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第16章・ステラガーデン編
“裏付け”と“繁栄”……二つの計画(後)
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雪の計画を聞いた勝幸は驚いたのであるがその内容は凄いようだ。
「雪……どうしてそこまで……」
「それは……私だって母方とはいえ“アラドシティ”と強い繋がりはあるし、やはり見ておきたいの。」
「何を?」
「あの“グリーンウッドフィールド様”がアラドシティに何をしようとしているのか……知っておくべき理由があるの……」
「詳しく聞かせてくれないか?」
「お母さんやおじいちゃんには言わないでね……」
「言わないよ……大丈夫!」
…………さらに回想に入る。
“15年前のアラドシティ”
まだ小さい雪はアラドシティで家族と一緒に来ていた時であった。この時レーナと勝幸は既に縁が切れており、雪は祖父・母の二人で訪れていたのであった。訪問した日の夜、喜八郎とレーナは喜八郎の実家に大事な話し合いに行くために旅館に雪を待機させていた時であった。尚、旅館の経営者は喜八郎の遠縁でその息子は雪と一緒に遊んでくれていたのであった。そして一緒にテレビを見ていたが……すると息子である男性はテレビを消して雪に語りかけたのである。
「雪ちゃん……君は“アラドシティ”に関係あることを知っているかい?」
「え?そうなの?」
「ああ、君のおじいさんはここの出身で君のおばあさんもここの出身だよ。」
「おばあちゃんはお母さんを生んですぐにいなくなったの……」
「ごめんね。それは知らなかった。けど話をするよ。おじいさんの実家の“箱辺”家とおばあさんの実家の“南場”家はこのアラドシティの発展に貢献した家系なんだよ!!」
「そんなにすごい家系なの?」
「ああ!アラドシティの人達はみんなが“箱辺”“南場”の両家を尊敬している!!だからその血を引く君もこのアラドシティを盛り上げてほしい!!」
雪は詳しくは理解できなかったが、彼の言葉から自分の家族がこのアラドシティで尊敬されていることは薄々理解していた。そして……
「うん!お兄ちゃんの思い、私も一緒になるよ!!雪はこの街が好きだから絶対にこの街のために何かをしたい!!」
「ありがとう!!それでいつかこの街は動き出す時が来る!!この街の別の名前は“ボックス・ターミナル!!”その時……雪ちゃんの力を貸してほしいんだ!!」
「うん、ありがとう!!私も力になるよ!!」
「ありがとう!!君が大人になればこの街の事を教えてあげるね!!」
「うん!!楽しみにしてる!!聞かせてね!!」
雪はアラドシティの事は詳しくは分からないがアラドシティのために力になりたいという気持ちは少しずつ沸いてきたのである。しかしその旅館経営者の息子は雪が帰った直後に突然病死し、話を聞くことはなかったのである。
…………15年前から上り、5年前の夜中。雪は目が覚めてトイレに行こうとすると喜八郎とレーナがリビングで会話をしているのがドア越しから聞こえたために耳を当てながら聞いていたのであった。
「お父さん……どうしよう。」
「ああ……南場家はどうなるか。嫡流もいなくなったしもう断絶かもな……」
元々雪の祖母も母も兄弟はおらず、唯一いた男子は祖母の叔父の子だったが、彼も子孫を残せず急死したという。そのため当主不在のまま南場家は断絶の危機を迎えていたのだ。
「今は当主の奥さんが切り盛りしていってくれているからいいものの早く後継者を見つけないと……」
「本当ね……」
雪はそれを聞いてある思いに駆られたのである。
「(私が男の子を二人授かれば……一人はお母さんの実家を継げるかもしれない……でも私に出会いは……あるのかな……)」
…………その数日後。ステラガーデン付近のレストランで仕事を終えて食事をしているとある男性客が二人やって来たのである。二人は雪の隣の席に座るが一人はグリーンウッドフィールドその人であった。
「スティーブン、今日の話はなんだい?」
「ああ、ただの雑談さ。ところで京桜君。私がなぜアラドシティと婚姻関係があるか知っているか?」
「なぜと言われると……“アラドシティが好きだから”じゃないのか?」
「ちがうな……君。そんなものじゃないよ。私は知ってしまったのだよ。あの“ボックス・ターミナルの秘密”とやらに……!!」
