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第6章・ヒナの旅立ち
雪と竜太と日奈凛と①
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少しずつ心情を吐露し始めてきた竜太だがまだ何かへの憎しみがある。その竜太に対し、ヒナはやさしく語り始めた。
「私は両親はもう居なかったの。」
「!?」
「生まれてからすぐ捨てられちゃって……それで私は猫屋敷日奈凛(ねこやしき・ひなりん)って名前だけど本当の名前は大原凛(おおはら・りん)なの。」
「(マジかよ……)」
「本当に私の人生は何なのかな……と思うときがあります。親がいないと思うと、涙をこらえきれずに施設の先生(職員)や養父を困らせたこともあるわ(笑)。」
「俺も施設にいた……」
「あなたの顔を最初に見たときから分かりましたよ。苦労されてきたんだなと……純粋が故に怒りや苦しみを胸に納めてしまいずっと我慢してきたんだと……」
「…………」
ヒナの言葉に竜太は何も返せない。一つ一つの言葉が胸に響き、言葉を発する気持ちではなかった。
「竜太さんは本当はお母さんを憎んでいないでしょう?」
「憎んでないよ……芯から憎めるわけないやないか……」
竜太は涙をこらえながらヒナに少しずつ喋り始めた。
「もしおかんが俺を可愛がってくれたら、もしおかんが俺のことを理解してくれたら、もしおかんが男より俺らの方を愛していたら……と常々思う……」
「ですよね。でも竜太さんはまだ終わっていませんよ。これから自分の気持ちを伝えて世の中に竜太さんの名を広げていけばいいじゃないですか!」
「…………」
竜太は首を縦に振って頷いた。そしてヒナは彼の資料を拝見した。
「竜太さんの特殊能力ってアート関係なんですか?」
「ああ、空に向かって自分の持つ筆を使って自分の未来を描くと再現しやすくなる特殊能力(リミットアビリティ)だよ。最近はネガティブ気味で再現していないけどね。」
「だったらポジティブになりましょう!!その能力で人助けしましょう!!」
「人助け……か……。この能力は養父が俺の書いた絵をはじめて誉めてくれた時に突然部屋中に光が溢れていつの間にか習得していると通知が来たんだ。」
「育てのお父さんに感謝ですね!!」
竜太は頷いた。彼の目には涙が溢れ、今にも泣き出しそうな表情であった。すると登藤関が竜太に問う。
「あなたは今回、殺人や傷害に発展していないので裁判を受けるか15日間の福祉活動かのどちらかを選ばします。」
「え?裁判ではないのですか?」
「はい。この世界では更正プログラムとして重罪でない方や重罪でも人への被害が浅い場合は福祉活動をすることがあります。勿論この活動で更正した方はたくさんいます。今まではあなたに選択肢を与える前に裁判に回されていましたが、今回は判断してもらいます。」
「ありがとう。どっちにするかな……」
「竜太さん……」
「分かりました。福祉の方でお願いします。」
「承知いたしました。では15日間、そこの猫屋敷さんと共に福祉活動をしてもらいます。」
「えー、私!?」
「あなたは更正官(保護司)としてです。彼を助けてあげてください。」
「は……はい……」
ヒナは不安な顔つきながら竜太の更正に力をいれることにしたのである。
「私は両親はもう居なかったの。」
「!?」
「生まれてからすぐ捨てられちゃって……それで私は猫屋敷日奈凛(ねこやしき・ひなりん)って名前だけど本当の名前は大原凛(おおはら・りん)なの。」
「(マジかよ……)」
「本当に私の人生は何なのかな……と思うときがあります。親がいないと思うと、涙をこらえきれずに施設の先生(職員)や養父を困らせたこともあるわ(笑)。」
「俺も施設にいた……」
「あなたの顔を最初に見たときから分かりましたよ。苦労されてきたんだなと……純粋が故に怒りや苦しみを胸に納めてしまいずっと我慢してきたんだと……」
「…………」
ヒナの言葉に竜太は何も返せない。一つ一つの言葉が胸に響き、言葉を発する気持ちではなかった。
「竜太さんは本当はお母さんを憎んでいないでしょう?」
「憎んでないよ……芯から憎めるわけないやないか……」
竜太は涙をこらえながらヒナに少しずつ喋り始めた。
「もしおかんが俺を可愛がってくれたら、もしおかんが俺のことを理解してくれたら、もしおかんが男より俺らの方を愛していたら……と常々思う……」
「ですよね。でも竜太さんはまだ終わっていませんよ。これから自分の気持ちを伝えて世の中に竜太さんの名を広げていけばいいじゃないですか!」
「…………」
竜太は首を縦に振って頷いた。そしてヒナは彼の資料を拝見した。
「竜太さんの特殊能力ってアート関係なんですか?」
「ああ、空に向かって自分の持つ筆を使って自分の未来を描くと再現しやすくなる特殊能力(リミットアビリティ)だよ。最近はネガティブ気味で再現していないけどね。」
「だったらポジティブになりましょう!!その能力で人助けしましょう!!」
「人助け……か……。この能力は養父が俺の書いた絵をはじめて誉めてくれた時に突然部屋中に光が溢れていつの間にか習得していると通知が来たんだ。」
「育てのお父さんに感謝ですね!!」
竜太は頷いた。彼の目には涙が溢れ、今にも泣き出しそうな表情であった。すると登藤関が竜太に問う。
「あなたは今回、殺人や傷害に発展していないので裁判を受けるか15日間の福祉活動かのどちらかを選ばします。」
「え?裁判ではないのですか?」
「はい。この世界では更正プログラムとして重罪でない方や重罪でも人への被害が浅い場合は福祉活動をすることがあります。勿論この活動で更正した方はたくさんいます。今まではあなたに選択肢を与える前に裁判に回されていましたが、今回は判断してもらいます。」
「ありがとう。どっちにするかな……」
「竜太さん……」
「分かりました。福祉の方でお願いします。」
「承知いたしました。では15日間、そこの猫屋敷さんと共に福祉活動をしてもらいます。」
「えー、私!?」
「あなたは更正官(保護司)としてです。彼を助けてあげてください。」
「は……はい……」
ヒナは不安な顔つきながら竜太の更正に力をいれることにしたのである。
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