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第15章・古座川町編
“根が無い”
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その頃、あるアパートの男性が部屋から出てきてすぐ近くの職場へと向かっていた。そして到着すると男性は職場の女性からあることを言われ、表情は分からないが激怒した様子を見せていた。そしてある中年女性の元を訪ねると口論となり、男性が腹部にパンチを食らわすと女性は気を失ったのであった。
すると場面は変わり、ある建物の一室。連れてこられた女性の元に現れたのは例の黒四だった。彼は水入りの紙コップを持ってきていたのである。
「ちょっと、私に何しようというの?」
「大丈夫……殺しやしない。」
「そういう問題じゃないわ!!私が何でここに連れてこられたのかということだ。」
「…………悪いがウチの方針だ…………怒らせた相手が悪かっただけだ……たまたまとはいえども。」
どうも先程の男性が黒四達の元に連れてきたようだが女性にしてみればたまたまトラブルを起こした相手が怪しい組織内の人間だったとか知る由もないし納得いかないはずだ。
「あの人に謝れば解放してもらえるの?」
女性は紙コップに入った水をぐいぐい飲んだのであった。
「ありがとう……少し気持ちは落ち着いたけど解放してくれるかしら?」
「いや……もうあなたはそれを飲んでしまった……」
「?」
“ガクッ”
再び女性は意識を失ったのである。黒四は女性を抱き抱えて心の中である思いをよぎらせていた。
「(我々の組織は大きいが肝心の“根”が無い……だから大量に人員を加入してもすぐに脱退者が後を絶たない。『根が無い組織』などもろいものさ……W様はそれを理解されておられるのだろうか……?)」
黒四には何か思うことがあるのだろうか……殺人を犯した人間とは思えない優しい表情で女性が眠る姿を見つめていたのである。
その頃、黒四に『根が無い』と指摘された連中共はいつも通りの活動をしていたのである。
「おい、また『安芸路』がやらかしたらしい。」
「また、あいつか……」
任務失敗をしたのは『安芸路』こと賀楽挟保であった。大東似のこの人物もまた純粋なアレらしいのである。
「今回何したんだ?」
「ある人物の粛清という任務だったようだがせっかく追い詰めたのにうっかり逃がしたらしい。」
「あ、知っとる。敵対組織の笠松官僚の粛清だろ?あのバカ賀楽……ミスったんかよ!?」
どうやらこの『安芸路』なる人物は重大任務を失敗したらしく、仲間からも批判されていたのである。あだ名は“ウズラ”というらしい。
「W様も今回ばかりは許さないだろう。」
「いやいや、W様どころかさらに上の方がお怒りになられているとか……」
「あーあ、粛清されるなこりゃ……」
どうやら『安芸路』に対してこの組織を統べる人物の怒りまで買っているようだ。勿論この人物を怒らせると当然……消されるのだ。
「あちゃーだな。何か別の形で取り返さないと無理だなこりゃ……」
するとある人物が立ち上がって言ったのである。
「助け船を出してやるか……」
ある仲間の男性の助けの意思に皆が驚いたのである。なぜなら『安芸路』は組織内でも好かれていなかったからである。
すると場面は変わり、ある建物の一室。連れてこられた女性の元に現れたのは例の黒四だった。彼は水入りの紙コップを持ってきていたのである。
「ちょっと、私に何しようというの?」
「大丈夫……殺しやしない。」
「そういう問題じゃないわ!!私が何でここに連れてこられたのかということだ。」
「…………悪いがウチの方針だ…………怒らせた相手が悪かっただけだ……たまたまとはいえども。」
どうも先程の男性が黒四達の元に連れてきたようだが女性にしてみればたまたまトラブルを起こした相手が怪しい組織内の人間だったとか知る由もないし納得いかないはずだ。
「あの人に謝れば解放してもらえるの?」
女性は紙コップに入った水をぐいぐい飲んだのであった。
「ありがとう……少し気持ちは落ち着いたけど解放してくれるかしら?」
「いや……もうあなたはそれを飲んでしまった……」
「?」
“ガクッ”
再び女性は意識を失ったのである。黒四は女性を抱き抱えて心の中である思いをよぎらせていた。
「(我々の組織は大きいが肝心の“根”が無い……だから大量に人員を加入してもすぐに脱退者が後を絶たない。『根が無い組織』などもろいものさ……W様はそれを理解されておられるのだろうか……?)」
黒四には何か思うことがあるのだろうか……殺人を犯した人間とは思えない優しい表情で女性が眠る姿を見つめていたのである。
その頃、黒四に『根が無い』と指摘された連中共はいつも通りの活動をしていたのである。
「おい、また『安芸路』がやらかしたらしい。」
「また、あいつか……」
任務失敗をしたのは『安芸路』こと賀楽挟保であった。大東似のこの人物もまた純粋なアレらしいのである。
「今回何したんだ?」
「ある人物の粛清という任務だったようだがせっかく追い詰めたのにうっかり逃がしたらしい。」
「あ、知っとる。敵対組織の笠松官僚の粛清だろ?あのバカ賀楽……ミスったんかよ!?」
どうやらこの『安芸路』なる人物は重大任務を失敗したらしく、仲間からも批判されていたのである。あだ名は“ウズラ”というらしい。
「W様も今回ばかりは許さないだろう。」
「いやいや、W様どころかさらに上の方がお怒りになられているとか……」
「あーあ、粛清されるなこりゃ……」
どうやら『安芸路』に対してこの組織を統べる人物の怒りまで買っているようだ。勿論この人物を怒らせると当然……消されるのだ。
「あちゃーだな。何か別の形で取り返さないと無理だなこりゃ……」
するとある人物が立ち上がって言ったのである。
「助け船を出してやるか……」
ある仲間の男性の助けの意思に皆が驚いたのである。なぜなら『安芸路』は組織内でも好かれていなかったからである。
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