「(ボックス・ターミナルの秘密ですって!?)」
アラドシティの秘密を知るグリーンウッドフィールドの言葉に雪は驚きを隠せなかったのであった。
「雪……どうしてそこまで……」
「それは……私だって母方とはいえ“アラドシティ”と強い繋がりはあるし、やはり見ておきたいの。」
「何を?」
「あの“グリーンウッドフィールド様”がアラドシティに何をしようとしているのか……知っておくべき理由があるの……」
「詳しく聞かせてくれないか?」
「お母さんやおじいちゃんには言わないでね……」
「言わないよ……大丈夫!」
…………さらに回想に入る。
“15年前のアラドシティ”
まだ小さい雪はアラドシティで家族と一緒に来ていた時であった。この時レーナと勝幸は既に縁が切れており、雪は祖父・母の二人で訪れていたのであった。訪問した日の夜、喜八郎とレーナは喜八郎の実家に大事な話し合いに行くために旅館に雪を待機させていた時であった。尚、旅館の経営者は喜八郎の遠縁でその息子は雪と一緒に遊んでくれていたのであった。そして一緒にテレビを見ていたが……すると息子である男性はテレビを消して雪に語りかけたのである。
「雪ちゃん……君は“アラドシティ”に関係あることを知っているかい?」
「え?そうなの?」
「ああ、君のおじいさんはここの出身で君のおばあさんもここの出身だよ。」
「おばあちゃんはお母さんを生んですぐにいなくなったの……」
「ごめんね。それは知らなかった。けど話をするよ。おじいさんの実家の“箱辺”家とおばあさんの実家の“南場”家はこのアラドシティの発展に貢献した家系なんだよ!!」
「そんなにすごい家系なの?」
「ああ!アラドシティの人達はみんなが“箱辺”“南場”の両家を尊敬している!!だからその血を引く君もこのアラドシティを盛り上げてほしい!!」
雪は詳しくは理解できなかったが、彼の言葉から自分の家族がこのアラドシティで尊敬されていることは薄々理解していた。そして……
「うん!お兄ちゃんの思い、私も一緒になるよ!!雪はこの街が好きだから絶対にこの街のために何かをしたい!!」
「ありがとう!!それでいつかこの街は動き出す時が来る!!この街の別の名前は“ボックス・ターミナル!!”その時……雪ちゃんの力を貸してほしいんだ!!」
「うん、ありがとう!!私も力になるよ!!」
「ありがとう!!君が大人になればこの街の事を教えてあげるね!!」
「うん!!楽しみにしてる!!聞かせてね!!」
雪はアラドシティの事は詳しくは分からないがアラドシティのために力になりたいという気持ちは少しずつ沸いてきたのである。しかしその旅館経営者の息子は雪が帰った直後に突然病死し、話を聞くことはなかったのである。
…………15年前から上り、5年前の夜中。雪は目が覚めてトイレに行こうとすると喜八郎とレーナがリビングで会話をしているのがドア越しから聞こえたために耳を当てながら聞いていたのであった。
「お父さん……どうしよう。」
「ああ……南場家はどうなるか。嫡流もいなくなったしもう断絶かもな……」
元々雪の祖母も母も兄弟はおらず、唯一いた男子は祖母の叔父の子だったが、彼も子孫を残せず急死したという。そのため当主不在のまま南場家は断絶の危機を迎えていたのだ。
「今は当主の奥さんが切り盛りしていってくれているからいいものの早く後継者を見つけないと……」
「本当ね……」
雪はそれを聞いてある思いに駆られたのである。
「(私が男の子を二人授かれば……一人はお母さんの実家を継げるかもしれない……でも私に出会いは……あるのかな……)」
…………その数日後。ステラガーデン付近のレストランで仕事を終えて食事をしているとある男性客が二人やって来たのである。二人は雪の隣の席に座るが一人はグリーンウッドフィールドその人であった。
「スティーブン、今日の話はなんだい?」
「ああ、ただの雑談さ。ところで京桜君。私がなぜアラドシティと婚姻関係があるか知っているか?」
「なぜと言われると……“アラドシティが好きだから”じゃないのか?」
「ちがうな……君。そんなものじゃないよ。私は知ってしまったのだよ。あの“ボックス・ターミナルの秘密”とやらに……!!」
「(ボックス・ターミナルの秘密ですって!?)」
アラドシティの秘密を知るグリーンウッドフィールドの言葉に雪は驚きを隠せなかったのであった。
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