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始めての夜会で、煌びやかな会場に足がすくんでしまう。
夜会の内容自体は、把握してたけど。
とにかく豪華だ。
会場には、令嬢達の色とりどりのドレスで花が咲いているよう。
今回は、僕のデビューもあり、両親と兄様に一緒に来たんだ。
あまりに僕がキョロキョロするもんだから兄様に、
「ルー、あまりキョロキョロするなよ?人にぶつかるよ?」
恥ずかしい!
頬が赤くなるのが、分かる。
だって、初めてなんだもの。
早く、ライに会いたいな。
安心するのに。
この服のお礼も言いたい。
しばらくすると、王族が入場が始まると、アナウンスが流れた。
会場は、水を打ったように静まった。
扉が開いて、ライが見えた。
あっ!
か、かっこいい!!
凄く凄くかっこいい!
いつもは下ろしている前髪を今日は、全部上げてる。
あ、あれ?あれれ?
何か、凄く不機嫌?みたい。
どうしたのかな?
でも、そんな顔もキリッとして、素敵だなぁ。
ん?
服が・・・・僕のと、お揃いなの?
色も僕の目の色だ。
う、何か恥ずかしい・・・・
でも、嬉しいな。
じっとライばかり見てたら、僕の前に兄様が立つから、
「兄様?」
「あールー。今から王様の挨拶があるからちゃんと、聞こうな?」
「う、うん。」
返事はしたものの、何なんだろう?
ま、いっか。
えっと、この後、王族の挨拶する為に並ばないといけないんだよね?
僕は、1番最後かな?
王様の挨拶も終わり、皆が移動を始めると父様が、
「ルーは、最後だから、まだゆっくりしてていいよ?疲れてないか?」
「うん、大丈夫だよ。」
「では、父様と母様と一緒に待ってようか」
「うん、ありがとう。」
両親が、僕と一緒にいてくれるから安心だな。
父様の所に、挨拶をしに来る人達が、僕を見ると、ハッとする顔するから、何だろうって首をコテリとすると、兄様が僕の前に来て見えなくなった。
何なんだろう?
僕、何か変なのかな?
母様に
「ねぇ?母様?僕何か変?」
「ふふっ、ルーは可愛いわよー!」
「えっと、そうじゃなくてね?何で皆僕を見てビックリしてるの?」
「ルーが可愛いからよ。」
駄目だ。
母様に聞いたのが、間違いだ。
もういいや。
家族に囲まれて、大人しく待っていると、やっと僕の番が来た。
王様の前に立ち、右手を胸に当てて頭を下げる。
「面をあげよ。」
ゆっくりと、頭をあげると、ライに良く似た陛下が、にっこり笑って
「成人おめでとう。」
「ありがとうございます。」
僕も、笑顔で返すと、陛下は玉座から降りて僕の前まで来て、
「久しぶりだな?ルー。たまには私の所にも顔をみせにおいで?待ってるよ。」
僕の頭を撫でながら、そう言うと、
「あら?ズルいわ!ねぇ?ルーちゃん。久しぶりね。私の所にも来て頂戴ね?はぁ可愛いわぁ~。」
と、王妃様が僕を抱きしめてきた。
アワアワする僕を助けてくれたのは、ライだった。
「妃殿下、ルーを離して下さい。」
「ん、もう!ちょっとぐらいいでしょうにケチなんだから~」
「駄目です!ルーは私のですから。」
ライは、僕の腕を優しく掴んでライの腕の中に囲い込んた。
「ルー?疲れてない?大丈夫?」
ライは、僕の顔を覗き込んで、心配そうな顔をしてる。
「うん、大丈夫だよ。ちょっと緊張したけどね。」
「そうか。良かった。」
安心した顔で、僕の頭を撫でてくれた。
僕もライの顔が見れて、嬉しくて笑顔で
「心配してくれて、ありがとう。」
ライは、大きく目を見開くと、途端に破顔した。
あぁ、やっぱり好きだなぁと、改めて思う僕だった。
それから、ライは、
「座って食事でもしような。」
僕をソファに座らせ、ちょっと待っててと
近くにいる給仕の人に食事を持って来るように伝えた。
ライと、座って話をしてると、
「殿下、少し宜しいでしょうか?」
「何だ?」
「いえ、そちらの方は、宰相閣下のご子息でいらっしゃいますか?」
「あぁ、それが?」
ライが、不機嫌な返事をするので、僕は急いで立ち上がり、
「初めまして、ナーヴァス公爵家の次男でルーカスです。ラインハルト殿下の側近として、側に仕えさせて頂いております。」
「おぉ、そうで御座いましたか。私は、ダグラナ伯爵家当主の、アイゼンでこちらが娘の、ポーリットと申します。以後お見知り置きを。」
「こちらこそ。」
ライが、
「で?要件はなんだ?」
不機嫌顔で、僕の前に立つ。
「いえ、ルーカス様には、まだ婚約者がいらっしゃらないのかと、ならば、娘はどうかと、思いましてな。」
えっ?僕?
ライじゃないの?
そんな事考えてると、ライが
「あぁ、まだ私の側近の仕事に就いたばかりだから、今はまだそんな余裕はない。」
「そうでございますか。では、また。」
と、その親子は会場に戻って行く。
ふぅ~ビックリした。
でも、そうか。
これからは、こんな事もあるんだよね。
まだ、そんな事も考えられないし、な。
「ルー?大丈夫?」
「あ、うん。ビックリしたけど。ありがとう。ライ。」
「いや、ルー。ルーは婚約者が欲しい?」
「えっ?」
「まぁ、成人を迎えたから、そう言う話も出て来るだろうな。」
「そうだね。でも、僕は身体も弱くて、誰かを守る事は出来ないよ。多分・・・僕は結婚しないと思う。」
「・・・ルー。」
ライは、少し寂しそうな顔で、僕の頭を撫でる。
「ふふっ、そんな顔しないで。今は、やりたい事があるから、そんな事考えられないしね。」
「ふっ、そうか。無理するなよ?」
「うん。ありがと。」
そうして、僕の初めての夜会は、終わったのだ。
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