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第4章・ドーリンの洞窟と若さの効用のルーツ
『ヒナちゃん、恐ろしい子!(日紙直露氏)』
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直露と義兄が工場の扉を開けるとまた小さな扉が出てきた。直露がその扉に耳をあててみるとヒナや束椎木兄弟の声が聞こえてきたのだ。
「離してよっ!!!」
「解放してほしければ弟の花嫁になったらどうだよ?」
「何であなたの弟と結婚しなければならないのですか!?顔は良くても性格の汚い方は私は大嫌いです!!」
“パァァン!!”
今度は兄の方が平手打ちをしてきたのである。兄の方が強烈に痛かったのかヒナは少しぐったりしてしまったのである。
「ごめんごめん、本気出しすぎた(笑)。許してよね猫屋敷ちゃん♪まあ、僕もこれ以上平手打ちをしたくないから頼むから……ね!!」
「あなたの平手打ちなんか痛くないわ。昔あなたより強い平手打ちをしてきた友人を私は知っているわ……」
「ふぅ!強気!!これは可愛がりがあるわ。」
この光景を扉から覗きはじめた直露と義兄は怒りを強めていた。というよりそろそろ我慢の限界であった。
「そろそろ行くか?」
「お兄さん、今行くと何されるか分からない。隙を見つけましょう。」
「お前、そんなことしていたらヒナちゃんの命が……」
「大丈夫でしょう。彼らは平気で命を奪えるような神経をしている人間ではないですよ。殺しはしないでしょう。」
「なら、もう少し様子を見るか……」
「はい。でも我慢の限界がきたらいよいよ……で。」
一方、束椎木の兄はある発言をした。
「君、異世界から来た匂いがするな。じゃあ“特殊能力(リミットアビリティ)”は使えないな。」
「何ですか?その特殊能力(リミットアビリティ)というのは?」
「特殊能力(リミットアビリティ)とはオーシャン・エメラルドで作った道具に秘められた力を生身で使える能力のことだ。この世界の強い人間は大体使えるな。俺は『包帯の舞(マミーダンシング)』を使える。」
「俺は『鉄の胴体(アイアンパーツ)』が使える。まあ君が逃げようとしても特殊能力で阻止できるわな。」
すると束椎木兄は掌から包帯を出してヒナの全身を完全にぐるぐる巻きにしたのである。そのミイラ化したヒナを掌の包帯でブンブン回して投げ飛ばすと包帯がほどけて手足を縛られたヒナが地面に叩きつけられた。
「アハハハハハハハっ!!」
「ぐっ……あなたたち……!!」
ヒナは苦しそうな声で怒りを強調したが二人は爆笑していた。その笑いは人を苦しめるのを楽しむかのような笑いだった。
「くそっ!あの野郎!ぶっ潰してやる!!」
「お兄さん、そろそろ行きましょう。」
二人が準備を始めようとした頃、束椎木は再びヒナを抱いて胸を触りはじめたのである。
「良いねえ……可愛らしい人形さんだ……」
「離して!私は人形じゃない!!」
「うーん、可愛らしいお人形さんにブチュー!!」
なんと束椎木はヒナにキスをしてしまったのである。ヒナは力が抜けたようにしぼんだ感じだった。
「アハハハハハハハ!!とても美味しい初キッスだったぜ!!本当に最高な日だぜ。」
「おい、お前ら……ええ加減にせえよ……ホンマに今から覚悟せんかいゴルァァァ!!?」
強烈にどすの聞いた声が工場内に響いたのである。日紙は義兄が中に入ったのかと思ったのだ。
「ああ~、兄さん。フライングですよ~」
「お?俺はまだ中にはいっていないぞ!?」
「え、じゃああれは誰の声ですか?」
すると直露は頭の中でつい近日中のヒナの行動を思い出した。
《〔旅館で運ぶ食事を落として散らかしてしまった日……〕
〔『ごめんなさい!少し考え事してました……』〕
〔今にも泣きそうな顔をしていたあのとき……〕
〔直露があるときヒナに買い物を頼まれて行ったとき……〕
〔『あーっ!これこれ!ありがとう!助かったわ!』〕
〔子供のように喜んでくれたあのとき……〕》
……そして今のヒナ……
顔が引きつり、どう見てもどこかの組の姉御さんのような雰囲気を醸し出している怒り丸出しのヒナ……
「いぃ~~っ!!?」
直露は完全に驚いた顔つきになった。今までのヒナから想像できない姿なので当然ではあるが……
「やめろゆうとんのに分からんの?おい!私の最初の思い出を汚しやがってただで生かしちゃ帰さへんから覚悟せんかいおんどれらっっっ!!?」
直露と義兄はあまりの豹変ぶりに当然ながら目が点になっていた。そしてヒナの全身を赤みのある黄金のオーラが纏い、歯の一部が牙と化していた……
「この野郎!!お前が女に対してした行為は全て犯罪ちゃうんかゴルァァァ!!この世界では許されとんのかぁぁー!?」
ヒナのパンチが飛ぶと束椎木は能力で顔を鉄のように固くしたのである(この能力は固くしても体は普通のままに見える)。
「女のパンチに怯む俺では(“ドボォッ!!”)ぶふぉっ…………!!」
ヒナの怒りのパンチはなんと束椎木の能力を越えるパワーであった。束椎木は吹っ飛んでいく。
「くぅ…………犯罪……でした……ごめ……ん……」
“ドッ”
束椎木は目がぐるぐるし、舌を出して気絶していた。束椎木兄は再び包帯を出してヒナの全身をぐるぐる巻きにしたのである。
「もうこのまま窒息死させる……えっ !!?」
“パァン!”
