ヒナの国造り

第１０章・団結に向けて

地下の決戦！！ヒナ対振媛①

少しダメージを受けた振媛だがまだ体力はあるようだ。しかしそれはヒナも同じでダメージを受けたにも関わらず彼女も普通に起き上がったのである。

「あなた……なかなか強いわね。」

「でも育ちの環境が違うから私なんかまだまだよ。」

「言うねぇ……あんたのことは気に入ったわ。でも泥棒猫に負けて子供達を奪われたくないッ！！」

「私は泥棒猫なんかじゃありませんし、そのセリフはあなたにいう資格がありませんっ！！」

ヒナの批判を受けた振媛は再び飛び上がり、ヒナの方に身体を向けたのである。

『パイロットアタック！！！』

振媛はヒナ目指して急降下して突進してきたのである。だがヒナは横にジャンプして攻撃を避けては再び攻撃の構えをしたのである。

「おい……よく避けたな。」

「たまたまですよ……」

さすがにヒナのいう環境の違いの指摘は正しいのかヒナは大量の汗をかき、息は上がっていた。しかし振媛は汗も少ししか流れておらず、息に至っては乱れている気配がない。

「息が乱れているのに避けるなんてなかなかの技術だわ……ただのニャンニャン娘じゃないようね……」

「何ですかニャンニャン娘って…………私は猫じゃなくて人間だからねッ！！！」

ヒナは気合いをいれて氷の弾を撃とうとしたらなんと吹雪が発生したのである。

「！！？」

「わっ、何で吹雪が……！？でも相手には応えてるようね……！！！」

不死鳥は火属性とあってか吹雪の攻撃は苦手としている。振媛は転落すると人間の姿に戻ってうずくまっていたのである。

「(鳥海寺さん……あんたは自分の能力を過信しすぎている。だからたまたま相手が氷使いだからここまでやられたんだよ。あんたの敗けだよ……)」

花井はそう呟くとヒナの方を向いたのである。

「(たまたまとはいえよく氷の能力を持っていたな。しかも謙虚な姿勢だからこそ自分を過信していた鳥海寺さんを倒すことが出来た。これで“あいつ”も報われるだろう……ありがとうな。)」

花井によると振媛は不死鳥の能力を手に入れてからは異常なまでに自分の強さに誇りを持ち、どんな相手にも平気で立ち向かう気の強さを取得していたのであった。だが本来の気の弱さはヒナの気迫を見せた時に伺わせており、たまたま氷属性の技を持つヒナだったからこそ相性が悪かったとはいえどもここで振媛が勝てば完全に彼女は勘違いをしていたかもしれないという。これで良かったのかもしれない……とのことである。