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第10章・団結に向けて
GUEST③
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尚徳は呟いた。
「あの子は優しい子なんです。今でも普通にすれ違っただけではこんな辛い人生を送っているとは想像できないくらいの子です。」
「そうですか……たしかに初めて会ったときはそんな子には見えませんでした。幸せそうな笑顔を見せていましたからね。」
尚徳曰く、辛い経験を表に出さないヒナは常に明るくパーティーでも音頭を取るタイプであり暗い子を自分のオーラで明るくできるほどの子だという。
「我々夫婦にとってヒナちゃんはかけがえのない存在で本当の娘のように接してきました。うちの子供達の面倒もよく見てくれましたしね……」
場面は一旦変わり、一方でヒナは市川急死後は嫌な監視に睨まれながらも雪と楽しく過ごしていたのである。
「雪ちゃん、体調は大丈夫?」
「大丈夫ですよ!」
すると二人の元にある女の子の姿があった。ヒナはその子を手招きして話しかけたのである。
「お話ししようかな?」
「うん!」
「元気の良い声ね。私は猫屋敷日奈凛というの。“ヒナ”で良いわよ。」
「私は東口喜愛(ひがしぐち・きあ)です。よろしくお願いします……」
「喜愛ちゃんね!こちらこそよろしくね!」
「うん!」
またまた場面は変わり、電車内。尚徳はヒナの話を延延と続けていたのである。
「僕の元々いた中(なか)家の古文書を小学3年生だった8歳のヒナちゃんに見せたことがあります。それを読んだ彼女は自分のルーツに関心を持ってくれました。その時に僕と彼女に血の繋がりがないということを説明するととても泣いていました。自分の先祖と思っていたのでしょうから悪いことをしたなと思います。」
「恭平兄さんも同じようなことを言ってましたね。青山家のルーツは代々音楽の伝統を伝える兄さん好みの家系でしたが中学時代に値が繋がらないことを彼のお養父さんが伝えるとしばらく落ち込んでいたようです。ただ、その家の娘さんが兄さんを恋人のように好きだったことと本人も『次世代に青山家の伝統を継がせたい』との思いが一致して結婚したと言います。ただ兄さんは子供より奥さんの方が大好きみたいですがね…………」
「ハハハ、昔から一緒に住んでいれば良くも悪くも性格がわかりますから親しくなれますしね。」
「兄さんもそう言ってます。ただ最近はお養母さんの介護もあってか僕もなかなか会えてないのですがね……」
「色々と大変だねえ……」
二人は会話をしているうちに色々な家庭があるのだなあと感じていた。勿論今の二人の目的は一致しているのだが……
「あの子は優しい子なんです。今でも普通にすれ違っただけではこんな辛い人生を送っているとは想像できないくらいの子です。」
「そうですか……たしかに初めて会ったときはそんな子には見えませんでした。幸せそうな笑顔を見せていましたからね。」
尚徳曰く、辛い経験を表に出さないヒナは常に明るくパーティーでも音頭を取るタイプであり暗い子を自分のオーラで明るくできるほどの子だという。
「我々夫婦にとってヒナちゃんはかけがえのない存在で本当の娘のように接してきました。うちの子供達の面倒もよく見てくれましたしね……」
場面は一旦変わり、一方でヒナは市川急死後は嫌な監視に睨まれながらも雪と楽しく過ごしていたのである。
「雪ちゃん、体調は大丈夫?」
「大丈夫ですよ!」
すると二人の元にある女の子の姿があった。ヒナはその子を手招きして話しかけたのである。
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「うん!」
「元気の良い声ね。私は猫屋敷日奈凛というの。“ヒナ”で良いわよ。」
「私は東口喜愛(ひがしぐち・きあ)です。よろしくお願いします……」
「喜愛ちゃんね!こちらこそよろしくね!」
「うん!」
またまた場面は変わり、電車内。尚徳はヒナの話を延延と続けていたのである。
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「恭平兄さんも同じようなことを言ってましたね。青山家のルーツは代々音楽の伝統を伝える兄さん好みの家系でしたが中学時代に値が繋がらないことを彼のお養父さんが伝えるとしばらく落ち込んでいたようです。ただ、その家の娘さんが兄さんを恋人のように好きだったことと本人も『次世代に青山家の伝統を継がせたい』との思いが一致して結婚したと言います。ただ兄さんは子供より奥さんの方が大好きみたいですがね…………」
「ハハハ、昔から一緒に住んでいれば良くも悪くも性格がわかりますから親しくなれますしね。」
「兄さんもそう言ってます。ただ最近はお養母さんの介護もあってか僕もなかなか会えてないのですがね……」
「色々と大変だねえ……」
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