ヒナの国造り

市川 雄一郎

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第12章・ヒナの国造り

俊策の狙い②

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俊策と合流した勤はもう一人誰かをつれてきているという。とりあえずカフェに二人で待機することにしたのであった。勤は携帯で情報を集めており、俊策は新聞を再び読み始めていたのである。するとカフェにあるテレビが映ったのだ。

『今日の『楽しい旅で良い気分』はスーザック村から中継です!!』

「(スーザックから?)」

俊策はテレビに釘つけとなり、勤も一緒に見ていたのであった。すると中年の女性と思われる人物が映ったのである。

「(おふくろ!?)」

「俊策さんどうしました?」

「いやいや何もないよ……」

「(本当に?)」

驚く俊策に勤がどうしたかと聞くと何もないというので勤は何か怪しいと思ったようだ。どうやら俊策の母親らしいのだ。

『いやー、お母さん!元気そうですね!』

『いやいや、俊策が嫁さん見つけるまで私はまだまだ働かないといけないワイ!!』

「(実名出すなあ~っ!!)」

「俊策さん……隠すだなんて照れ屋さんですね~」

「勤君、これには訳があってだな……」

「別に……隠さなくても良いじゃないですか(笑)。愛想のあるお母様で素敵じゃないですか!!」

「そ……そうか?」

勤は俊策の母親を評価したのである。俊策はそれを聞いて少しホッとしたようだ。

「そう言ってもらえたら僕も幸いだ……」

「隠す必要なしですよ!!お母様を大切にですよ!!」

「ああ見えても若かりしときは美人だった……素敵な母親だ。」

なぜかテレビに出た俊策の母親を見てほっこりする二人の元にある人物がやって来たのである。

「やって来ましたよ。」

「彼女が?」

「はじめまして俊策様。私は神保家当主の娘の神保ドロシー(じんぼ・どろしー)と申します。以後お見知りおきを……」

「(なかなか綺麗な子じゃないか……神保姓ということは崇登の娘さんかな?)」

勤の友人であるドロシーの姿に少し俊策はうっとりしたのである。ボーイッシュな服装だが上品なしゃべり方で少し惚れてしまったようだ。

「(あのー、一応僕の彼女ですからね俊策さん。)」

「(あー、すまんすまん。)」

二人がこそこそ会話しているのを笑顔で眺めるドロシーであった。しかしドロシーは当然普通の女の子ではなかったのだ。

「私はこう見えて意外かもしれませんが防衛隊の一班の班長をつとめています。」

なんとレベルの高い人材が集まる防衛隊の一班をまとめる班長だというのだ。そしてもうひとつ衝撃的な発言をするのである。

「私は……遠い過去世はこの世界を荒らしまくった悪龍・デッドリードラゴンです。時々その記憶が蘇ってきます……!!」

「!?…………すごい……!!」

「ドロシーちゃん、それ本当か!?」

なんと勤はドロシーがデッドリードラゴンの生まれ変わりだと今まで知らなかったというのだ。俊策にとってすごい援軍のようだ……!!
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