なんとヒナは包帯を引きちぎったのである。その瞬間束椎木兄の目が泳ぎ、顔が青くなりはじめた。
「五千年の眠りから覚めた気分やでぇ……束椎木お兄さんよぉ……!?“窒息死させるゆうた癖に出来へんかったようやから罰ゲームな!!”」
「(……これって俺は殺られちゃうの?めっちゃ負けパターンな雰囲気やねんけど……)」
「目覚まし時計かけてやるから目を覚ましなっっっ!!!」
ヒナのその言葉を聞き終えた束椎木兄の顔面にヒナの右パンチが一発炸裂し、彼は宙に舞っていた……
「あ……や……られ……た……(特殊能力者より強いとかホンマどんだけだよ……)」
“ドッ!”
弟に覆い被さるかのように落ちた兄もまた目を回して舌を出しながら気絶していた。兄と弟はエックスのように重なり、ある意味綺麗な?光景である。
「けっ!ザコめ!!」
するとヒナの表情が急に穏やかな顔つきになり気絶した二人を見ると彼らの元に駆けつけたのである。
「大丈夫ですか?誰かにやられたのですか……!!?」
「(お前に……やられたんだよ!!ヒナちゃん……恐ろしい子だよ!!)」
呆れた感じの顔をした直露に義兄は声をかける。
「ヒナちゃん大丈夫みたいだな。声でも掛けてやるか……」
「ええ、掛けましょう。」
そして二人は工場の中に入り、ヒナの元へと向かったのである。
「離してよっ!!!」
「解放してほしければ弟の花嫁になったらどうだよ?」
「何であなたの弟と結婚しなければならないのですか!?顔は良くても性格の汚い方は私は大嫌いです!!」
“パァァン!!”
今度は兄の方が平手打ちをしてきたのである。兄の方が強烈に痛かったのかヒナは少しぐったりしてしまったのである。
「ごめんごめん、本気出しすぎた(笑)。許してよね猫屋敷ちゃん♪まあ、僕もこれ以上平手打ちをしたくないから頼むから……ね!!」
「あなたの平手打ちなんか痛くないわ。昔あなたより強い平手打ちをしてきた友人を私は知っているわ……」
「ふぅ!強気!!これは可愛がりがあるわ。」
この光景を扉から覗きはじめた直露と義兄は怒りを強めていた。というよりそろそろ我慢の限界であった。
「そろそろ行くか?」
「お兄さん、今行くと何されるか分からない。隙を見つけましょう。」
「お前、そんなことしていたらヒナちゃんの命が……」
「大丈夫でしょう。彼らは平気で命を奪えるような神経をしている人間ではないですよ。殺しはしないでしょう。」
「なら、もう少し様子を見るか……」
「はい。でも我慢の限界がきたらいよいよ……で。」
一方、束椎木の兄はある発言をした。
「君、異世界から来た匂いがするな。じゃあ“特殊能力(リミットアビリティ)”は使えないな。」
「何ですか?その特殊能力(リミットアビリティ)というのは?」
「特殊能力(リミットアビリティ)とはオーシャン・エメラルドで作った道具に秘められた力を生身で使える能力のことだ。この世界の強い人間は大体使えるな。俺は『包帯の舞(マミーダンシング)』を使える。」
「俺は『鉄の胴体(アイアンパーツ)』が使える。まあ君が逃げようとしても特殊能力で阻止できるわな。」
すると束椎木兄は掌から包帯を出してヒナの全身を完全にぐるぐる巻きにしたのである。そのミイラ化したヒナを掌の包帯でブンブン回して投げ飛ばすと包帯がほどけて手足を縛られたヒナが地面に叩きつけられた。
「アハハハハハハハっ!!」
「ぐっ……あなたたち……!!」
ヒナは苦しそうな声で怒りを強調したが二人は爆笑していた。その笑いは人を苦しめるのを楽しむかのような笑いだった。
「くそっ!あの野郎!ぶっ潰してやる!!」
「お兄さん、そろそろ行きましょう。」
二人が準備を始めようとした頃、束椎木は再びヒナを抱いて胸を触りはじめたのである。
「良いねえ……可愛らしい人形さんだ……」
