ヒナの国造り

市川 雄一郎

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第10章・団結に向けて

事故と覚醒①

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和也は一旦攻撃を止めて目を瞑ったのである。松浦は驚き、手を止めた。


例の3年前のウィンガタウンの爆破事故の前の日の西住吉家。そこそこ大きな家で両親、伯父夫妻、従兄、兄、妹とそして祖父母と9人で幸せな生活をしていたのである。夜の食事はパーティー会場のような机で9人が座って食事をする。

「お母さんの作るステーキは最高だな。」

「和也はいつも美味しく食べてくれるから作りがいがあるわ。」

「本当に美味しいんだもん!お父さんと同じ年齢ならお母さんと結婚していたよ!!」

「和也、お前は本当にお母さんのことが大好きだな!!」

父親は豪快に笑った。家族皆が当たり前のはずだった幸せの食事風景……この日の食事が最後の家族団らんの食事になるとは誰も予想しなかっただろう。

「さあ、和也と雅也(まさや、和也の従兄)は修学旅行だからもう行きなさい。」

日曜日の朝6時。修学旅行に行くために早起きして和也達は家を出て旅行先のポロロッカシティ(ドーリンの近くの街らしい)に行くと、残りの家族で二人のいない朝の食事会があった。これが正式に西住吉家最後の食事会であったのだ。

「ん?なんかキナ臭いわね……」

和也の母はある臭いに気がついたのである。その臭いこそ……


一方、修学旅行で皆と(ヒナの世界でいう)テーマパークで遊んでいた和也達は何も知らなかったのである。いや、修学旅行に参加していた全員が3泊4日を終えるまで何も気づくことはなかったのだ。帰りのバスの中で運転手がたまたま(ヒナの世界でいう)ラジオをかけるとかけた時のチャンネルがニュース番組だったのだ。

『ニュースをお伝えします。3日前に発生したウィンガタウンでのエネルギータンクの爆発事故の続報です。』

これを聞いたとたんに全員が凍りついたのである。信じられない事故が起きていたのである…………

「え……どういうこと……?」

地元に到着してすぐに自宅に向かう二人だったが自宅は火災で全焼しており、近くにいた救護隊(レスキュー隊員)によるとこの家には事故当時は7人がいたという。

「この家に7人が住んでいたけど皆が既に手遅れだった…………」

「!!?」

二人はしゃがみこんでしまい、お互いに抱き合って泣いたのである。いつのまにか家族を失った辛さが重く二人にのしかかったのである。

「本当に申し訳ない…………」

救護隊の男性も二人の泣き合う姿を見て涙を隠せなかったのだ……
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