ヒナの国造り

第１２章・ヒナの国造り

危険な音楽『フズ・ムジカ』③

するとガレオンはある人物を紹介したいという。

「あなた達が楽譜を探しているのであれば“クラシカルのテルマ”こと清亘テルーマーディラス(きよわたり・てるーまーでぃらす)に一度会うといい。彼は僕の従兄でこのメータ村をはじめとするシードルエリアでは彼の影響力は高いよ。」

ガレオンが四人に人物像を説明しているとクラシックのコンサートの演奏家みたいな雰囲気の人物が店にやってきたのである。

「ああ、ガレオンさん久しぶりですわ。ん？この方達は……？」


一方、メータ村から少し離れた場所でヒナの世界の警察官のような服装をした二人の男性がいた。ワゴン車の上から一人はヒナの世界でいう望遠鏡を村の方に向けて眺め、もう一人は左目を丸の形の指で囲み(手の虫眼鏡か)ながら眺めていたのである。

「くそっ！Ｗの関係者が……メータ村に来てやがる！！」

手の虫眼鏡をしていた中年より年上な感じの“千里眼のサブ”こと日紙サブレー(ひかみ・さぶれー)はメータ村にＷ関係者がやってきたことに怒りを覚えていた。

「サブちゃん……イライラしていたらダメだけどね……」

サブレーをなだめたのは望遠鏡を眺めていて彼もまた中年より上の年齢と思われる“ブレイクのドル”こと梅原ドルメン(うめはら・どるめん)である。

「いや……Ｗ一味は我々一族の敵で……」

「今は自分の感情を出しちゃダメですよ。」

怒りを抑えられないサブレーをドルメンがなだめる……するとヒップホップなノリに合わせて二人同様警察官のような服装をした若い人物が現れたのである。

「いぇーい！！」

「何が『いぇーい！！』だっ！！私はイライラしているのだ！！！少しは謹まんかい！！」

「サブちゃん、いい加減にしいや！！気持ちは分かるけど彼は緊迫した雰囲気をほぐそうとしてくれているんですよ！！そんなにきつく言っちゃダメだっ！！！」

苛立ちを見せて若い男性を怒りはじめたサブレーにしびれを切らしたのかドルメンが彼に厳しく注意した。

「ドルさん……すまんかった。君、さっきは悪かったな！！」

「いえいえ、こちらこそごめんなさい！！」

この若い青年は“ヒップホップライバー”和歌島ルイド(わかしま・るいど)である。ノリはこんな感じだが表彰経験多数の有望な人物である。

「僕たち、保安官は必ず悪を倒さなければならない！だからノリを良くして頑張る♪」

「さすがだ。」

和歌島を見てドルメンは笑みを浮かべた。その頃、何も知らない四人組はテルマと会話を続けていたのであった。