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3(オリバー視点)
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俺、オリバー・ジャクソンは商家の生まれだ。商家と言っても誰でも知っているような大きいところではなく、首都の端で細々と地方と交易をしているような小さな商家だ。
そのため、学校に行くほど金に余裕は無かった。
商人としての勉強なら親についていれば出来たけれど、それでは未来がない。
王が変わり、政治は今までと違う転換を迎えている。知識がなければこれからの情勢を生き残れないと、バカなりに考えていた。
金は無いけど、勉強はしたい。
そんな俺のような平民には、王立学園の特別進学枠の制度はとても魅力的だった。
もちろん、倍率はとても高いし、入学できたとしてもお貴族様の機嫌を損ねないように気を張る生活をするのは大変だ。
それでも、俺のような平民が学を得られる唯一のチャンスに、どうしてもしがみつきたかった。
親の仕事を手伝う合間に古本を広げ、勉強をする。
両親は気にしなくていいと言ってくれたけれど、ランプの魔法具は燃料となる魔石が高価なため、夜中まで使うのは気がひけて、満月の日は外へ出て月明かりを頼りに勉強した。
そして、
「ご、合格した……!」
俺はなんとか特別進学枠を掴み取る事が出来た。
合格と書かれたその手紙を持ったまま、両親に報告すれば、力いっぱい抱きしめられた。
そうして数ヶ月後、俺は念願の王立学園の門をくぐり抜けたのだった。
それぞれ個室を与えられるお貴族様と違って、俺たち平民の寮部屋は相部屋になる。
ルームメイトはどんな人物だろう?
仲良くなれるといいな。
なんて希望を膨らませ、割り振られた部屋へと足をはこべば、
「おや、あなたがルームメイトですね?私はロイ・プリースト。どうぞよろしく。」
(え、めちゃくちゃ怪しい……)
そこにいたのは『胡散臭い』を擬人化したような生徒だった。
薄ら笑う細められたその目も、指先までしっかりそろえて動かすその動作も、なんというか、全てが怪しかった。
どのくらい怪しいかと言うと、裏から生徒を操って事件起こして高笑いしてそうな怪しさだ。
ファミリーネームからしても神殿出身者なのは丸わかりだし、第7王子の従者と言いながら、従者としてではなく、生徒として学園にいること自体が怪しすぎる。
しかし、
「あーもうやだーーー!!どいつもこいつもーーー!!」
「えっ、何……!?」
ある日突然、部屋に入るなりベッドにダイブしたロイはそんな事を叫んだのだ。
それは既に入学してから2週間が経つ頃だった。
「どいつもこいつも!僕にナテュール様を裏切れと!恥を知れよクソども!!ナテュール様のどこが出来損ないなんだっつーの!てか王位なんて面倒なもんナテュール様に押し付けてたまるもんか!ナテュール様にはのびのびと自由に生きて欲しいのに!そもそも!どうして僕に!裏切りを!勧める!?こんなにも!ナテュール様が大好きな僕に!!」
俺ががいることなんてお構い無しにベッドに突っ伏したまま手も足もばたつかせ、全力で不満を示すロイ。
その姿はまるで、駄々をこねる5歳児のような様だ。
そんな、普段の怪しさからかけ離れたロイの姿に思わず、
「……え、君、第7王子のこと嫌いなんじゃないの……?ぶっちゃけ裏から操る気満々ですって言わんばかりの胡散臭さしてるのに……?」
なんて、無意識のうちに口から言葉を漏らしていた。
「今の話詳しく!」
「えっ!!?」
そんな俺の言葉に素早く反応して、目をかっ開いたまま詰め寄ってきたロイと、少し話せばとんでもない事実が判明した。
「え、私ってそんなに胡散臭いですか……??」
「う、うん……かなり……」
なんと、ロイは自分が胡散臭いと思われていること自体自覚していなかった。
俺の指摘に本気でショックを受けている。
「さっきは僕って言ってたし元々の一人称はそっちなんでしょ……?」
