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第10章・団結に向けて
尚徳と鉄道の旅③
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尚徳自身、元々親戚ではあるが猫屋敷家に養子でやって来た立場だった。もちろんヒナとは事情は異なるが同じ他家に育てられた者として彼女のことを心配していた。
「私も生まれてわずか数年で中(なか)家から猫屋敷家へとやってきました。猫屋敷家には跡継ぎが不在でその事情から私が養子になることが決まりました。」
「中家の方とのやり取りは?」
「不定期に実の両親とは会っていました。本当は養子に出したくなかったけど親戚の猫屋敷家は大事な財産や土地があり、それを手放さないためという事情から泣く泣く出したと聞きました。今は財産管理は長男がしてくれていますが、すごい金持ちとかではなく普通の家庭なんですけどね(笑)。」
「育ての親は嫌いでしたか?」
「嫌いと決めつけるのは良くないですよ。ただ、僕は嫌いじゃなくて実の親ではないなと薄々感じていました。優しいけど厳しさもある立派な方々でした。育ての親には感謝しています。」
尚徳は男性に身辺を語る。男性も自分の生い立ちにも触れた。
「僕もやはり少し他の子とは違う家庭で常に何事も優秀さをもとめられてきました。普通の家庭みたいに好きなときに遊んだりとかそれらは許されなかった……防衛隊長も実を言えば親に『隊長を目指すくらいの気持ちで行け』と言われて頑張って来ただけの話です。」
「なんか複雑ですね……」
「ええ。複雑ですね。ゲームもバラエティー番組もダメで常に政治番組やニュース番組を見るよう義務付けられていました。」
「あなたのしゃべり方から無理に堅さを強調しているのが分かりますよ。」
「そう感じられましたか。確かに僕は堅い人を演じてきましたが本当はそんな人間にはなりたくなかったです……」
すると男性は車窓を開けて空を眺めたのである。
「星が綺麗ですよ……」
「本当ですね。一つ一つ輝いている……僕も小さい頃はよく星を眺めていましたよ。」
「猫屋敷さん……」
星を眺める二人。すると車掌の声が聞こえてきたのである。
『まもなくトンネルに入ります。窓を閉めてください。』
慌てて男性は窓を閉めると電車はトンネルに入った。トンネルに入ると電車内は少し薄暗くなったがいっこうにトンネルを抜け出す気配はない。
「長いトンネルですね……」
「このトンネルは……普通のトンネルとは違いますからね。」
「?」
トンネルをなかなか抜け出さない電車は二人と運転手・車掌を乗せてずっと、ずっと暗闇を走り続けたのだ。
「私も生まれてわずか数年で中(なか)家から猫屋敷家へとやってきました。猫屋敷家には跡継ぎが不在でその事情から私が養子になることが決まりました。」
「中家の方とのやり取りは?」
「不定期に実の両親とは会っていました。本当は養子に出したくなかったけど親戚の猫屋敷家は大事な財産や土地があり、それを手放さないためという事情から泣く泣く出したと聞きました。今は財産管理は長男がしてくれていますが、すごい金持ちとかではなく普通の家庭なんですけどね(笑)。」
「育ての親は嫌いでしたか?」
「嫌いと決めつけるのは良くないですよ。ただ、僕は嫌いじゃなくて実の親ではないなと薄々感じていました。優しいけど厳しさもある立派な方々でした。育ての親には感謝しています。」
尚徳は男性に身辺を語る。男性も自分の生い立ちにも触れた。
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「なんか複雑ですね……」
「ええ。複雑ですね。ゲームもバラエティー番組もダメで常に政治番組やニュース番組を見るよう義務付けられていました。」
「あなたのしゃべり方から無理に堅さを強調しているのが分かりますよ。」
「そう感じられましたか。確かに僕は堅い人を演じてきましたが本当はそんな人間にはなりたくなかったです……」
すると男性は車窓を開けて空を眺めたのである。
「星が綺麗ですよ……」
「本当ですね。一つ一つ輝いている……僕も小さい頃はよく星を眺めていましたよ。」
「猫屋敷さん……」
星を眺める二人。すると車掌の声が聞こえてきたのである。
『まもなくトンネルに入ります。窓を閉めてください。』
慌てて男性は窓を閉めると電車はトンネルに入った。トンネルに入ると電車内は少し薄暗くなったがいっこうにトンネルを抜け出す気配はない。
「長いトンネルですね……」
「このトンネルは……普通のトンネルとは違いますからね。」
「?」
トンネルをなかなか抜け出さない電車は二人と運転手・車掌を乗せてずっと、ずっと暗闇を走り続けたのだ。
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