ヒナの国造り

第１６章・ステラガーデン編

神になろうとする男②

　実話とは思えない童話の話と聞かされても・・・黒石の顔は驚きで青ざめていた。


　「まだ信用できないみたいだね。」


　「いえ、そのような・・・」


　「それでいい。普通なら理解できないはずだからな・・・私はその秘密を知り、神に近づくためにアラドシティの関係者と婚姻を結んだのだからな・・・」


　「なるほどですね・・・さすが“知将”と呼ばれるだけありますね。」


　「そんな呼び名は昔の話だ。今は今だからな。もし計画さえうまくいけば私も君も神になれるのだからな。」


　「え・・・？そ、そりゃあ嬉しいな。」


　「私に任せろ。なんでも出来るからな。」


　(一部の人間から見て)夢を乗せた大きな計画ではあったがグリーンウッドフィールドの計画を聞いた黒石だがある疑問を感じていた。


　「ところでグリーンウッドフィールドさんは計画の際にどのような行動をされますか？」


　するとグリーンウッドフィールドはまさかの発言をしたのであった。


　「計画が成功する頃に私はこの世にいないだろう。むしろ私の命を賭けた計画なのだからな・・・」


　「！？」


　「君まで巻き込んだりしないが、私はこの命を賭ける覚悟は出来ている。私の死をもってこの新しい世界は完成するのだ！！」


　「しかし・・・グリーンウッドフィールド様・・・・・・」


　「黒石君よ、悲しむことはない。我が息子が君に協力したいと言っていた。形見となるであろう息子と新しい世界を楽しんでもらいたい・・・」


　「・・・グリーンウッドフィールド様がそう仰られるなら・・・その世界を見つめていこうではありませんか！！」


　「頼もしい存在だ・・・！！」


　覚悟を決めた黒石の表情も命を賭けるグリーンウッドフィールドの表情も希望に満ち溢れているものであった。


　「アラドシティの秘密・・・まだ何かありそうですね。」


　「アラドシティは我々の常識を覆す秘密がたくさんあるからな・・・」


　「常識を覆す・・・？」


　「これから徐々に分かってくるさ。この世界にはまだまだ分からないことがたくさんあるからな。一つ一つ分かれば人生楽しくなってくるものだ。私も生きている内にまだ分からない謎の一つ一つを解いていきたいものだ。」


　「グリーンウッドフィールド様・・・・・・最後まで付いていきます！！」


　「よろしく頼むぞ。」


　この話し合いでグリーンウッドフィールドと黒石の距離が短くなったのは明白だがアラドシティに重大な秘密が隠されていたことも浮き彫りとなった。


　「(ボックスターミナル・・・・・・この名称には由来があるはずだ。)」


　部屋を一旦出てはトイレで用をたしていた松浦はふと呟いた。これは以前にアラドシティを訪れた時の女性とのやり取りを思い出したからであった。