ヒナの国造り

市川 雄一郎

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第16章・ステラガーデン編

離陸まで⑧

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 カッファン達のヨトカナ到着と同時刻に松浦はある殺気を感じたのであった。


 「スイダース辺りから誰かが追跡しているな。」


 「!?」


 ベアトリクスは松浦の勘の鋭さに驚いていた。


 「驚くのも無理はないよ。自分の勘の鋭さは普通の人より何百倍も頭の脳の回転が速いからさ。」


 「凄いわ……」


 「敵は……ホテルの外にいるようだな。」


 するとホテルの近くでカウボーイのような帽子を被り、大きなスーツコート姿の人物が松浦の視線を感じたか彼のいるホテルを睨み付けたのであった。


 「(く……!!)」


 男性はある人物に電話をかけて逃亡した。


 「なかなか手強い相手のような気がする。油断してかかれば敗北するぞ。」



 その頃、キララは竜太との会話を終えてある場所へと向かう。一方で囚われていたヒナは大吉が去った後にあることを思い付いたのである。


 「この壁……壊す方法があるかもしれないわね。」


 そう言うとヒナはパンチを壁に食らわしたのである。それも一発だけではない。手が痛くなるまで何発も何発も食らわしたのだ。


 「さすがにパンチごときじゃ壁など壊れないわね。でもチャンスがあれば……」


 能力停止用の腕輪を装着し、能力が出せないために原始的なことしかできないが地道に続けていくことをヒナは決めたのであった。


 「(必ず出なくちゃ!いつ何をされるか分からないっ!!)」


 しかし……ドンドン叩いていると突然大きな蜘蛛のようなモンスターが部屋の中に現れたのである。


 「(……!?どうやって入ってきたのかしら!?)」


 驚くヒナであったが驚いてる場合ではない。実は能力停止効果のある“ストップリング”はヒロによって外されていたがいつの間にか別の能力停止腕輪をはめられていたのであった。


 「(私が眠りについている時に腕輪をはめられたんだわ……たぶんはめたのは…………)」


 そう怒りを露にするヒナだったが蜘蛛は大量の糸を吐いてヒナは糸に捕らわれて身体全体が糸で拘束されてしまったのであった。全身を糸で包まれて繭のようになってしまった上に助けてくれる人などいない。絶対絶命のヒナであった。


 一方、あるエレベーターホールのエレベーター一基の扉が開くとキララが降りた。


 「何か嫌な予感がするわ……」


 嫌な予感を感じたのか外に出ると航空会社の社員が数名倒れており、キララの視界には巨大な蜘蛛がいたのであった。


 「(人が倒れている!?)みなさん……何があったので……って……きゃああああ!!蜘蛛ーーーっ!!!」


 キララは蜘蛛嫌いで恐怖のあまりに叫ぶと蜘蛛は大量の糸を吐き、キララの全身は糸で包まれて繭のような状態になったのである。



 一方、カッファン達はヨトカナに到着してから空港に行こうとしたが心の準備が出来てないからと空港付近の空き家にて下宿していたのであった。
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