ヒナの国造り

市川 雄一郎

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第16章・ステラガーデン編

更なる真実④

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 しかし羽久側にはある強い味方が一人存在していたのである。彼はスーザック出身の人物で地元で治安平和委員会の役員を務めている人物である。この人物はウィンガタウンに以前から幾度か通っており、エネルギータンクの建設の危険性を現地で確認してい訴えてきた人物である。


 「僕の知り合いにスーザックの平和運動の活動をされている方がいて彼はエネルギー問題に強く関心を持たれており、研究に力を注いだ結果がウィンガタウン以外のエネルギータンクの建設の阻止に繋がったんだ。」


 目を輝かせてのことについて語る羽久。彼の存在は危険なエネルギータウン構想に横槍を入れることができる希望でもあった。羽久は続けて彼の魅力を当時ウィンガタウンの治安平和委員会の役員だった伸一に熱く語ったのである。


 「彼は幼い息子がいてね……だから世の中の未来のためなら必死で動く人なんだ。」


 未来のために裏で必死に活動する“彼”の話を聞いた伸一は拳を強く握ったのである。


 「(世の中のために頑張る人々がいる……だから僕も頑張らないといけない……!!)」


 「伸一さん、肩の荷をおろしてね。無理に気張っちゃダメだよ。深呼吸だよ……!!」


 「あ……すまんねえ~、俊。」


 伸一はその“人物”に対してもウィンガタウンのために力を注ぐ羽久に対しても尊敬の念を抱いていた。羽久は議員と平行して治安平和委員会の会長でもあったため常にその“人物”と共にエネルギータウン構想の関係者と議論を交わしていたのであった。


 「ああ……今日もダメだったか俊。」


 「うん、なかなか話を理解してくれるような人じゃないな。でも誠意を見せれば何とかなると僕は信じている。」


 「“誠意”じゃないでしょ?“気持ち”だろ?さすが会長だ……尊敬するよ。」



 その頃、あるビルの一室にいた宇治橋の元にある人物が現れたのである。部屋に招かれたその人物はあるに来たようである。


 「ああ……ライコウ君か……」


 「はい……実はとんでもない話がありまして……」


 この人物は『鳥海寺ちょうかいじライコウ』という人物で宇治橋の側近にあたる。


 「何だ?言ってみろ。」


 「実は我々の仲間にいる人物がいるらしくて……それでなのかエネルギータンクを建設するのを拒む場所が増えてきて次々各地のエネルギータウン構想が頓挫しています!!」


 「それは誰か目処はついているのか?」


 「誰かは分かりませんが流れていることだけは確認できました。必ずその人物の尻尾を掴んでみせます。」


 「そうか……それならに連絡をしないとな。」


 宇治橋は携帯である人物に連絡を入れたのである。電話を終えると彼は言った。


 「少し時間がかかるかもしれないがその人物はいつか判明する。その時は必ず“粛清”してやるから安心してくれ。」


 「はい、ありがとうございます。」


 二人の会話から宇治橋側に所属しながら誰かに情報を流すスパイ行為をしている何者かがいるということが判明したのだ。


 「必ず捕らえなければならない。エネルギータウン構想を頓挫させやがって……絶対に許さねえ!!」


 ライコウは怒りのあまり拳を握りしめていたのであった。
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