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62(神島洸太視点)
しおりを挟むシヴァ様からのメールを受信した時、まず最初に思ったのは「何故?」という疑問だった。
勿論シヴァ様のなさることには必ず何か意味がある。それは分かっているが、自分のような凡人にはシヴァ様の崇高なお考えを察することが出来なかった。
(アジトではなく○○廃工場というのも気になる。幹部全員とわざわざ明記されているのを見ると今は身動きが取れない太鼓も、ということだよな……)
それに、三叉槍である里田、第三の目の松野も今警察に目をつけられている状態だ。
里田に至っては『弓の射手』から監視されていることも確認が取れている。
(正直、今動くのは……ましてや全員集合させるなんてかなりリスクがあるはず。)
勿論、シヴァ様のご命令であるのだから何としてでも遂行するつもりだ。
だが、シヴァ様の真意を察せないまま動くのは蛇という地位に立つ人間として許せない。
(シヴァ様は決して意味の無い事はしない……アジトではないということは拠点がバレることへの配慮……?いや、シヴァ様の事だ。恐らく他にもなにか目的があるはず。)
そう思考の沼に沈むも、結局シヴァ様の意図を理解することが出来なかった。
だが、そうだとしても蛇として、足を引っ張らないためにも里田や松野、念の為野々本にも、幹部の集合に伴い、監視の目をどう誤魔化すか指示を出す。
野々本は幹部では無いが、現在第三の目である松野の直属部下兼幹部補佐となっているので、集会に参加するように伝える。念には念を、だ。
そして翌日22時を迎えるよりも前。
既にシヴァ様が指定された通りに幹部が集合した。
太鼓だけは念の為場所を明記せず、「シヴァ様からの指示で集会があるが、出られそうか?」とのメールを送ったが、ちょうど警察側でも何かしらの動きがあったようで、太鼓本人は動けないらしく『しゅうかいでれない。なんでおれだけ』というメールが送られてきた。変換する余裕もなかったらしい。
里田も松野も上手く監視の目を誤魔化すことが出来たらしく、持ち運び用のチェス盤を広げて廃材の上でくつろいでいた。
そうして少ししてからシヴァ様がご到着され、三日月である日向が「ご要望のものは全て用意してあります!」と差し出したものは全員分の変装用具1式だった。
(……シヴァ様や幹部の身バレの防止……つまり今まで姿を秘隠し動いていたチャトランガが大々的に動く可能性があるということか。)
前回お会いした時にはそんな話は欠片も出てこなかったことから考えると、恐らく急遽チャトランガが前面に出る必要、もしくは可能性が出てきたということだ。
(警察の目を上手く逸らした今、紅葉組のことがあったとしてもチャトランガが大々的に存在を主張し動くというのは得策ではないように思えるが、それはシヴァ様も承知のはず。)
ならば考えられるのは新しく出てきた敵対勢力『弓の射手』の存在だろう。
シヴァ様が、チャトランガが前面に出なければいけないほどの相手ということなのか。
(……そうなると問題は、警察の目からどう逃れるか、だな……)
1度前面に出てしまえば、今までのような都市伝説扱いとはいかないだろう。警察組織にいる太鼓の危険性もより高まることになる。
そう思案しつつ、仮面をつけ、パーカーのフードを被れば、黒づくめの集団が出来上がった。
全員が着替え終わった所で、「来るのを待とう。」と、シヴァ様は近くの廃材にもたれかかられた。
それに各々「わかりました。」と時が来るまで近くにもたれたり座り込んだりしながらくつろぎ始める。
その後、太鼓と警察官三名がこの廃墟にやって来たため、俺はようやくシヴァ様の意図の全てを理解した。
シヴァ様はここで、警察との秘密裏な連携をとるつもりなのだ、と。
場所を知らないはずの太鼓も警察官達もシヴァ様のいるこの廃墟を選んだのかはわからない。だが、恐らく警察官達が太鼓をここに誘導すると予想して、シヴァ様は集会場所をここに選んだのだろう。
流石シヴァ様だ。
一時的にチャトランガが前面に出るとしても、警察側が秘密裏とはいえ協力関係になれば、警察の目を逸らす必要も無い。
(しかも、あの代田とかいう男の隣にいるやつは公安組織の人間だ。)
公安と正式に協力関係を気づけるというのはかなり強い。
恐らく公安組織全体というよりは、彼個人との協力関係にはなるだろうが、あるのと無いのでは状況に雲泥の差がある。
流石に立場上多少の腹の探り合いはあったもののシヴァ様の
「この街を守る。それ以外の利点が、今必要ですか?」
