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第2章・見たこともない地へ
ここは何処?その②
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気がつくとヒナは旅館のベッドの上であった。どうやら意識を失っていたらしい。
「あれ、なんでここに?いつの間に戻ってきたのかな?」
戸惑うヒナの前にさっきの親子と店の主の青年がいた。ヒナを取り囲むようにしながら起きるまで様子を見てくれていたという。
「よかった。親父がここまで連れてきてくれたんですよ!!」
店主はヒナが目覚めたことに安心した表情でそう言ったが肝心の父親なる人物は何処にもいなかった。彼女は周りを見渡して父親らしき人を探していると子連れの男性が笑顔でヒナに語りかけたのだ。
「その父親とは私だよ!」
ヒナは唖然とした。どうみても青年と子連れの父親と年齢がかなり離れているようには見えないからだ。すると母親らしき女性がニコニコしながらヒナを見つめて喋り始めたのだ。
「私たちが連れている子供は私達の“孫”よ!そしてこの子の親は宿屋の主のこの人……息子の姉の子供なのよ。」
ヒナは驚いたが無理もない。実は親子に見えて祖父母と孫でその子供が青年の甥っ子だったからである。ところで青年は一体幾つなのかヒナは聞いてみた。
「ご主人さんの年齢は……?」
「32です!」
32歳に見えなかった……てっきり10代と思っていただけにヒナはさらに驚いてしまったのだ。どうみても年下に見えるのに……と思っていたヒナに青年が優しく語りかけた。
「僕たちブルーサイドの人々は結構年を重ねても若々しく見えるんですよ!この土地の環境もありますが、それとは別にここで食べるものが若さを保たせてくれるようなのです!」
ヒナはこの話を聞いて何かが気になったのである。
「(食べ物ってどんな物かな?もしそれを食べて若さを保てるのならばそれをぜひとも味わいたい。明日山に行ってその食材を探してこようかな?どんな食材か分からないけど誰かから聞いてみて……)」
ところが目を輝かせているヒナの顔を見ていた店主が突然険しい表情で彼女に話しかけたのである。
「あの……食材については僕や僕の家族を始めとしてほとんどの方々は知りません。なので聞いたりしても分からないと思います。またその話を聞いて山の中に食材があると思って探しに行こうとする方も少なくはありませんが、山にそれがあるかどうかも分からない。そもそも山の中には怪物がウジャウジャいて危ないですから行くのは逆に危険です!『若さのために命を捨てる』……という表現がそれを示していますよ!」
店主の話を聞いてヒナは生気がかなり薄れていたのであった。まずはRPGのような世界に来てしまったという絶望感が彼女を襲い、運動神経は無くはないが戦いが出来るような能力とかはない彼女にとってこの世界がかなり危険だということ……しかも目を輝かせていただけで店主に企みを見抜かれた悔しさ(?)もあり、ヒナは異常なまでにどんよりしてしまい店主も彼女を見て心配し始めたのであった。
すると店主の父親は言った。
「お嬢さん、情報が少ないので詳しいことは答えることが出来ずに申し訳ないですが我々の先祖代々から伝わる“畑”があります。ただ場所は息子の言う通り危険な山の頂きにあります。そこにその若さを保てる食材があるのかなと思います。」
店主は父親の言葉をフォローした。
「親父の言う通りです。山の頂きにその畑はあります。ただそこに辿り着くには並大抵の能力では難しいでしょう。なので明日少し話し合いをしましょう。そこから畑へ行く段取りを決めましょう。」
それを聞いたヒナは真剣な顔つきで了承した。
「もしその畑に行ける方法があるなら私は行きたい!明日しっかり話をして行けるように準備をしたいです!!」
そして少し長い一日は終わった。
「あれ、なんでここに?いつの間に戻ってきたのかな?」
戸惑うヒナの前にさっきの親子と店の主の青年がいた。ヒナを取り囲むようにしながら起きるまで様子を見てくれていたという。
「よかった。親父がここまで連れてきてくれたんですよ!!」
店主はヒナが目覚めたことに安心した表情でそう言ったが肝心の父親なる人物は何処にもいなかった。彼女は周りを見渡して父親らしき人を探していると子連れの男性が笑顔でヒナに語りかけたのだ。
「その父親とは私だよ!」
ヒナは唖然とした。どうみても青年と子連れの父親と年齢がかなり離れているようには見えないからだ。すると母親らしき女性がニコニコしながらヒナを見つめて喋り始めたのだ。
「私たちが連れている子供は私達の“孫”よ!そしてこの子の親は宿屋の主のこの人……息子の姉の子供なのよ。」
ヒナは驚いたが無理もない。実は親子に見えて祖父母と孫でその子供が青年の甥っ子だったからである。ところで青年は一体幾つなのかヒナは聞いてみた。
「ご主人さんの年齢は……?」
「32です!」
32歳に見えなかった……てっきり10代と思っていただけにヒナはさらに驚いてしまったのだ。どうみても年下に見えるのに……と思っていたヒナに青年が優しく語りかけた。
「僕たちブルーサイドの人々は結構年を重ねても若々しく見えるんですよ!この土地の環境もありますが、それとは別にここで食べるものが若さを保たせてくれるようなのです!」
ヒナはこの話を聞いて何かが気になったのである。
「(食べ物ってどんな物かな?もしそれを食べて若さを保てるのならばそれをぜひとも味わいたい。明日山に行ってその食材を探してこようかな?どんな食材か分からないけど誰かから聞いてみて……)」
ところが目を輝かせているヒナの顔を見ていた店主が突然険しい表情で彼女に話しかけたのである。
「あの……食材については僕や僕の家族を始めとしてほとんどの方々は知りません。なので聞いたりしても分からないと思います。またその話を聞いて山の中に食材があると思って探しに行こうとする方も少なくはありませんが、山にそれがあるかどうかも分からない。そもそも山の中には怪物がウジャウジャいて危ないですから行くのは逆に危険です!『若さのために命を捨てる』……という表現がそれを示していますよ!」
店主の話を聞いてヒナは生気がかなり薄れていたのであった。まずはRPGのような世界に来てしまったという絶望感が彼女を襲い、運動神経は無くはないが戦いが出来るような能力とかはない彼女にとってこの世界がかなり危険だということ……しかも目を輝かせていただけで店主に企みを見抜かれた悔しさ(?)もあり、ヒナは異常なまでにどんよりしてしまい店主も彼女を見て心配し始めたのであった。
すると店主の父親は言った。
「お嬢さん、情報が少ないので詳しいことは答えることが出来ずに申し訳ないですが我々の先祖代々から伝わる“畑”があります。ただ場所は息子の言う通り危険な山の頂きにあります。そこにその若さを保てる食材があるのかなと思います。」
店主は父親の言葉をフォローした。
「親父の言う通りです。山の頂きにその畑はあります。ただそこに辿り着くには並大抵の能力では難しいでしょう。なので明日少し話し合いをしましょう。そこから畑へ行く段取りを決めましょう。」
それを聞いたヒナは真剣な顔つきで了承した。
「もしその畑に行ける方法があるなら私は行きたい!明日しっかり話をして行けるように準備をしたいです!!」
そして少し長い一日は終わった。
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