「で、ですが、私は王子に仕える従者です。公の場で『私』と言うことはマナーでもありますし……」
「でも、胡散臭さが倍増されるんだよね。」
「公のマナーなのにどうしろと???」
本気で困惑しているその表情ですら、何故か怪しく見えるのだから不思議だな、と思いながら俺は言葉を続ける。
「えっとさ、ロイさんのファミリーネームって神殿関係者ってすぐわかるじゃん?」
「ええ、まあ、それは確かに。しかし、王宮での職に就くためには仮であれど身元が確かであると証明する家名が必要です。孤児である私が神殿に身元を保証して貰うことにこれと言って怪しいということは……」
「いや、そもそも王家と神殿って仲悪いじゃん。そんなの俺みたいな平民でも知ってるよ?」
と、2つそれっぽい根拠を並べて言ってはみるが、結局のところ
「あとはなんか……存在全てが胡散臭い。」
この一言に尽きる。
何をしていても怪しく感じる。
「僕にどうしろと!!?」
と、叫んだロイ。正直解決策は俺にも分からない。
****
ロイが、同室の俺には素を出すようになって、気づいたことがある。
このロイ・プリーストという少年、本人は特別これといった事をしでかしている訳ではないのに、その存在感が怪しすぎて、全てに誤解が生まれていた。
「あのさ、今日のルーカス様へ言った『ルーカス様は下町の料理がお得意だとか。是非ともそのお手前を拝見したいものですね。』って、どんなつもりで言ったわけ?」
「どんなつもり……?え、そのままだけど?料理が得意っていいよね。ぶっちゃけ宮内の食事って豪勢さ出すためだけの料理で食べにくいし、栄養偏るし……ナテュール様の健康のためにも、レパートリー増やしたいから教えて欲しいんだよね。」
「あー、うん、そんなこったろうと思ったよ。」
今は学内食堂があるからいいけど、なんて言葉を続けるロイの横で思わずため息を零す。
こいつ、周りから『下町の平民が貴族ぶって調子に乗っているから嫌味を言っている』なんて思われているなんて事気がついていないんだよな。
(本人はただ、ナテュール様が大好きだから従者として頑張ってるのに……なんでこんなに怪しいんだろうなぁ…… )
素を知っている俺でも、たまに嫌味なのか?と思うことがあるが本人に聞けば大体そんな意図は無い。
この前はニヤリと怪しい笑みを浮かべていたので何を企んでいるのか尋ねたら「今朝の定食の肉が美味しかったの思い出してた。」と言われて力が抜けたのは最早いい思い出だ。
そして、そんなロイへの誤解から生じるのが、ロイが寮で叫んでいた、ナテュール様への仇なす勧誘だ。
俺を巻き込めないと、校舎裏へと使者を誘導し接触したロイが心配で、影からひっそり様子を伺っていると、
「フンッッッ!!!」
「ぐぶぉ!?」
ロイが相手を思いっきり殴った。
それはもう、清々しい程に綺麗なフォームで相手の顔面に握りこぶしをぶち当てた。
「ちょっとぉぉお!何しちゃってんの!?」
本当なら貴族所か王族のゴタゴタなど、ただの平民の俺が巻き込まれるなんてたまったもんじゃないが、思わず飛び出して尚も相手を殴ろうとするロイを羽交い締めにする。
「止めるなオリバー!」
と、羽交い締めにされていてもロイは更に相手を殴ろうと暴れる。
もうこいつ本当にバカ力!!
「こいつ!僕のナテュール様を侮辱したんだぞ!!?」
「お前のじゃねーだろ!!!」
「ハッ!そうだ!僕がナテュール様の物なんだ!えへへへへへ……」
「相変わらず気持ち悪いやつだな!?」
怒っていたかと思えば突然ヘラヘラと締まりなく笑うロイに思わず暴言が飛び出る。
「てか暴力沙汰はまずいって!お前一応生徒なんだから退学になったらまずいだろ!ナテュール様のそばにいられなくなるぞ!」
「そっ、それは困るが……だとさても許せん!!フンッッッ!」
「だからやめろって!!!」
結局俺の拘束を振り切り、更に神官に一発ぶち込んだロイは「いい汗かいたぜ!」と言わんばかりの爽やかな顔で額の汗を手で拭った。こっちは冷や汗がダラダラだっていうのに!
