ヒナの国造り

市川 雄一郎

文字の大きさ
上 下
106 / 762
第6章・ヒナの旅立ち

何処かへ……

しおりを挟む
ヒナはブルーサイドを後にしてドーリン経由でライスギアに到着したのである。これから一人で旅をすることに寂しさはないが不安があった。

「この世界の土地勘とか分からないからそこが問題よね……あと変な人に連れていかれないか心配だわ……」

実は冒険が好きなだけで異常なまでにヒナは気がつよくなかったのである。だから旅とはいえ、楽しみのなかにすごく不安を抱えていたのだ。

「考え事しないで先に進まないとね……」

ヒナはライスギアの出口を探すとトンネルを見つけたのである。早速入ろうとしたが、看板が横に立てられていたので見てみると『高速道路の入口』と書かれていた。徒歩では入れないのだ……

「(徒歩は無理か……トホホ……)」

一瞬気温が少し下がったトライギアの村の出口付近で落胆するヒナであった。だが別の道があるはずだと思い、周りを探すことにした。

「ん?あれは何だろう?」

ヒナが見つけたのはヒナの世界でいう地下鉄の駅へ向かう地下道の入口の階段であった。気になったので足を踏み入れてみると少しきれいな感じの地下道であった。階段を降りて右は壁で行き止まり、左は先の先まで続いており、ヒナはそれを確認すると左の道を駆け抜けたのである。

「よし、行くわ!」

地下道を駆け抜けるヒナであったが道は長く、全然地下道から抜け出せない。かといって今さら戻るのもきついなあと思いつつもう少し走ってみたのである。

「あ、階段だ!!」

階段を登り、光が差した出口を出たヒナの目の前にはライスギアとは全然違う都会の街が現れたのである。ヒナは少し驚いていた。

「えー、ここは都会!?ホントかい!?」

すると都会の気温が少し下がり、ヒナはくしゃみをしてしまったのである。自分の発言でくしゃみとは何事かは分からないが、とりあえず平和な雰囲気しかなくてヒナにとってはつまらないものであった。

「都会は冒険心をたぎらせるものがないわね。どこへ行けば出口があるのかなあ?」

とりあえずヒナは出口を探すために高速道路の下や線路沿いを歩き、調べてみるが出られない。

「やっぱり一度ブルーサイドに戻るかな……」

そう思ったヒナはとりあえず先程止揚した地下の入口を目指した。しかし地下の入口が無くなっていたのだ!!!

「うわあ!!帰られへんやん!!このまま都内で迷って人生終わるとか物凄くいややしっ!!」

ヒナは焦り始めた。都会から出られずにこのまま終わりたくない……しかし迷ってしまいある意味絶体絶命だった。ついにヒナは両手で顔をふさいで泣いてしまったのである。するとすれ違った男性がヒナに声をかけてきたのだ。

「君、この辺の人じゃないな?」

やさしい表情の彼はヒナに声をかけた。そしてこの男性との出会いが新しい冒険のきっかけとなるのであった。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

小さなことから〜露出〜えみ〜

サイコロ
恋愛
私の露出… 毎日更新していこうと思います よろしくおねがいします 感想等お待ちしております 取り入れて欲しい内容なども 書いてくださいね よりみなさんにお近く 考えやすく

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

ワイルド・ソルジャー

アサシン工房
SF
時は199X年。世界各地で戦争が行われ、終戦を迎えようとしていた。 世界は荒廃し、辺りは無法者で溢れかえっていた。 主人公のマティアス・マッカーサーは、かつては裕福な家庭で育ったが、戦争に巻き込まれて両親と弟を失い、その後傭兵となって生きてきた。 旅の途中、人間離れした強さを持つ大柄な軍人ハンニバル・クルーガーにスカウトされ、マティアスは軍人として活動することになる。 ハンニバルと共に任務をこなしていくうちに、冷徹で利己主義だったマティアスは利害を超えた友情を覚えていく。 世紀末の荒廃したアメリカを舞台にしたバトルファンタジー。 他の小説サイトにも投稿しています。

入れ替われるイメクラ

廣瀬純一
SF
男女の体が入れ替わるイメクラの話

特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった

なるとし
ファンタジー
 鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。  特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。  武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。  だけど、その母と娘二人は、    とおおおおんでもないヤンデレだった…… 第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。

高校生とUFO

廣瀬純一
SF
UFOと遭遇した高校生の男女の体が入れ替わる話

クラスメイトの美少女と無人島に流された件

桜井正宗
青春
 修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。  高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。  どうやら、漂流して流されていたようだった。  帰ろうにも島は『無人島』。  しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。  男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

病気になって芸能界から消えたアイドル。退院し、復学先の高校には昔の仕事仲間が居たけれど、彼女は俺だと気付かない

月島日向
ライト文芸
俺、日生遼、本名、竹中祐は2年前に病に倒れた。 人気絶頂だった『Cherry’s』のリーダーをやめた。 2年間の闘病生活に一区切りし、久しぶりに高校に通うことになった。けど、誰も俺の事を元アイドルだとは思わない。薬で細くなった手足。そんな細身の体にアンバランスなムーンフェイス(薬の副作用で顔だけが大きくなる事) 。 誰も俺に気付いてはくれない。そう。 2年間、連絡をくれ続け、俺が無視してきた彼女さえも。 もう、全部どうでもよく感じた。

処理中です...