ヒナの国造り

第６章・ヒナの旅立ち

男性の心理①

無事、地下鉄閉鎖も解除されラビリンシングタウンは平和が戻る。

その前にヒナは男性を平手打ちし、怒りを露にする男性を睨み付けて無言を貫いていた。あの光景をサトキは忘れられない……

「すごい芯の強い子だなあ。」

そしてオフィスでヒナは２泊目をしたのである。ヒナ自身なぜあんなに強い気持ちでいれたのかが分からなかったのもあった。そして翌朝、ラビリンシングタウンのデパートにサトキと訪れた。商品を探しているとまた胡散臭い雰囲気の人がヒナの元に訪れたのである。

「こんにちは……あっ！」

「あ、この前旅館を訪れられた方ですね？」

「はい、五堂橋大幾(ごどうばし・だいき)です。」

「どうされました？」

「たまたま見かけたのと昨日の新聞記事を拝見したので声をかけようと思いまして……」

どうやら大幾は新聞記事を見たため、ヒナに関心を持ったようである。たまたまラビリンシングタウンに訪れていたこともあり、声をかけることにしたようである。

「あ、五堂橋さんではありませんか。」

「日倦里さん、お久しぶりです！！ご無沙汰しておりました！！」

「サトキさんの知り合い？」

「ええ、ドーリンの学校で同級生でしたから。」

サトキと大幾は知り合いのようだ。ヒナを含めては３人で会話を弾ませた。

「へー、ヒナちゃんは大変な苦労してきたんだな。」

「ええ……まあね。」

「そうですか……それだとあの人(立てこもり犯)の気持ちが分かるかもしれませんね。」

「一度彼と話をしてみたいですね……」


翌朝の勾留施設内の面会室(ヒナの世界と違い、アクリル板の敷かれたものではなく普通に机と向かい同士に椅子がおかれているだけの部屋である。)に地下鉄閉鎖事件の男性は座っていた。

「なんだよ……面会って誰がくるんだよ！！」

この世界では自由に面会が許されているが、相手には事前に知らされないケースが多い。男性は苛立ちながら座って相手を待っていたのである。

「おっ！来たな！お前が面会あ……てめえ！！！」

なんと面会に訪れたのはヒナであった。ヒナは笑顔で椅子に座ると男性の顔をニコニコしながら見つめていた。

「はじめまして。」

「はじめまして…………じゃねーよ！！！てめえ、一昨日のことは忘れとらへんぞ！！一体何しに来たんだよ！！！」

因縁の相手のヒナに怒りを再び見せた男性は面接係３人が睨み付けるので事件のときの気が狂ったような表情や態度は見せなかったが、顔は異常に赤くなっていたのである。そして異常な雰囲気のもと、面接は始まった。