「全く!俺らはお貴族様と違って直ぐに退学にさせられるんだぞ!?お前分かってんのか!?」
「安心しろ、既に担任教師の弱みは握っている。そう簡単には僕を退学にはできないさ。」
ハンッと鼻で笑って気絶した相手を更に蹴っ飛ばしたロイに、俺は「……あのさ、」と、頬を掻きながら言葉を続けた。
「そういう所が胡散臭いって言われる原因なんだぞ。」
「胡散臭くないもん!!!」
顔を中央にシワッシワに寄せて叫ぶロイ。そんなロイに俺は諦めろ、と言わんばかりの表情でロイの肩にポンっと優しく手を置いた。というかいつの間に担任の弱みなんて握ったんだよ、お前。
「大体さ!細目なのは仕方ないじゃん!目つき悪いからすぐ睨んでるって勘違いさせるし!せめて印象よくしようと笑顔心がけてたら胡散臭いって何!?」
と、今にも泣きそうになりながら叫ぶロイ。
「だって……なんかお前全体的に胡散臭いし……」
「酷い!!こんなにもナテュール様のことをお慕いしてるのに神官やほかの側室からの使者が接触してくるの今月もう5回目だし!こんなにも!!お慕いしてるのに!!!」
「あー、いやでも……その、言っちゃあれだけどお前ナテュール様から嫌われてんだろ……」
「き゛ら゛わ゛れ゛でな゛い゛も゛ん゛ん゛ん゛ん゛……!!」
「あああごめんって!そんな全力で泣くなよっ!!」
最終的に小さな子供みたいに地面に座り込んでギャン泣きし始めたロイをあやしながら、その日はなんとか寮へと連れて帰った。
そんな、割と俺とロイからするとよくある1日だったのだが、
「オリバー・ジャクソンだな。話がある。」
「ヒエッ。」
まさかロイのいないタイミングで、我が国の第7王子ナテュール様に声をかけられるなんて思ってもいなかった。
そのため、学校に行くほど金に余裕は無かった。
商人としての勉強なら親についていれば出来たけれど、それでは未来がない。
王が変わり、政治は今までと違う転換を迎えている。知識がなければこれからの情勢を生き残れないと、バカなりに考えていた。
金は無いけど、勉強はしたい。
そんな俺のような平民には、王立学園の特別進学枠の制度はとても魅力的だった。
もちろん、倍率はとても高いし、入学できたとしてもお貴族様の機嫌を損ねないように気を張る生活をするのは大変だ。
それでも、俺のような平民が学を得られる唯一のチャンスに、どうしてもしがみつきたかった。
親の仕事を手伝う合間に古本を広げ、勉強をする。
両親は気にしなくていいと言ってくれたけれど、ランプの魔法具は燃料となる魔石が高価なため、夜中まで使うのは気がひけて、満月の日は外へ出て月明かりを頼りに勉強した。
そして、
「ご、合格した……!」
俺はなんとか特別進学枠を掴み取る事が出来た。
合格と書かれたその手紙を持ったまま、両親に報告すれば、力いっぱい抱きしめられた。
そうして数ヶ月後、俺は念願の王立学園の門をくぐり抜けたのだった。
それぞれ個室を与えられるお貴族様と違って、俺たち平民の寮部屋は相部屋になる。
ルームメイトはどんな人物だろう?
