で・・・ククク・・・！！)」


　幸徳は変な笑顔を見せる絶人に少し不審を抱きかけていたのである。


　ある秘薬『サリーヌの薬』を手に入れた光に光のために資仁枚達の元へと向かう兄弟達・・・彼らの運命やいかに・・・！！