ヒナの国造り

市川 雄一郎

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第10章・団結に向けて

周参見野一族と日紙家の因縁②

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この周参見野俊策なる人物は父親がウィンガタウンで仕事をしていた時に同所で生まれて竜太と同じ学校だった時期がある。そしてドーリンの武器製造会社に一時期勤めており、アラドシティから仕事でドーリンにやって来た振媛と一緒に仕事をしていた時期もあるという。

「僕の弟から聞いた話だが東住吉家も本来はこの世界がルーツではないと聞く。」

「そうだよ俊策君。こちらの世界にルーツはないそうだよ彼。」

英寛は俊策にそう答えた。俊策はそれを聞くとニヤッとした表情を見せたのであった。弟は福岡俊一(ふくおか・しゅんいち)といい、跡継ぎのいない母方祖父の実家(福岡家)を継いだ人物だが彼には個人情報を収集する癖があるという。その彼が東住吉家のルーツを知りたくなり、兄として協力しているのだという。

「しかし英寛さん、この世界には跡継ぎのために養子入りしている人が多いですね……」

「あ、それは跡継ぎの重要性もあるし……何より作者が以前に……」

「世界の風紀が乱れる!!言うなっ!!」

「すみません…………」

俊一が兄の俊策に質問し、それを俊策が答えようとしたら英寛は激怒した。余計なことは口に出してはならないのだ。俊策は再び気を取り直して東住吉のルーツについて聞こうとした時だった。ところがある男性が怒号を浴びせたのである。

「日紙の血が流れているからって重要な部分の話し合いから話題をそらすなっ!!」

「誰だ!?」

怒号の声の主は周参見野謙(すさみの・けん)であり、彼の妹はあのダイナマイト事件で死亡した日紙家に嫁いだ人物であった。

「謙、落ち着きなさい……」

「親父、落ち着けるか!!大切な妹だったんだ!!あの日紙直伸という男は絶対許せないわぁっ!!!」

「お前の気持ちは分かるが今は彼の話にも……本来は東住吉家についての話がメインなんだ……」

「そりゃ分かっている。けど“日紙”の名前を聞くだけで怒りが沸いてきて……許せないよ。」

「謙……お前……。俊策君、謙がすまなかったな。」

英寛は謙をなだめると俊策に謝罪したのである。

「いや、英寛さんは悪くないです!!急に話題を戻した俺が悪いんですッ!!」

「こっちこそあんな最低な発言をしてすまなかった…………」

「謙、気にすんな。俺も悪かった……同じ一族同士仲良くしよう!!」

気がつけば二人は仲直りしてガッシリと握手をしていたのであった。英寛はホッとしたがこれからは東住吉家の話に戻るようだ。
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