仲良くなれるといいな。
なんて希望を膨らませ、割り振られた部屋へと足をはこべば、
「おや、あなたがルームメイトですね?私はロイ・プリースト。どうぞよろしく。」
(え、めちゃくちゃ怪しい……)
そこにいたのは『胡散臭い』を擬人化したような生徒だった。
薄ら笑う細められたその目も、指先までしっかりそろえて動かすその動作も、なんというか、全てが怪しかった。
どのくらい怪しいかと言うと、裏から生徒を操って事件起こして高笑いしてそうな怪しさだ。
ファミリーネームからしても神殿出身者なのは丸わかりだし、第7王子の従者と言いながら、従者としてではなく、生徒として学園にいること自体が怪しすぎる。
しかし、
「あーもうやだーーー!!どいつもこいつもーーー!!」
「えっ、何……!?」
ある日突然、部屋に入るなりベッドにダイブしたロイはそんな事を叫んだのだ。
それは既に入学してから2週間が経つ頃だった。
「どいつもこいつも!僕にナテュール様を裏切れと!恥を知れよクソども!!ナテュール様のどこが出来損ないなんだっつーの!てか王位なんて面倒なもんナテュール様に押し付けてたまるもんか!ナテュール様にはのびのびと自由に生きて欲しいのに!そもそも!どうして僕に!裏切りを!勧める!?こんなにも!ナテュール様が大好きな僕に!!」
俺ががいることなんてお構い無しにベッドに突っ伏したまま手も足もばたつかせ、全力で不満を示すロイ。
その姿はまるで、駄々をこねる5歳児のような様だ。
そんな、普段の怪しさからかけ離れたロイの姿に思わず、
「……え、君、第7王子のこと嫌いなんじゃないの……?ぶっちゃけ裏から操る気満々ですって言わんばかりの胡散臭さしてるのに……?」
なんて、無意識のうちに口から言葉を漏らしていた。
「今の話詳しく!」
「えっ!!?」
そんな俺の言葉に素早く反応して、目をかっ開いたまま詰め寄ってきたロイと、少し話せばとんでもない事実が判明した。
「え、私ってそんなに胡散臭いですか……??」
「う、うん……かなり……」
なんと、ロイは自分が胡散臭いと思われていること自体自覚していなかった。
俺の指摘に本気でショックを受けている。
「さっきは僕って言ってたし元々の一人称はそっちなんでしょ……?」
「で、ですが、私は王子に仕える従者です。公の場で『私』と言うことはマナーでもありますし……」
「でも、胡散臭さが倍増されるんだよね。」
「公のマナーなのにどうしろと???」
本気で困惑しているその表情ですら、何故か怪しく見えるのだから不思議だな、と思いながら俺は言葉を続ける。
「えっとさ、ロイさんのファミリーネームって神殿関係者ってすぐわかるじゃん?」
「ええ、まあ、それは確かに。しかし、王宮での職に就くためには仮であれど身元が確かであると証明する家名が必要です。孤児である私が神殿に身元を保証して貰うことにこれと言って怪しいということは……」
「いや、そもそも王家と神殿って仲悪いじゃん。そんなの俺みたいな平民でも知ってるよ?」
と、2つそれっぽい根拠を並べて言ってはみるが、結局のところ
「あとはなんか……存在全てが胡散臭い。」
この一言に尽きる。
何をしていても怪しく感じる。
「僕にどうしろと!!?」
と、叫んだロイ。正直解決策は俺にも分からない。
****
ロイが、同室の俺には素を出すようになって、気づいたことがある。
このロイ・プリーストという少年、本人は特別これといった事をしでかしている訳ではないのに、その存在感が怪しすぎて、全てに誤解が生まれていた。
「あのさ、今日のルーカス様へ言った『ルーカス様は下町の料理がお得意だとか。是非ともそのお手前を拝見したいものですね。』って、どんなつもりで言ったわけ?」
「どんなつもり……?え、そのままだけど?料理が得意っていいよね。ぶっちゃけ宮内の食事って豪勢さ出すためだけの料理で食べにくいし、栄養偏るし……ナテュール様の健康のためにも、レパートリー増やしたいから教えて欲しいんだよね。」
「あー、うん、そんなこったろうと思ったよ。」
