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今日も今日とてナテュール様に仇なす使者を殴り飛ばし、寮へと戻る。
おかえり~なんて本から目を離さず声を投げてくるオリバーに、ただいまと返そうとして、僕は動きをとめた。
「ナテュール様の匂いがする。」
「……は???」
何言ってんだこいつ、という視線が向けるオリバーの肩を逃がさないとがっしり掴む。
「さては、オリバー……お前!僕を差し置いてナテュール様と仲良くなったのか!?仲良くなったのかぁぁああ!!?」
「ちょ、揺らすな!!やめろやめろ!!相変わらず気持ち悪いな!!?」
ガックンガックンオリバーを揺さぶれば、仕返しに脛を蹴られた。
声にならない呻き声を上げながら、うずくまれば、「ったく……」と呆れたオリバーが言葉を続けた。
「食堂でお前が席外している時にナテュール様から話しかけられただけだよ。お前と同室だから何か迷惑をかけてないかって心配されたんだっての。」
「流石ナテュール様……!なんてお優しい……!」
「いやお前気にするところが他にあんだろ……」
呆れを含んだ視線が何故か哀れみに変わるが、別に僕が怪しまれているのは今に始まったことじゃないし。
「というかお前本当にナテュール様大好きだよな。」
「当たり前だろ!?僕はあの方のために生きているんだぞ!!?」
と、オリバーの言葉に被せる勢いで肯定を叫べば「重い重い重い……」とオリバーが引きました、と言わんばかりの顔をする。失礼な。
「あの美しく輝く御髪に、深く広大な海のような御目。そして人々に恩恵を与える小麦のような肌……!最早神なのでは??」
「お前一応元神官見習いだろ……国教はどうした……」
呆れ混じりの溜息をつきながらそう問うオリバー。別に元神官見習いなだけで、もう神殿とはほぼ無関係なんだけどな、と思いながら
「あぁ、僕無神教だから。」
とさらりと答える。
「神殿の出なのに!?」
嘘だろ!?と喚くオリバーに、「神殿とかクソ喰らえー!」とさらに言えば「まあ、気持ちはわかるけど……」とオリバーは頬をかく。
「あんなの禁欲語った変態しかいないしな。回復ポーションのレシピ独占してるだけで、別に神官しか作れないわけじゃないし。」
唯一神、リュミエールを讃える国教。
この国の大半が一応信者にあたるが、その実、信仰深い者など大して居やしない。
それほど、神殿は民に対して好き勝手やりすぎた。
ましてや僕は神殿の汚い裏側を誰よりも知っている。それなのに神リュミエールを信仰する理由もない。
「……ちょ、ちょ、ちょ、お前今なんて言った……?」
「ん?あんなの禁欲語った変態しかいない?」
「あ、いや、それも気になるけどその後!」
「ああ、別に回復ポーションって神官しか作れないわけじゃないよ?」
そう告れば、オリバーはみるみる驚愕にその顔を染めた。
「嘘だろ!?神に祈りを捧げ認められた者しか作れないのが回復ポーションだろ!?」
「いや別に。レシピさえ知ってれば誰でも作れるよ。毒消しポーションや痺れ止めポーションと同じ同じ。」
そう淡々と告れば、オリバーは「まじかよ……」といまだに持っていた本を机に置く。
回復ポーションはオリバーが言ったように世間には神に祈りを捧げ、唯一神リュミエールの加護を受けた者しか作れない、と思われている。
これは昔から神殿が行ってきた情報操作で、実際は加護なんてなくてもレシピ通り薬草を混ぜればできるただのポーションだ。
「え、これ知っちまった俺もしかして消される……?」
「自分で回復ポーション作って売れば神殿に消されるね。」
「おい俺小さな商家の平民だぞ!?そんなやべぇ話きかせるなよ!」
今度はオリバーが、僕の肩を掴み揺さぶってくるが、
「売らなきゃ大丈夫だって。まず僕と違って君はレシピ自体は知らないし。」
と告れば、あっさりと手を離した。
「……ってことは、お前は知ってんのか?」
「もちろん。ナテュール様の従者となるため、王に直接交渉した時の材料として必要だったしね。」
そう、僕は元々神殿からの推薦で宮内に入れただけの孤児。
簡単に王子の従者になんてなれるはずがない。
そこで、僕は王へと直接交渉をしたのだ。今思えば中々危ない橋を渡っている。
「……は?」
「いくら仮の家名付きと言えど、いきなり僕みたいな孤児が第7とはいえ王子の従者になれる訳ないでしょ?ナテュール様の従者になるために、王には神殿への交渉カードという名の弱みをいっぱい売り込んでおいた。」
あっさり理由も話せば、苦労してるんだな、という呟きと共に、その表情がなんとも言えない哀れみを持った視線に変わる。
なんでそんな痛ましいものを見る目を向けてくるのかな??
「お前……本当に……なんでその……報われないの……?」
「遠回しにナテュール様に嫌われてるって言うのやめてもらっていいですぅ???」
あまりにも失礼すぎると思う。
確かに、確かに僕は嫌われてるけど……!
