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第15章・古座川町編
戻りたい……故郷への想い
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ヒナは故郷への想いを胸に秘めながらこの日は眠りについたのである。布団も無く冷房や暖房もない準備のなってないこの部屋にはヒナ一人だけしかいないのである。
「必ず古座川へ帰るんだ……」
今、ヒナは何処にいるのか分からない。だからこそ当然帰省も出来ないし、それどころか“場所すらわからないために自分の世界かどうかすら判断できない”のだ。
「到摩君……一体どうして……?」
なぜ突然黒岡はヒナに牙を向いたのか未だに分からないのであった。そして能力で壁をぶち破れるかどうか確かめることにしたのである。だが……
「ちょっと……技が使えない!?」
なんと能力が使えないのである。氷が出てこない……つまり能力で脱出が出来ないのだ……!!
「まさかこの部屋には能力を封じる結界が張られて……いや、もし張られているならそもそもあの人(通り抜けする男性)も通り抜けできなくなるはずだわ……」
ヒナは原因不明の能力発動不可能状態に困惑したのである。しかも剣も防具も所持していないためかモンスターとも戦えないし、壁を斬れるかどうかも確認できない。翌朝、再び男性がモンスターを連れてやって来たのである。
「おはよう……死刑囚……故郷へ帰られない朝の目覚めはどうだい?」
一方、旅館の方はある展開を迎えていたのである。ニャシャはカンイチを睨み付けて笑いながら言う。
「保安官さん……結界は溶けましたよ。ガソリン技はまた後日披露しますからね……」
そう言うとニャシャはガソリンの球体を右手で吸い取り無くしたのである。能力を行使していた他のメンバーも能力を抑えてニャシャを見つめるしかなかったのである。ニャシャはそのまま旅館を出ると姿をくらましたのである。そして結界も無くなったのである。
「はん……何だあいつは……」
マサチカがちらりと呟くと新平は激怒した。
「お前が加勢せんからこうなったんや!!」
「自分と関係ないことに首を突っ込んで何がいかんのけ!?おんどりゃふざけたらいけんぞ!!」
「はいはい……やめなさい。」
カンイチが二人を制したのである。その頃、女性保安官はこの旅館にいる女性四人(読組・永山・ノリカ・ビスカイノゥ)と同じ女性保安官一人に結界が破れた途端にやって来た女性保安官7人(増員で呼んでいた男性保安官8人と女性保安官7人が入れるようになったので)と共にある広い部屋へ向かうことにしたのである。
「女性陣は安全な場所へ……」
「分かった。頼むよ。」
カンイチは了承したが、保安官(警察官)除く他の四人は現場から離れるのを嫌がった。以下は読組、永山、ノリカ、ビスカイノゥの順。
「まだ色々見たいのに~!!」
「私は戦えます!!」
「事件と関わりがあるので離れたくありません……」
「私は女だけど男扱いしてよ!!か弱い女じゃないんだから!!」
一番激怒していたのはビスカイノゥであった。そりゃそうだ……口調がやや男勝りであるからして大体そんな性格だというのが分かる。しかし保安官の指示には逆らえず女性21人(旅館内の女性も集めて)を安全な場所へ誘導するのであった。地下へ向かう階段を降りてある部屋へと進む。そして部屋に着くとそこは旧宴会場であった。今は緊急避難用の部屋になっているため奥にある机を除き何も置いておらず現場に残る男性陣を加えてもまだまだ人が入る部屋であった。
「地下にこんな部屋があったとは……」
保安官の指示で避難所へと案内した女性に対して保安官が呟く(彼女は『避難所へと案内してください』と従業員に頼んだと言う)。その部屋の机にはヒナが読んでいる緑の本が置いていたのである。だが保安官は突然涙を流したのである。
「この場所……私の故郷の建物の内部によく似てるわ……帰れるなら帰りたい……でももう……」
何らかの想いはあれど帰れない場所であることは彼女の語りから伺えた。
「必ず古座川へ帰るんだ……」
今、ヒナは何処にいるのか分からない。だからこそ当然帰省も出来ないし、それどころか“場所すらわからないために自分の世界かどうかすら判断できない”のだ。
「到摩君……一体どうして……?」
なぜ突然黒岡はヒナに牙を向いたのか未だに分からないのであった。そして能力で壁をぶち破れるかどうか確かめることにしたのである。だが……
「ちょっと……技が使えない!?」
なんと能力が使えないのである。氷が出てこない……つまり能力で脱出が出来ないのだ……!!
「まさかこの部屋には能力を封じる結界が張られて……いや、もし張られているならそもそもあの人(通り抜けする男性)も通り抜けできなくなるはずだわ……」
ヒナは原因不明の能力発動不可能状態に困惑したのである。しかも剣も防具も所持していないためかモンスターとも戦えないし、壁を斬れるかどうかも確認できない。翌朝、再び男性がモンスターを連れてやって来たのである。
「おはよう……死刑囚……故郷へ帰られない朝の目覚めはどうだい?」
一方、旅館の方はある展開を迎えていたのである。ニャシャはカンイチを睨み付けて笑いながら言う。
「保安官さん……結界は溶けましたよ。ガソリン技はまた後日披露しますからね……」
そう言うとニャシャはガソリンの球体を右手で吸い取り無くしたのである。能力を行使していた他のメンバーも能力を抑えてニャシャを見つめるしかなかったのである。ニャシャはそのまま旅館を出ると姿をくらましたのである。そして結界も無くなったのである。
「はん……何だあいつは……」
マサチカがちらりと呟くと新平は激怒した。
「お前が加勢せんからこうなったんや!!」
「自分と関係ないことに首を突っ込んで何がいかんのけ!?おんどりゃふざけたらいけんぞ!!」
「はいはい……やめなさい。」
カンイチが二人を制したのである。その頃、女性保安官はこの旅館にいる女性四人(読組・永山・ノリカ・ビスカイノゥ)と同じ女性保安官一人に結界が破れた途端にやって来た女性保安官7人(増員で呼んでいた男性保安官8人と女性保安官7人が入れるようになったので)と共にある広い部屋へ向かうことにしたのである。
「女性陣は安全な場所へ……」
「分かった。頼むよ。」
カンイチは了承したが、保安官(警察官)除く他の四人は現場から離れるのを嫌がった。以下は読組、永山、ノリカ、ビスカイノゥの順。
「まだ色々見たいのに~!!」
「私は戦えます!!」
「事件と関わりがあるので離れたくありません……」
「私は女だけど男扱いしてよ!!か弱い女じゃないんだから!!」
一番激怒していたのはビスカイノゥであった。そりゃそうだ……口調がやや男勝りであるからして大体そんな性格だというのが分かる。しかし保安官の指示には逆らえず女性21人(旅館内の女性も集めて)を安全な場所へ誘導するのであった。地下へ向かう階段を降りてある部屋へと進む。そして部屋に着くとそこは旧宴会場であった。今は緊急避難用の部屋になっているため奥にある机を除き何も置いておらず現場に残る男性陣を加えてもまだまだ人が入る部屋であった。
「地下にこんな部屋があったとは……」
保安官の指示で避難所へと案内した女性に対して保安官が呟く(彼女は『避難所へと案内してください』と従業員に頼んだと言う)。その部屋の机にはヒナが読んでいる緑の本が置いていたのである。だが保安官は突然涙を流したのである。
「この場所……私の故郷の建物の内部によく似てるわ……帰れるなら帰りたい……でももう……」
何らかの想いはあれど帰れない場所であることは彼女の語りから伺えた。
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