ヒナの国造り

市川 雄一郎

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第17章・ステラガーデン死刑台編

ついにその日②

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 ヒナは空を見上げると雲ひとつない快晴であった。


 「・・・私の気は・・・晴れないわ。」


 ため息をつくヒナ。一瞬隙をついて・・・と考えたがしかし問題はこれだけではない。もし逃走すれば自分だけが助かって他の皆を見捨てる・・・それだけはしたくない。


 「なんとか・・・いい方法を考えないと・・・」


 その頃、死刑台のあるガーデン付近を大きな望遠鏡で覗いている男性がいた。


 「ここが処刑地か・・・よっしゃあ!!構造は分かった!!」


 ヒナはその時、脱出を諦めて最悪の場合は皆と共に死のうとも考えていた。だが・・・本心は違った。


 「私にはを守る使命がある!!だから何としてでも皆と助かりたい!!」


 死にたくないが他の人は見捨てたくない・・・ヒナにはある言葉が脳裏に浮かんだのである。



 ・・・幼い頃、絵本を読んでいたヒナに尚徳が話しかけてきたのである。


 「ヒナちゃん、君は街中で人が倒れていたらどうする?」


 実はヒナが読んでいたのは【マッチ売りの少女】であった。そう質問されたヒナはこう語る。


 「近くの人にどうすればいいか聞く。」


 すると尚徳は言う。


 「それもあながち間違いじゃあない。だけどね、そういうときは最低でも救急車を呼んだり、出来れば手当てをしてあげるといい。何もないことはない。人を助けることって素晴らしいことだよ・・・!!」



 ・・・その言葉を聞いてからヒナは人助けを真剣に考えるようになり、優しい性格になったのである。自分の娘を何の理由があれど平気で捨てるどこかのさんとは違う・・・そしてこのような状況だからこそヒナは尚徳の言葉の重さを理解していたのである。


 「どうしても・・・どうしても・・・自分だけは助かりたくない!!私には守るべきもあるけど他の人も助けれないようじゃダメ!!私は・・・皆と死刑を回避しますっ!!!」


 そう大声で叫ぶヒナを見て皆が拳を空にかざして『オーッ!』と叫ぶ。


 「フッフッフッ!あなた、なかなか面白いわね。」


 「君の言葉を聞くと勇気が出るわい!!」


 皆の言葉を聞いてヒナも勇気が出てきたのである。そして希望を見据えて他の死刑囚達と共に共闘する気持ちを込めた。


 「皆さん、ともに闘いましょう!!」


 「オーッ!!」


 ヒナの言葉に皆が燃えていた。
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