ヒナの国造り

第１６章・ステラガーデン編

離陸まで⑦

　その頃、新平は急に宿泊先の外の自動販売機に行きたくなりだしたのである。


　「あかん……“エナジーケア”飲みたい！！」


　“エナジーケア”とはヒナの世界では“青いカバーのあのジュース”である。それを飲みたくて外に出るとなぞの軍団が新平を囲む。全員が銃を構えていて内のリーダー格の一人が新平の頭に銃を突きつけてきたのであった。


　「…………なんだあんたは？」


　「貴様はどこの人間だ？我々グリーンウッドフィールド様の軍隊は貴様達の行動を見抜いているぞ？」


　「俺は……人間ちゃいまんねん。ヤマタノオロチでんねん！！」


 　すると新平はヤマタノオロチに変身して銃撃を手で払っては流して自身の爪で軍隊を切りつけたのであった。


　「うわああああ！！」


　「ぎゃああああ！！」


　「どんな相手がいるかよく確認してから作戦練ってこんかい。」


　新平オロチのパワーで一つの軍隊を倒したのであった。そして新平は自販機でお目当ての“エナジーケア”の購入を出来たようだ。


　「やったー！エナジーケアちゃん！いただきまーす！！」


　クールなイメージがある新平だが大好きな“エナジーケア”の前では子供のような純粋な心に戻るようだ。そして新平の宿泊所の屋上にある人物が(ヒナの世界でいう)コッペパンを頬張りながら新平を見つめていたのであった。


　「やるじゃねえか、新平。いとこに報告しよう。」


　男性はある人物のもとに連絡を入れたのであった。


　「やあ……“ロゼ”。あの方の仰る通り、新平という男はなかなかの実力者だよ。」


　すると新平は気配を感じたのか屋上を見つめたのである。


　「おい、誰か俺に用事か？」


　しかし屋上にはもはや誰もいなかったのであった。新平は不気味さを感じてはいたが気にせず自室に戻ることにしたのであった。


　「まあ明日か明後日には出発だろう。それまで癖の悪いストーカーは処理せんとな。」


　新平には隙というものは存在しないのだろうか。



　一方、カッファンとヌイは“ヨトカナ”入りを果たしていたのであった。


　「さあ、ヌイちゃん……ヨトカナに着いたよ。」


　「ふっ……分かっている。ここで目的の剣士のいる場所に行けるのだな？」


　「ああ、でも乗せてもらえるかは分からないけどね。」


　カッファンの心配は搭乗できるかどうかであったようだ。空港に知り合いがいるとは思えず、そもそも航空券など持っていないので乗れないかもしれないのだ。