ヒナの国造り

市川 雄一郎

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第16章・ステラガーデン編

笠縫研究員の使命③

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 命の危機に晒されている笠縫であったが彼は休むために宿泊部屋に戻った時である。部屋には読み忘れていた新聞が置いていたのでそれに目を通したのであった。


 「10月10日に・・・500人も死刑執行!?まさか私の知らないところで・・・!!」


 「そうです。さらなる大変な危機があるようですよ。」


 「誰だ!?」


 笠縫は驚いて声のする方を向くとそこにはなぜか浦大吉がいたのであった。


 「君は・・・誰だ?」


 「僕はリテンの浦家の浦大吉といいます。逆に僕はあなたのことを知っていますよ。笠縫英樹さん・・・いや・・・【ヒデキ・ビスマルク・カサヌイ・ウィッシュネフスキー・】さん!!」


 「その名を君が・・・どうして?いや、君は何者だい?」


 「まあ、詳しいことはまた後程に。というより僕がここに現れたのはあなたを近い内に救いに来るという予告だけですよ。」


 「予告?」


 「僕はこれから死刑執行の阻止とリテンの今後のための活動などですぐにあなたを助けることは出来ない。透明になる能力であなたとある人物(二時)の会話を聞いていました。あなたに一目置いている僕だからこそ一年以内にあなたを助けようと思います。」


 「しかし・・・それはありがたいが・・・笠縫家たるもの研究者の血筋としてそれ(遺伝子変更の研究)を放置することは出来ないよ・・・」


 「でも出来ないでしょ。」


 「!?」


 大吉は笠縫の想いを汲みながら不可能な研究をさせられていることを指摘したのである。大吉は両腕を頭部にかけて言う。


 「僕は出来ないことをしようとする方が研究者として良くないと思います。出来る研究のために3年の時間を費やすのと出来ない研究のために1年の時間を費やすのとは全然違いますよ。ましてや出来ない研究をさせられて最後に死ぬのなら止めといたほうが無難だし。」


 「しかしどうやって逃げ・・・」


 「それはもうこの研究所の構造を確認して裏道などはチェック済みですから大丈夫。むしろリテンでは笠縫英樹さんは優秀な研究者として名を馳せていますからリテンのための研究をしてほしいなと思います。」


 「・・・私も・・・浦家の力に昔からなりたいと考えていた。もし君達が歓迎してくれるならぜひともリテンへ行きたい。」


 「じゃあ決まりですね。あなたのさんも喜んでいますよ!!」


 大吉は笠縫の気持ちを汲み、助けることを約束したのであった。
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