という一言で、警察側は静かになった。
シヴァ様は『弓の射手』を完全に潰す気でいるし、警察はテロを防ぎたい。お互いの利害は一致しているので、そこから話を詰めるのは簡単だった。
その後シヴァ様の先見の明に警察側が驚くなどがあったが、あらかた話の目処が着いたところで、
「……では、協力関係を結ぶにあたって、いくつか取り決めをしましょう。」
と、公安の男が眼鏡のブリッジを押し上げた。
それに、蛇である俺と、シヴァ様の目である第三の目が前に出る。本来の交渉役である川を下げたのはこちらからの誠意だ。交渉や無駄な探りはせず、『取り決め』のみをするつもりだ、という意思表示だ。
「公安の人間がいると話が早くて助かる。」
「……やはりそこまでわかっていたんですね。」
俺の言葉に、やれやれと言わんばかりに男が息を吐く。
そして、この公安の男、本名は明かせないので便宜上『朝日』と呼ぶが、朝日の個人的な協力者となることが決まり、公安、そして警察は余程のことがない限り、もしくは確たる証拠が出ない限りチャトランガを詮索しない、探らないことを約束した。
代わりにチャトランガ側からは裏社会の秩序の貢献、情報提供、いざと言う時の裏組織の鎮圧粛清を約束することに決まった。
「……あとの問題は『弓の射手』がどう動くか、ですね。」
そうポツリと言葉を落とした第三の目に、俺も朝日も頷き同意を示す。
「現状、『弓の射手』のボスは正体が分かっていません。組織の幹部で顔がわかっているのは先程の映像にあった交渉人、通称『ヴァジュラ』呼ばれる男のみです。」
なにか分かりましたらこちらに連絡を、と1枚の紙切れを渡される。それをチャトランガ用のスマートフォンに登録し、その画面を見せ、確認させた所で、もらった紙切れをライターで燃やし、コンクリートの床に落とした。
「……解散しましょう。」
紙が燃え尽きたところで、シヴァ様はサッと踵をかえし廃墟から立ち去ろうとする。それに三日月や三叉槍などの幹部が続き、俺と第三の目も「では、また。」とだけ伝えてシヴァ様の後を追った。
ちなみにシヴァ様こと芝崎は蛇達の話をちゃんと聞いておらず、蛇が突然貰った紙を燃やして地面に捨てたように見えたので、「やばっ、これ喧嘩しそうな感じ!?」と焦った結果、「(喧嘩ややっぱ協力関係なし!ってなる前に)解散しましょう」そう慌てて帰ろうとしただけである。
勿論シヴァ様のなさることには必ず何か意味がある。それは分かっているが、自分のような凡人にはシヴァ様の崇高なお考えを察することが出来なかった。
(アジトではなく○○廃工場というのも気になる。幹部全員とわざわざ明記されているのを見ると今は身動きが取れない太鼓も、ということだよな……)
それに、三叉槍である里田、第三の目の松野も今警察に目をつけられている状態だ。
里田に至っては『弓の射手』から監視されていることも確認が取れている。
(正直、今動くのは……ましてや全員集合させるなんてかなりリスクがあるはず。)
勿論、シヴァ様のご命令であるのだから何としてでも遂行するつもりだ。
だが、シヴァ様の真意を察せないまま動くのは蛇という地位に立つ人間として許せない。
(シヴァ様は決して意味の無い事はしない……アジトではないということは拠点がバレることへの配慮……?いや、シヴァ様の事だ。恐らく他にもなにか目的があるはず。)
そう思考の沼に沈むも、結局シヴァ様の意図を理解することが出来なかった。
だが、そうだとしても蛇として、足を引っ張らないためにも里田や松野、念の為野々本にも、幹部の集合に伴い、監視の目をどう誤魔化すか指示を出す。
野々本は幹部では無いが、現在第三の目である松野の直属部下兼幹部補佐となっているので、集会に参加するように伝える。念には念を、だ。
そして翌日22時を迎えるよりも前。
既にシヴァ様が指定された通りに幹部が集合した。
太鼓だけは念の為場所を明記せず、「シヴァ様からの指示で集会があるが、出られそうか?」とのメールを送ったが、ちょうど警察側でも何かしらの動きがあったようで、太鼓本人は動けないらしく『しゅうかいでれない。なんでおれだけ』というメールが送られてきた。変換する余裕もなかったらしい。
里田も松野も上手く監視の目を誤魔化すことが出来たらしく、持ち運び用のチェス盤を広げて廃材の上でくつろいでいた。
そうして少ししてからシヴァ様がご到着され、三日月である日向が「ご要望のものは全て用意してあります!」と差し出したものは全員分の変装用具1式だった。
(……シヴァ様や幹部の身バレの防止……つまり今まで姿を秘隠し動いていたチャトランガが大々的に動く可能性があるということか。)
