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第14章・日常へ戻る時
福岡俊一②
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俊一とマルティネス等の事情聴取をしようとした直露達だが、デッキの上にいた親子の娘の風船が飛んでいったのである。
「メアリー、風船がないわよ!」
「あっ!取ってママっ!」
「無意識に手を話したのか……オリーブ、取ってあげなさい。」
「分かったわ、ガナッシュ!」
母親らしき人物(オリーブ)は空中に風を起こして風船をデッキの方に寄せようとするが、この日の海上の風は強く母親の風は打ち消されたようだ。
「お前の能力(リミット)でもだめか……」
父親(ガナッシュ)は落胆し、娘(メアリー)は泣き出したのである。それを見た俊一はデッキの方へと向かった。
「お母様、私が取りに行きましょう!!」
「あ、危ないですよ!?」
「あの距離なら私の能力で取れますよ。」
そう言うと俊一は右腕を横にぐるぐる回し始めたのである。すると手はヘリコプターのプロペラのようにぐるぐる回り、左腕もぐるぐる回すとやはりプロペラのように回り始めたのである。
「あんた……」
「サブレーさん、僕は腕をプロペラの様に回すヘリコプター使いです。」
「!?」
なんと俊一は能力者であった。彼は普段から土地や氏(うじ)の研究に関心があり、兄(俊策)と協力して研究しているのだという。そのためこの能力は非常に役立つようだ。
「ただ、この能力……僕の体力を非常に消費するので今の体力では長らく持ちません。急いで取ります。」
“バタバタバタバタバタ……”
本物のプロペラの音に包まれて俊一は空を飛んだのである。しかもスピーディーである。風船を見つけた俊一は風船の紐を口でくわえて無事にデッキに戻ってきたのである。
「お嬢ちゃん、はいコレ。」
「おじちゃん、ありがとう!!」
「(お……おじちゃん!?)」
少し『おじちゃん』呼ばわりされたのはショックだが、子供の笑顔を見た俊一は『取ってあげれてよかった』と思った。
「ありがとうございました……このご恩は“必ず”返します。」
「いやいや、当たり前のことをしただけなので……!!」
父親からのお礼に少し驚く俊一。その姿を見たクライサはマルティネスに語った。
「あれがスパイの人間ですか?あれだけ純粋な心を持つ人が本当に腹が黒いとは思えませんよ。」
「少し私は早とちりしていたようだ……」
俊一の優しい性格が人を救う……その姿を見て直露達は気持ちがほっこりしていたのである。
「メアリー、風船がないわよ!」
「あっ!取ってママっ!」
「無意識に手を話したのか……オリーブ、取ってあげなさい。」
「分かったわ、ガナッシュ!」
母親らしき人物(オリーブ)は空中に風を起こして風船をデッキの方に寄せようとするが、この日の海上の風は強く母親の風は打ち消されたようだ。
「お前の能力(リミット)でもだめか……」
父親(ガナッシュ)は落胆し、娘(メアリー)は泣き出したのである。それを見た俊一はデッキの方へと向かった。
「お母様、私が取りに行きましょう!!」
「あ、危ないですよ!?」
「あの距離なら私の能力で取れますよ。」
そう言うと俊一は右腕を横にぐるぐる回し始めたのである。すると手はヘリコプターのプロペラのようにぐるぐる回り、左腕もぐるぐる回すとやはりプロペラのように回り始めたのである。
「あんた……」
「サブレーさん、僕は腕をプロペラの様に回すヘリコプター使いです。」
「!?」
なんと俊一は能力者であった。彼は普段から土地や氏(うじ)の研究に関心があり、兄(俊策)と協力して研究しているのだという。そのためこの能力は非常に役立つようだ。
「ただ、この能力……僕の体力を非常に消費するので今の体力では長らく持ちません。急いで取ります。」
“バタバタバタバタバタ……”
本物のプロペラの音に包まれて俊一は空を飛んだのである。しかもスピーディーである。風船を見つけた俊一は風船の紐を口でくわえて無事にデッキに戻ってきたのである。
「お嬢ちゃん、はいコレ。」
「おじちゃん、ありがとう!!」
「(お……おじちゃん!?)」
少し『おじちゃん』呼ばわりされたのはショックだが、子供の笑顔を見た俊一は『取ってあげれてよかった』と思った。
「ありがとうございました……このご恩は“必ず”返します。」
「いやいや、当たり前のことをしただけなので……!!」
父親からのお礼に少し驚く俊一。その姿を見たクライサはマルティネスに語った。
「あれがスパイの人間ですか?あれだけ純粋な心を持つ人が本当に腹が黒いとは思えませんよ。」
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