ヒナの国造り

市川 雄一郎

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第9章・世界の歪み

階段の先には……①

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京介が階段を見つけると全員で一度分けていたグループを統合して階段を降りて先へと進んでいく。

「いや~、山のなかにこんな線路があるんだなあ。」

山の中の線路とは上と下を結ぶトロッコだったのだろうか……?それは松浦達には分からないが先へと進めばなにか分かるなと思いながら進んでいく。

すると少し歩くと出口が見えてきたのである。出口を出ると山の麓に出はしたが、周りは見たことない景色であった。

「何だここは?」

何処かが分からないためか戸惑いを見せた一行であった。一旦山に戻ろうとも考えたが、ヒナ達が山の外に連れていかれた可能性も考えては山を出て近くの街を彷徨(うろつ)くことにしたのであった。

「あのー、すみません。」

なんと松浦は街の中を歩いていた美人の女性に話しかけたのである。

「こんなときにナンパですか!?」

「違います!!大切な会話です!!」

稲田がナンパかと気にするとどうも松浦は大切な話をしたいと言い出したのだ。

「あのー、すみません……」

「はい!?私!?どうかされましたか?」

「(相手不審がってるじゃないですか……しかも第一声スルーされてますし……)」

稲田の言う通り、相手は警戒していたのである。勿論女性は警戒しながらも松浦の話に応じたのである。

「申し訳ないです。ここはなんと言う街でしょうか?」

「ここですか?ここは『アラドシティ』といいます。別名は“ボックスターミナル”とも呼ばれています。」

「ボックスターミナル?」

「ええ、私も由来は分かりませんがこの街は由緒正しい町だと父方の祖父から聞かせてもらいました。」

「アラドマウンテンは昔から存じておりますが、この街は全然知らなかったですね。」

「だと思います!!ここは普通に来れる街ではありませんからね!!」

「!!?」

どうやら先程の地下道か他にもある方法でない限り、このボックスターミナルに来られないというのだ。

「不思議な街ですな。」

「世間では架空の都市と認定されていますからね…………」

「えーーっ!!?」

「知りませんでしたか?存在が確認されない都市を『空想都市』とされて幻や神話の街のイメージがつくのですが、この街はつい最近認定されました。原因のひとつに出身者に有名な御方が不在なこと、そして街自体が全く名を浸透させていないばかりか有名な祭りや行事もなく、それが空想都市と認定されたきっかけですから。」

女性から聞く話はルーツにも深く関わる話であった。松浦はメモを取りながら真剣に聞いていたのであった。
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