前回お会いした時にはそんな話は欠片も出てこなかったことから考えると、恐らく急遽チャトランガが前面に出る必要、もしくは可能性が出てきたということだ。
(警察の目を上手く逸らした今、紅葉組のことがあったとしてもチャトランガが大々的に存在を主張し動くというのは得策ではないように思えるが、それはシヴァ様も承知のはず。)
ならば考えられるのは新しく出てきた敵対勢力『弓の射手』の存在だろう。
シヴァ様が、チャトランガが前面に出なければいけないほどの相手ということなのか。
(……そうなると問題は、警察の目からどう逃れるか、だな……)
1度前面に出てしまえば、今までのような都市伝説扱いとはいかないだろう。警察組織にいる太鼓の危険性もより高まることになる。
そう思案しつつ、仮面をつけ、パーカーのフードを被れば、黒づくめの集団が出来上がった。
全員が着替え終わった所で、「来るのを待とう。」と、シヴァ様は近くの廃材にもたれかかられた。
それに各々「わかりました。」と時が来るまで近くにもたれたり座り込んだりしながらくつろぎ始める。
その後、太鼓と警察官三名がこの廃墟にやって来たため、俺はようやくシヴァ様の意図の全てを理解した。
シヴァ様はここで、警察との秘密裏な連携をとるつもりなのだ、と。
場所を知らないはずの太鼓も警察官達もシヴァ様のいるこの廃墟を選んだのかはわからない。だが、恐らく警察官達が太鼓をここに誘導すると予想して、シヴァ様は集会場所をここに選んだのだろう。
流石シヴァ様だ。
一時的にチャトランガが前面に出るとしても、警察側が秘密裏とはいえ協力関係になれば、警察の目を逸らす必要も無い。
(しかも、あの代田とかいう男の隣にいるやつは公安組織の人間だ。)
公安と正式に協力関係を気づけるというのはかなり強い。
恐らく公安組織全体というよりは、彼個人との協力関係にはなるだろうが、あるのと無いのでは状況に雲泥の差がある。
流石に立場上多少の腹の探り合いはあったもののシヴァ様の
「この街を守る。それ以外の利点が、今必要ですか?」
という一言で、警察側は静かになった。
シヴァ様は『弓の射手』を完全に潰す気でいるし、警察はテロを防ぎたい。お互いの利害は一致しているので、そこから話を詰めるのは簡単だった。
その後シヴァ様の先見の明に警察側が驚くなどがあったが、あらかた話の目処が着いたところで、
「……では、協力関係を結ぶにあたって、いくつか取り決めをしましょう。」
と、公安の男が眼鏡のブリッジを押し上げた。
それに、蛇である俺と、シヴァ様の目である第三の目が前に出る。本来の交渉役である川を下げたのはこちらからの誠意だ。交渉や無駄な探りはせず、『取り決め』のみをするつもりだ、という意思表示だ。
「公安の人間がいると話が早くて助かる。」
「……やはりそこまでわかっていたんですね。」
俺の言葉に、やれやれと言わんばかりに男が息を吐く。
そして、この公安の男、本名は明かせないので便宜上『朝日』と呼ぶが、朝日の個人的な協力者となることが決まり、公安、そして警察は余程のことがない限り、もしくは確たる証拠が出ない限りチャトランガを詮索しない、探らないことを約束した。
代わりにチャトランガ側からは裏社会の秩序の貢献、情報提供、いざと言う時の裏組織の鎮圧粛清を約束することに決まった。
「……あとの問題は『弓の射手』がどう動くか、ですね。」
そうポツリと言葉を落とした第三の目に、俺も朝日も頷き同意を示す。
「現状、『弓の射手』のボスは正体が分かっていません。組織の幹部で顔がわかっているのは先程の映像にあった交渉人、通称『ヴァジュラ』呼ばれる男のみです。」
なにか分かりましたらこちらに連絡を、と1枚の紙切れを渡される。それをチャトランガ用のスマートフォンに登録し、その画面を見せ、確認させた所で、もらった紙切れをライターで燃やし、コンクリートの床に落とした。
「……解散しましょう。」
紙が燃え尽きたところで、シヴァ様はサッと踵をかえし廃墟から立ち去ろうとする。それに三日月や三叉槍などの幹部が続き、俺と第三の目も「では、また。」とだけ伝えてシヴァ様の後を追った。
ちなみにシヴァ様こと芝崎は蛇達の話をちゃんと聞いておらず、蛇が突然貰った紙を燃やして地面に捨てたように見えたので、「やばっ、これ喧嘩しそうな感じ!?」と焦った結果、「(喧嘩ややっぱ協力関係なし!ってなる前に)解散しましょう」そう慌てて帰ろうとしただけである。
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