「離して!私は人形じゃない!!」
「うーん、可愛らしいお人形さんにブチュー!!」
なんと束椎木はヒナにキスをしてしまったのである。ヒナは力が抜けたようにしぼんだ感じだった。
「アハハハハハハハ!!とても美味しい初キッスだったぜ!!本当に最高な日だぜ。」
「おい、お前ら……ええ加減にせえよ……ホンマに今から覚悟せんかいゴルァァァ!!?」
強烈にどすの聞いた声が工場内に響いたのである。日紙は義兄が中に入ったのかと思ったのだ。
「ああ~、兄さん。フライングですよ~」
「お?俺はまだ中にはいっていないぞ!?」
「え、じゃああれは誰の声ですか?」
すると直露は頭の中でつい近日中のヒナの行動を思い出した。
《〔旅館で運ぶ食事を落として散らかしてしまった日……〕
〔『ごめんなさい!少し考え事してました……』〕
〔今にも泣きそうな顔をしていたあのとき……〕
〔直露があるときヒナに買い物を頼まれて行ったとき……〕
〔『あーっ!これこれ!ありがとう!助かったわ!』〕
〔子供のように喜んでくれたあのとき……〕》
……そして今のヒナ……
顔が引きつり、どう見てもどこかの組の姉御さんのような雰囲気を醸し出している怒り丸出しのヒナ……
「いぃ~~っ!!?」
直露は完全に驚いた顔つきになった。今までのヒナから想像できない姿なので当然ではあるが……
「やめろゆうとんのに分からんの?おい!私の最初の思い出を汚しやがってただで生かしちゃ帰さへんから覚悟せんかいおんどれらっっっ!!?」
直露と義兄はあまりの豹変ぶりに当然ながら目が点になっていた。そしてヒナの全身を赤みのある黄金のオーラが纏い、歯の一部が牙と化していた……
「この野郎!!お前が女に対してした行為は全て犯罪ちゃうんかゴルァァァ!!この世界では許されとんのかぁぁー!?」
ヒナのパンチが飛ぶと束椎木は能力で顔を鉄のように固くしたのである(この能力は固くしても体は普通のままに見える)。
「女のパンチに怯む俺では(“ドボォッ!!”)ぶふぉっ…………!!」
ヒナの怒りのパンチはなんと束椎木の能力を越えるパワーであった。束椎木は吹っ飛んでいく。
「くぅ…………犯罪……でした……ごめ……ん……」
“ドッ”
束椎木は目がぐるぐるし、舌を出して気絶していた。束椎木兄は再び包帯を出してヒナの全身をぐるぐる巻きにしたのである。
「もうこのまま窒息死させる……えっ !!?」
“パァン!”
なんとヒナは包帯を引きちぎったのである。その瞬間束椎木兄の目が泳ぎ、顔が青くなりはじめた。
「五千年の眠りから覚めた気分やでぇ……束椎木お兄さんよぉ……!?“窒息死させるゆうた癖に出来へんかったようやから罰ゲームな!!”」
「(……これって俺は殺られちゃうの?めっちゃ負けパターンな雰囲気やねんけど……)」
「目覚まし時計かけてやるから目を覚ましなっっっ!!!」
ヒナのその言葉を聞き終えた束椎木兄の顔面にヒナの右パンチが一発炸裂し、彼は宙に舞っていた……
「あ……や……られ……た……(特殊能力者より強いとかホンマどんだけだよ……)」
“ドッ!”
弟に覆い被さるかのように落ちた兄もまた目を回して舌を出しながら気絶していた。兄と弟はエックスのように重なり、ある意味綺麗な?光景である。
「けっ!ザコめ!!」
するとヒナの表情が急に穏やかな顔つきになり気絶した二人を見ると彼らの元に駆けつけたのである。
「大丈夫ですか?誰かにやられたのですか……!!?」
「(お前に……やられたんだよ!!ヒナちゃん……恐ろしい子だよ!!)」
呆れた感じの顔をした直露に義兄は声をかける。
「ヒナちゃん大丈夫みたいだな。声でも掛けてやるか……」
「ええ、掛けましょう。」
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