「そんなお前にとってもいいチャンスだと思ってさ。」
「……ん?」
急に話の流れが変わったな?と首を傾げると、オリバーは突然爆弾発言をぶっ込んできた。
「実は今の会話、魔法具通してナテュール様も聞いている。」
「……は???」
おかえり~なんて本から目を離さず声を投げてくるオリバーに、ただいまと返そうとして、僕は動きをとめた。
「ナテュール様の匂いがする。」
「……は???」
何言ってんだこいつ、という視線が向けるオリバーの肩を逃がさないとがっしり掴む。
「さては、オリバー……お前!僕を差し置いてナテュール様と仲良くなったのか!?仲良くなったのかぁぁああ!!?」
「ちょ、揺らすな!!やめろやめろ!!相変わらず気持ち悪いな!!?」
ガックンガックンオリバーを揺さぶれば、仕返しに脛を蹴られた。
声にならない呻き声を上げながら、うずくまれば、「ったく……」と呆れたオリバーが言葉を続けた。
「食堂でお前が席外している時にナテュール様から話しかけられただけだよ。お前と同室だから何か迷惑をかけてないかって心配されたんだっての。」
「流石ナテュール様……!なんてお優しい……!」
「いやお前気にするところが他にあんだろ……」
呆れを含んだ視線が何故か哀れみに変わるが、別に僕が怪しまれているのは今に始まったことじゃないし。
「というかお前本当にナテュール様大好きだよな。」
「当たり前だろ!?僕はあの方のために生きているんだぞ!!?」
と、オリバーの言葉に被せる勢いで肯定を叫べば「重い重い重い……」とオリバーが引きました、と言わんばかりの顔をする。失礼な。
「あの美しく輝く御髪に、深く広大な海のような御目。そして人々に恩恵を与える小麦のような肌……!最早神なのでは??」
「お前一応元神官見習いだろ……国教はどうした……」
呆れ混じりの溜息をつきながらそう問うオリバー。別に元神官見習いなだけで、もう神殿とはほぼ無関係なんだけどな、と思いながら
「あぁ、僕無神教だから。」
とさらりと答える。
「神殿の出なのに!?」
嘘だろ!?と喚くオリバーに、「神殿とかクソ喰らえー!」とさらに言えば「まあ、気持ちはわかるけど……」とオリバーは頬をかく。
「あんなの禁欲語った変態しかいないしな。回復ポーションのレシピ独占してるだけで、別に神官しか作れないわけじゃないし。」
唯一神、リュミエールを讃える国教。
この国の大半が一応信者にあたるが、その実、信仰深い者など大して居やしない。
それほど、神殿は民に対して好き勝手やりすぎた。
ましてや僕は神殿の汚い裏側を誰よりも知っている。それなのに神リュミエールを信仰する理由もない。
「……ちょ、ちょ、ちょ、お前今なんて言った……?」
「ん?あんなの禁欲語った変態しかいない?」
「あ、いや、それも気になるけどその後!」
「ああ、別に回復ポーションって神官しか作れないわけじゃないよ?」
そう告れば、オリバーはみるみる驚愕にその顔を染めた。
「嘘だろ!?神に祈りを捧げ認められた者しか作れないのが回復ポーションだろ!?」
「いや別に。レシピさえ知ってれば誰でも作れるよ。毒消しポーションや痺れ止めポーションと同じ同じ。」
そう淡々と告れば、オリバーは「まじかよ……」といまだに持っていた本を机に置く。
回復ポーションはオリバーが言ったように世間には神に祈りを捧げ、唯一神リュミエールの加護を受けた者しか作れない、と思われている。
これは昔から神殿が行ってきた情報操作で、実際は加護なんてなくてもレシピ通り薬草を混ぜればできるただのポーションだ。
「え、これ知っちまった俺もしかして消される……?」
「自分で回復ポーション作って売れば神殿に消されるね。」
「おい俺小さな商家の平民だぞ!?そんなやべぇ話きかせるなよ!」
今度はオリバーが、僕の肩を掴み揺さぶってくるが、
「売らなきゃ大丈夫だって。まず僕と違って君はレシピ自体は知らないし。」
と告れば、あっさりと手を離した。
「……ってことは、お前は知ってんのか?」
「もちろん。ナテュール様の従者となるため、王に直接交渉した時の材料として必要だったしね。」
そう、僕は元々神殿からの推薦で宮内に入れただけの孤児。
簡単に王子の従者になんてなれるはずがない。
そこで、僕は王へと直接交渉をしたのだ。今思えば中々危ない橋を渡っている。
「……は?」
「いくら仮の家名付きと言えど、いきなり僕みたいな孤児が第7とはいえ王子の従者になれる訳ないでしょ?ナテュール様の従者になるために、王には神殿への交渉カードという名の弱みをいっぱい売り込んでおいた。」
あっさり理由も話せば、苦労してるんだな、という呟きと共に、その表情がなんとも言えない哀れみを持った視線に変わる。
なんでそんな痛ましいものを見る目を向けてくるのかな??
「お前……本当に……なんでその……報われないの……?」
「遠回しにナテュール様に嫌われてるって言うのやめてもらっていいですぅ???」
あまりにも失礼すぎると思う。
確かに、確かに僕は嫌われてるけど……!
「そんなお前にとってもいいチャンスだと思ってさ。」
「……ん?」
急に話の流れが変わったな?と首を傾げると、オリバーは突然爆弾発言をぶっ込んできた。
「実は今の会話、魔法具通してナテュール様も聞いている。」
「……は???」
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