ヒナの国造り

第６章・ヒナの旅立ち

封鎖された地下鉄駅②

ラビリンシングタウンは大変な状況にあった。その中でヒナはこの事態を早く終わらせるつもりである。

「ちょ……お嬢ちゃん、あの男の元に近付いたらダメだよ！！」

警察官の制止を振り切ってなんと男性の元に近付こうとしていたのである。

「止めて私がなにもしなければこのまま変わりませんよ！！」

「でも君が出る幕ではないよ……！」

「女だからってバカにしないでください！！」

「……」

制止した警察官を威圧したヒナの目付きはいつもと違う強気で冷静な雰囲気を醸し出していたのである。

「おい、女！！何しに来た！！？俺の邪魔をするやつは誰だろうと許さねえ！！黒石(くろいわ)の野郎と大東(だいとう)の野郎にはギャフンと言わせてやるんだ！！復讐を果たすまで俺の邪魔をするな！！引っ込め！！」

男性はヒナに対して持っていた小刀をがむしゃらに振り回す。しかしヒナを本当に切るような振り回しは人を傷つけるのが嫌だったのかしていなかったのである威嚇で小刀を振り回す男性。すると…………

“パーーーーーン！！！”

大きく叩(はた)く音がした。すると男性は左の頬を抑えていた。どうやらヒナは自分の右手で男性に平手打ちを食らわしたようだ。男性は一瞬沈黙した後、我に返る。

「てめえええーーーーっっ！！何さらしてくれとんのじゃい！！！ぶっ殺してやるーーーーっっ！！！」

小刀で本気で切つけようとした男性だったが沈黙の隙に警察官に羽交い締めで取り押さえられていたのだ。

「離せよ！！こいつを殺してやる！！！」

「大人しくしろ！！お前は逮捕だ！！」

結局男性は連行されて車に乗せられてしまったのである。一方のヒナは警備隊の幹部の人から危ないの注意を受けはしたが、観衆からは喝采の声が上がったのである。

「お嬢ちゃん、よくやった！！」

「すごい、勇気あるわ！！」

“パチパチパチパチパチパチ！”

「(ヒナちゃん、すごいな。俺は何もできていないな……)」

ヒナの姿を見て、サトキは無力な自分を恥じた。すると男性を説得していた友人らしき別の男性がやってきた。

「この度はご迷惑をおかけしました。あの方のお怪我は大丈夫でしょうか？」

「俺ですか？あの子は……うーん、大丈夫かなあ……！！」

「本当に申し訳ございませんでした。竜太(りゅうた)のやつには反省させます。」

「大丈夫なので良かったですよ。気にしないでくださいね。」

結局鉄道ダイヤ上のトラブルこそ止めれはしなかったが、怪我人がゼロという時点で本当に幸いである。怪我人や死者が出ていればそれこそ大変な事態であった。だから本当にヒナのしたことは勇気がいる大切なことであることだったのだとサトキは思っていた。