ヒナの国造り

市川 雄一郎

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第12章・ヒナの国造り

レフティー

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ヒナは驚愕の事実を知り、困惑したのだ。

「どうして自分の子を……捨てたの?」

するとリラは少し語り始めたのである。

「捨てたくて捨てたわけじゃないの……私は生まれたばかりの息子を抱いて追手から逃れていたとき、敵に拳銃で撃たれてしまったの……気付いたらある民家に居てそこの老夫婦達が私を助けてくれたの。でも息子は……将志はいなくなり、それは辛かったわよ。どうしようも出来ないから老夫婦と一緒に住んでいたらある男が私のいた村を手下達と襲撃して老夫婦をはじめ、村の人達を殺していたの。そして私は彼らに誘拐されて連れてこられた場所がW様のアジトだったの……」

その話を聞いたヒナは疑問点を追求したのである。

「なぜ助けてくれた人達を殺されたのに殺した人の手下になるの!?普通は恨むはずよ!!なんでそこで復讐じゃないの!?」

「仕方ないわよ……生きるためには犠牲も必要よ……後でW様から息子の居場所を聞いたときは安堵したけどね……」

「…………将志君をそのまま放置して恩人の死を何とも思わずあなたは少し頭がおかしいんじゃないの!?」

「あなたに何がわかるの!?」

“パチーンっ!!”

リラはヒナの右ほほを左手で平手打ちをしたのである。

「やったわね!!」

二人とも武器を置き、今度はヒナが右手でリラの左ほほをはたいたのである。

“パチーン!!”

「なかなか効くじゃない!!でもあなたには何も分からないのよ、私の苦しみが!!」

“パチーン!!”

「あなたの苦しみなんか理解したくもないわよ!!あなたの苦しみがたくさんの人を不幸にしているの、気付かないの!?」

“パチーン!!”

「ホントに聞いてりゃ、分からず屋ねあなたはっ!!」

“パチーン!!”

すると二人はほほを(リラは左ほほを、ヒナは右ほほを)痛そうに手で抑えたのである。

「リラさん……でしたっけ?なかなかやるじゃないの……」

「あなたこそ……高い攻撃力があるわね……」

リラはヒナの身体能力の高さに気付いたのか衝撃の発言をした。

「ごめんなさいね、今まで手加減していたの?」

「?」

「でも、もう今から本気でいくわよ。」

「今まででも十分…………って……まさか……!?」

「そうよ……私は“レフティー”なの。隠しててごめんなさいね。銃をかまえる手を左に代えれば命中率はアップするからね…………」

「…………!?左利きなの……!?」

なんとリラは平手打ちの時に確かに左手を使っていたがなんと銃も左撃ちだったのだ。右でもうまく撃っていたリラだったため、ヒナは自分の命の危機を察したのか顔色が青ざめたのである。
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