ヒナの国造り

市川 雄一郎

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第7章・Enemy search(敵探し)

売れない作家①

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ある会館の外のベンチでヒナと竜太は無名作家の威摯川と会話していたのである。

「私は家族にも環境にも恵まれずに育ちました。交遊関係もトラブル続きで本当に辛い人生の中に書く楽しさを見いだしていました。」

「僕も同じですよ。周りに恵まれずに人生の路線を何度も脱線しては常に苦しさばかりの日々を過ごしていました。」

「私もずっと施設に育ったから辛い気持ちが分かります。」

3人は生い立ちで意気投合したようである。その後も色々な話をしている。

「僕は知らない男性がいきなり父親になったのはさすがに辛かったです(笑)。それを機にたくさんのマイナスを負ったりしてこれで育ての父が憎いやつならよかったが皮肉にもそんな嫌な人じゃなくてね……」

「それだと憎めないよね……どこに吐けばいいんだ?となりますよね」

「目的は何があったか知らないけど『親は子供を優先する』という意識が欠如していたのかもしれない……」

「だからあなたもその環境にあってか人格を狂わせてしまった……」

「そうです……狂わなければもっといい未来があったのにと思うと悔しいです。」

竜太の愚痴に威摯川は真剣に聞きながら耳を傾けていたのである。
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