ヒナの国造り

市川 雄一郎

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第5章・地獄の懸垂と古代都市の復活阻止と成分の正体

運命の夜①

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夕方になると支援者達は近くの選挙投票が行われている小さなビルへと向かった。ヒナも当然、直露に投票して無事に自身の支援した選挙を終えたのである。

「ふう……よかったあ。」

落ち着いたので嬉しくなったヒナは投票所となるビルの部屋を出ると異常なテンションで外に向かう。

ビルの1階のエレベーターホール。人が何人かいたが、エレベーターの扉が開くと中から出てきたヒナが異常なテンションで駆け抜けていったのである。その場にいた全員は少しドン引きしていたのだ……

「直露当選万歳!!」(決定していません。)

「古代都市は眠りなさい!!」(起きてすらいないから……)

「市川テロ発言撲滅!!」(撲滅?)

とにかく突っ込みどころ満載の発言をしていたヒナは民宿に帰ってきたのである。やはり民宿にいた全員がややドン引きしていたようだ……

「まあ、みんな私のことウジ虫のように見てない?」

「ヒナちゃん、いつの間に被害妄想するようになったの?」

直露が疑問に抱くほどの被害妄想をしはじめたヒナであった。勿論皆は“ややドン引きしていた”だけで誰もそのような目でヒナを見ていないのは事実であった。しかし……

「私をそんな目(嫌なものを眺めるような目のこと)で見ないで!!」

そう言ってヒナは大泣きしながら自分の部屋に閉じ籠ってしまったのである。

「ヒナちゃんは選挙で相当疲れていたみたいだな……少し優しく接してあげることを忘れてしまっていたよ俺は……」

「兄さん、なら声をかけてあげてみたらどうかな?」

直露は直摩からアドバイスを頂くとすぐさまヒナの部屋に行き、泣き崩れていたヒナに声をかけたのである。

「ヒナちゃん、辛い思いさせてごめん!」

「………………」

ヒナは首を振った。直露が悪くないと言いたいようだ……

「私は寄生虫……」

「君は寄生虫じゃないよ。僕達を支えてくれた天使だよ。本当に、本当にありがとう!!」

ヒナは直露の言葉を聞き、涙を止めずに直露の胸に飛び込んだのである。

「直露くん…………ごめんなさい……」

「こちらこそごめんなさい。君の苦労を理解してあげれば良かったのにね……理解力がない僕は人間失格だ……」

「人間……失格……じゃない。私は優しい直露くんが大好きだよ……」

「ありがとう。」

すると二人の部屋に直露の妻が現れたのである。

「直露さん、ヒナさん、あなた達二人のこれまでの行いは必ず結ばれると私のタロットで出ました。」

彼女は最近、占いにこりはじめたらしくよく占うそうだが結構当たると評判になっていたのである。

「ありがとう。そうなることを信じているよ!!」

「あなた!ヒナさんを苦しめてはいけませんよ!!」

直露の妻の言葉にはヒナも直露も強く胸に突き刺さるような思いがした。それほど言葉が重かったのだ。そして結果が出るまでの時間が近づいてきたのだ。
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