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 項に口づけられてから奥に微熱を帯びている柚月の入口は、指でそっと触れられただけで求めるようにヒクついた。
「───っ···ぁっ···」
 指をゆっくりと入れられ、入り込んでくる異物を確かめるように内壁が締めつける。
「んぅ···あっ···やっ··あぁっ···」
 入口の辺りをなぞるように浅く抜き差ししていた指が次第に奥へと差し込まれ、柚月は言いようの無い快感に声を殺す事が出来ず切なげな吐息が洩れる。
「はぁ、はぁ···ん···ぅ···も···やだ···」
 緩やかな刺激は絶頂を迎える事が出来ず、狂おしく悶える欲情に柚月は躰を震わせた。だが、斗真は優しい手つきで内壁をなぞり続ける。
「やっ、やだっ···そこ···やめっ···んんっ···」
 優しいだけの刺激は淫らな気持ちを揺さぶるだけで、イけない苦しさに柚月は涙を滲ませた。
「俺を求めるか?柚月···」
「···ぅっ···くぅっ···っつ」
 問いかけられ悔しそうに唇をきつく結ぶが、前立腺を探し当てた斗真の指が答えを催促するように刺激する。
「···んぅっ···お···願っ···もう···」
 絶頂の手前で焦らされ続けた柚月はとうとう懇願の言葉を口にした。
「俺にどうして欲しい?」
「······イか···せて···」
 消え入りそうな程小さな声で柚月は呟いた。


 大人しくなった柚月から押さえつけていた手を離し、前へと回した。後ろを指で刺激しながら柚月の半身に指を絡ませると、斗真はしごくように手を動かし始める。
「うっ···くぅっ···っつ···はぁ、はぁ···んぅっ···」
 呼吸を乱しながら愛撫を求めるように腰が揺れ、時折イきそうになるのか四肢を強張らせながら息を詰める。その表情は色情を感じさせ艶っぽく、そそられた。

 後ろと前を同時に責め立てられ、淫らな快楽が柚月を絶頂へと導いていく。
「はぁ、はぁ···あっ···もぅ·····イっ···んんっ───···」
 強い射精感に襲われた柚月は肩を細かく震わし、柚月は斗真の手の中で果てた。それと同時に躰の奥に欲しいと斗真の指を招き入れるように内壁がうねるように締めつける。
 悔しいが、彼を求めたと認めるしかなかった。


 このまま力で捩じ伏せられるように番にもされるのか···


 悔しさと諦めの混ざった感情が柚月を無気力にさせる。
 イった後の気怠さに躰を起こす事も出来ずテーブルに上半身を預けたままぐったりしている柚月を心配そうに斗真は顔を覗き込んだ。
「···大丈夫か」
 問いかけながら、中に埋めていた指をゆっくりと引き抜いた。
「···っう···」
 指が出ていく感覚に短い吐息が柚月の唇から洩れる。抜かれてしまった躰の奥にジンジンと微熱が残っているのを感じながら、斗真の自分の躰を気遣う態度に微かに驚きの表情を浮べた。
「···いくら香りに欲情したからといって、そこまで非道じゃない」
 柚月の視線を受け、斗真は少しバツが悪そうに呟いた。
 そこまで非道じゃない。そう言いはしたが、はじめは無理矢理にでも自分のモノにしてしまいたいと思っていた。たが、頑なに拒絶する柚月を目の当たりにした斗真は、それでは自分の望むものは手に入れられない···そう気づいた。
 欲しいのは西園寺家ではなくただの斗真として映る彼の瞳だ。


「番になりたくなるまでは待ってやる」
 斗真の言葉に柚月は益々、目を大きくさせた。
 最初の高慢だった態度とはかなり違う雰囲気と気遣う言葉に驚いた表情のまま固まっている柚月を後目しりめに、斗真は部屋の扉に向かうと僅かに開け外にいる人物と一言二言、言葉を交わした。
 暫くするとタオルを数枚受け取り柚月の元に戻ってきた。
 テーブルの上に柚月を座らせると、濡れたタオルで柚月の汗と体液で汚れた太腿を綺麗に拭いていく。
「お···い、自分で出来る」
 タオルを奪おうとするが、斗真の手にはばまれた。
「いいから、じっとしていろ」
 手際良くタオルで清潔にし、あっという間に乱れた衣類を整えられていく。
「···さっきの···待つってどういう事だよ」
「そのままの意味だが?」
「俺が思わなかったら···番にしないつもりか?」
「まあ···そうなるな」
 さっきまでは無理矢理してきた癖に···調子が狂うな、と斗真の言葉に戸惑いの表情を浮かべた。
「······言わないぞ、俺は···」
 ああ、と斗真は頷きながら
「ただ···何もせず気長に待つつもりはない。その気にさせてみせるさ···」
 と、笑ってみせた。
「···勝手に···しろよ」
 そう言った柚月の声は、最初より彼に対する嫌悪感は薄らいでいた。



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