ヒナの国造り

市川 雄一郎

文字の大きさ
上 下
67 / 762
第5章・地獄の懸垂と古代都市の復活阻止と成分の正体

ヒナ・直露対直伸③

しおりを挟む
尋問をはじめた直露は二人が直伸とどのような関係にあるのかまず確かめることにしたのである。

「自分達は直伸とどのような関係があるのか?」

「僕達は妨害を目的にここへ来ました。そして僕が興奮して人をはねてやろうと言う感情に襲われてしまいました。我に返るとすぐに回避してあのような発言を……」

「でもあのとき謝ればよかったと私は思うのですが……」

「……え、ええ……そ……それは……申し訳…………な……い……です……」

「男の人ははっきりものを言わないとダメですよ!!」

「申し訳……ございません!!」

「はい、よろしい!!」

「直摩……お前は誰だよ(笑)」

ヒナが問いかけると急に怖がり出す運転手達にヒナが一喝した。とはいってもヒナがしゃべるとほぼ全員がびびっているかもしれないが……その中で直摩だけはヒナが取り乱したときの姿を見ていたからかあまりびびっていない様子だった。だから兄につっこまれるんだろうが……

「二人は名前は?僕は日紙直露と申します。」

「僕は斉布礼二上(さいふれ・にじょう)といいます。運転手は長野芦辺流(ながの・ろべる)です。」

「二人の名前、聞いたことがあるな。」

「いや、僕らは有名人じゃないと思いますよ。」

「違う……あっ!思い出した!!直伸の親族が遊びに来たときに君達来てたよね!!顔は当時と違うけど名前で思い出したよ。」

「覚えててくれたんだ?ありがとう!!一緒にサッカーしたよね!!」

「(こっちの世界のスポーツは私の世界と同じなんだ……)」

どうやら二人は直露とも面識があるようだ。とりあえずトラックはブルーサイドの知人に何とかしてもらうことにした直露は二人を連れて皆で『ライスギア』へ向かうことにしたのである。

ヒナの隣で歩く二上はヒナを見てびびると当時にきれいな人だと思いながら見つめていたのである。すると二上は転倒し、少し足を擦りむいたようである。これを見たヒナは数日前に買い貯めていたハンカチの一つを使い、二上の足に包帯のように巻いてあげたのである。

「大丈夫ですか?怪我は大したことなくて良かったですね!!」

「ありがとうね!」

すると二上は少し涙を流していたのである。ヒナはそれを見て心配になり、二上に話しかけたのである。

「どうしました?」

「(敵のはずなのにヒナちゃん、本当にやさしいよな……俺はまだまだだな……)」

「ごめん、俺な……異性とはあまりうまくいかない人生だったから……昔は学校で女子から疎まれたり、町でティッシュ配りしていても女性から睨み付けられたり、面と向かって『嫌い』と言われたり、笑われたりして……こんな優しくしてもらったのはじめてで……」

「そうですか。私は二上さん、根は悪くない人だと思いました。純粋な心があるからそう優しい涙が出るのだと思います。」

「ありがとう……ありがとう……!!」

「(ヒナちゃん、俺は本当に人間としてまだまだだ……)」

ヒナの優しさは二上に少しずつ伝わりつつある。それを見た直露はヒナの人間性を評価していたのである。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

小さなことから〜露出〜えみ〜

サイコロ
恋愛
私の露出… 毎日更新していこうと思います よろしくおねがいします 感想等お待ちしております 取り入れて欲しい内容なども 書いてくださいね よりみなさんにお近く 考えやすく

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

ワイルド・ソルジャー

アサシン工房
SF
時は199X年。世界各地で戦争が行われ、終戦を迎えようとしていた。 世界は荒廃し、辺りは無法者で溢れかえっていた。 主人公のマティアス・マッカーサーは、かつては裕福な家庭で育ったが、戦争に巻き込まれて両親と弟を失い、その後傭兵となって生きてきた。 旅の途中、人間離れした強さを持つ大柄な軍人ハンニバル・クルーガーにスカウトされ、マティアスは軍人として活動することになる。 ハンニバルと共に任務をこなしていくうちに、冷徹で利己主義だったマティアスは利害を超えた友情を覚えていく。 世紀末の荒廃したアメリカを舞台にしたバトルファンタジー。 他の小説サイトにも投稿しています。

入れ替われるイメクラ

廣瀬純一
SF
男女の体が入れ替わるイメクラの話

特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった

なるとし
ファンタジー
 鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。  特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。  武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。  だけど、その母と娘二人は、    とおおおおんでもないヤンデレだった…… 第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。

高校生とUFO

廣瀬純一
SF
UFOと遭遇した高校生の男女の体が入れ替わる話

クラスメイトの美少女と無人島に流された件

桜井正宗
青春
 修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。  高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。  どうやら、漂流して流されていたようだった。  帰ろうにも島は『無人島』。  しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。  男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

病気になって芸能界から消えたアイドル。退院し、復学先の高校には昔の仕事仲間が居たけれど、彼女は俺だと気付かない

月島日向
ライト文芸
俺、日生遼、本名、竹中祐は2年前に病に倒れた。 人気絶頂だった『Cherry’s』のリーダーをやめた。 2年間の闘病生活に一区切りし、久しぶりに高校に通うことになった。けど、誰も俺の事を元アイドルだとは思わない。薬で細くなった手足。そんな細身の体にアンバランスなムーンフェイス(薬の副作用で顔だけが大きくなる事) 。 誰も俺に気付いてはくれない。そう。 2年間、連絡をくれ続け、俺が無視してきた彼女さえも。 もう、全部どうでもよく感じた。

処理中です...