ヒナの国造り

第５章・地獄の懸垂と古代都市の復活阻止と成分の正体

最終活動日③

ヒナと直露はとりあえず高槻から話を聞くことにしたのである。政策が同じのはずの直伸とは関わりがない理由についてである。

「俺があの人を嫌いになったのは２年ほど前……彼は別の大きな選挙大会に参加することになった僕の支援をしてくれると言っていた。それで僕はある程度の資産を彼に施して支援をお願いしたんだよ。」

「(私の世界なら間違いなく収賄だわ……)」

ヒナは改めて自分の世界と異世界の違いを実感していたのである。

「ところがあれだけの投資をしたにも関わらず全く支援してくれないばかりか選挙の最終日に別の候補者の応援演説している姿を見かけた！！俺は怒って直伸に攻撃をしたが逆にやつの能力にやられて選挙も落ちてしまった……」

「酷い話だ。財産をいただいたにも関わらず裏切るとは本当に汚い男だ。汚すぎる！」

あまりにも酷いと憤る直露をよそにヒナは出くわしたことのない選挙の世界に言葉を出せずにきょとんとしていたのであった。

「だからこの選挙であいつを潰してやろうと考えていた。あんたらの話を聞いてヤツが本当のクズだと分かった。絶対ヤツを当選させてはならない！！本来なら政策が違うから協力したくないが、今回はもしあれなら協力しないか？」

「協力？ん……そうだな。やつだけは潰さねばならない。もしあれなら協力しよう！！」

「同じ一族で政策の違いからテロリスト扱いしたけど本当に申し訳ない。話を聞いていると何か誤解していた気がする。是非とも力を貸してほしい……！！」

「ああ、それは構わないが自分の選挙はどうするのか？」

「一応演説とかしていて活動自体は終わっている。今日の終わりまで手伝うことは出来るからお互いに切磋琢磨していこう！！」

「ありがとう！！よろしく頼む！！」

「(数分前までいがみ合っていたなあと思うとこの展開の早さに驚くわ……)」

ヒナは展開の早さに驚愕していたが、直露と高槻はまさかの連合を組むことになったのでそうなるのもやむを得ない。

「これから直伸を失脚させてやることにする。隠された悪事をすべてばらしてやりたい！！」

直露の意気込みは強くなった。必ずこれ以上やつの思い通りにはさせたくない気持ちがさらに高まったのだろう。しかしこの日は直伸は一体どこにいるのかは分からなかった。

「一体直伸はどこに……」

「今日は恐らく選挙活動を終えて何処かでのんびりしているはずだ。だからどこにいるかはわからない……」

手がかりがつかめず彼らは困ったのである。なんとか明日までに直伸を捕まえないと彼の手によって世の中が乱される危険性があるからだ。全員で捜索開始とし、直露陣営も全演説を終了としたのである。