ヒナの国造り

第１３章・Ｗの野望

『技術模写(アーティスティック・コピー)』①

ファルルはニヤニヤとヒナを見ながら闘志をみなぎらせていた。

「じゃあ、そろそろやる？」

「相手は私よ！」

ルミは怒り口調で自分がファルルの相手と強く主張した。ところが懐から何らかの紙をファルルは取り出して読みはじめたのである。

「ルビィ王女……あなたは以前、周参見野フランチェスコ(すさみの・ふらんちぇすこ)外務長官と共にフレーク諸島での内乱に参加したらしいわね。」

「！？」

「周参見野長官から少し“手荒”に聞き出したの。王女が行事参加のフリして内乱に参加したらダメじゃないの……父親が聞いたらただじゃすまないわね……」

「う…………」

「それを隠す条件としてあそこの能力を私に取り組んでもよろしいかしら？」

なんとファルルはヒナの能力を吸収したいと言い出したのである。

「ヒナさん……どうする……？」

「…………私なら良いですよ。その話は外に漏らしてはいけないですし……」

「そう？助かるわ……ありがとう……」

「あ、私は技を吸収するのではなく模写(コピー)をするからあなたの能力は奪われないわ。」

「それなら助かるわね……ルミさん、頑張って！！」

「ありがとう！！」

しかしルミは呟いた……

「(どうして周参見野さんが“吐いた”のかしら…………手荒とはいうけどあの人が“そう簡単に負ける人”じゃないのに…………しかも口が堅い人なのに、何をしたのかしらこの女！？)」

ルミのためにと能力模写に賛同したヒナの右手をファルルは握り、目をつむる。すると青色のオーラがヒナからファルルに流れてきたのである。

「あ、結構模写は上手くいったみたいね……」

「(何をする気だろうこの人……)」

上手く模写できて笑顔を見せるファルルにヒナは少し疑問を覚えたのである。

「さてルビィ王女、あなたの能力を見せなさいっ！！」

「ん？皇帝の一族の方は能力を持っているのか！？」

皇帝一族で特殊能力を持っている人を聞いたことがないのか護は驚いた。しかしファルルはニヤニヤしながら言ったのだ。

「いやいや、どんな人でもあるのよ……身分とかは関係なく能力はある方が有利な点もあるの。」

「なるほどな……」

「わかったわ、そろそろ披露するわ。」

するとファルルはあることを思い出したようだ。

「もう数時間後かしら……いよいよ『解散(ディソルーシャン)』の時間よ。」

「もう解散か？」

「解散？」

「あら、あなたはこの世界の人じゃないのね？」

どうもヒナにはまだまだ分からないことがこの世界にあるようだ……