今は学内食堂があるからいいけど、なんて言葉を続けるロイの横で思わずため息を零す。
こいつ、周りから『下町の平民が貴族ぶって調子に乗っているから嫌味を言っている』なんて思われているなんて事気がついていないんだよな。
(本人はただ、ナテュール様が大好きだから従者として頑張ってるのに……なんでこんなに怪しいんだろうなぁ…… )
素を知っている俺でも、たまに嫌味なのか?と思うことがあるが本人に聞けば大体そんな意図は無い。
この前はニヤリと怪しい笑みを浮かべていたので何を企んでいるのか尋ねたら「今朝の定食の肉が美味しかったの思い出してた。」と言われて力が抜けたのは最早いい思い出だ。
そして、そんなロイへの誤解から生じるのが、ロイが寮で叫んでいた、ナテュール様への仇なす勧誘だ。
俺を巻き込めないと、校舎裏へと使者を誘導し接触したロイが心配で、影からひっそり様子を伺っていると、
「フンッッッ!!!」
「ぐぶぉ!?」
ロイが相手を思いっきり殴った。
それはもう、清々しい程に綺麗なフォームで相手の顔面に握りこぶしをぶち当てた。
「ちょっとぉぉお!何しちゃってんの!?」
本当なら貴族所か王族のゴタゴタなど、ただの平民の俺が巻き込まれるなんてたまったもんじゃないが、思わず飛び出して尚も相手を殴ろうとするロイを羽交い締めにする。
「止めるなオリバー!」
と、羽交い締めにされていてもロイは更に相手を殴ろうと暴れる。
もうこいつ本当にバカ力!!
「こいつ!僕のナテュール様を侮辱したんだぞ!!?」
「お前のじゃねーだろ!!!」
「ハッ!そうだ!僕がナテュール様の物なんだ!えへへへへへ……」
「相変わらず気持ち悪いやつだな!?」
怒っていたかと思えば突然ヘラヘラと締まりなく笑うロイに思わず暴言が飛び出る。
「てか暴力沙汰はまずいって!お前一応生徒なんだから退学になったらまずいだろ!ナテュール様のそばにいられなくなるぞ!」
「そっ、それは困るが……だとさても許せん!!フンッッッ!」
「だからやめろって!!!」
結局俺の拘束を振り切り、更に神官に一発ぶち込んだロイは「いい汗かいたぜ!」と言わんばかりの爽やかな顔で額の汗を手で拭った。こっちは冷や汗がダラダラだっていうのに!
「全く!俺らはお貴族様と違って直ぐに退学にさせられるんだぞ!?お前分かってんのか!?」
「安心しろ、既に担任教師の弱みは握っている。そう簡単には僕を退学にはできないさ。」
ハンッと鼻で笑って気絶した相手を更に蹴っ飛ばしたロイに、俺は「……あのさ、」と、頬を掻きながら言葉を続けた。
「そういう所が胡散臭いって言われる原因なんだぞ。」
「胡散臭くないもん!!!」
顔を中央にシワッシワに寄せて叫ぶロイ。そんなロイに俺は諦めろ、と言わんばかりの表情でロイの肩にポンっと優しく手を置いた。というかいつの間に担任の弱みなんて握ったんだよ、お前。
「大体さ!細目なのは仕方ないじゃん!目つき悪いからすぐ睨んでるって勘違いさせるし!せめて印象よくしようと笑顔心がけてたら胡散臭いって何!?」
と、今にも泣きそうになりながら叫ぶロイ。
「だって……なんかお前全体的に胡散臭いし……」
「酷い!!こんなにもナテュール様のことをお慕いしてるのに神官やほかの側室からの使者が接触してくるの今月もう5回目だし!こんなにも!!お慕いしてるのに!!!」
「あー、いやでも……その、言っちゃあれだけどお前ナテュール様から嫌われてんだろ……」
「き゛ら゛わ゛れ゛でな゛い゛も゛ん゛ん゛ん゛ん゛……!!」
「あああごめんって!そんな全力で泣くなよっ!!」
最終的に小さな子供みたいに地面に座り込んでギャン泣きし始めたロイをあやしながら、その日はなんとか寮へと連れて帰った。
そんな、割と俺とロイからするとよくある1日だったのだが、
「オリバー・ジャクソンだな。話がある。」
「ヒエッ。」
まさかロイのいないタイミングで、我が国の第7王子ナテュール様に声をかけられるなんて思ってもいなかった。
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