3 / 23
3
しおりを挟む3
今回の夜会は、定期的に行われる会で、15歳で成人を迎える令息や令嬢がデビューの祝いも兼ねて行う。
当然、ルーも15歳になったのだから、夜会に出席する事になるのだが、本人は出席するとは思わなかったみたいだ。
頭も良くて、色々な事に気付くのに、とんと自分の事になると、後回しにするみたいだ。
そんな所もまた、可愛らしいのだが。
俺は、この日の為に前からルーの夜会服を準備していた。
俺の色の服だ。
これを着たルーを想像して、顔がにやけてしまう。
(絶対に可愛い!早く見たいな!)
だから、ルーに服は用意してあるからと言うと、ビックリしてたな。
さて、あの服を見てどんな反応するのか、楽しみだ。
マリウスには、
「あまり、ルーを困らせるなよ。可愛いのは、わかるがな!」
困らせたいとは、思ってない。
ただただ可愛いルーが見たいだけなんだ。
俺の色を着るルーが、可愛くない訳がない絶対!!可愛い!
俺の服は、ルーの色だ。
対になるようになってる。
ははっ!
俺って、どんだけルーの事が好きなんだろうな。
兄である、国王には俺の気持ちは、筒抜けのようだ。
だから、婚約者を探す事もしないし、早く結婚しろとも言わない。
山のような縁談も、断ってくれている。
ただ、俺の好きなようにさせてくれている
だから、俺は兄の事を尊敬しているし、忠誠を捧げている。
父上である、前国王は早くに兄に王位を渡し、今は母上と一緒に優雅に隠居生活をしている。
この両親も、ルーの事を可愛がっていて、よくルーを呼び出しては、話し相手になっている。
ルーには、無理に行かなくていい。と言ってるが、
「僕が行きたいんだ。じぃじと、ばぁばに会いたいから。楽しいんだよ。」
そんなルーが、愛しくてたまらない。
前国王と前王妃を、じぃじ、ばぁば呼ばわりするのは、ルーしかいないだろうな。
甥っ子の王子達も、そう呼ばないしな。
さて、
夜会前は、何かと忙しくて、ルーとゆっくり出来ない。
ルーが体調を崩さないように気をつけてはいるが、まぁ、本人が楽しそうだから今のところは大丈夫だろう。
夜会当日。
煌びやかな会場に、ドレスの花々が咲いて来たところで、ほとんどの貴族の入場が終わり、ルーの姿も見えた。
ほぅ、やはり良く似合ってる。
可愛いな。
いや、本気であんなに似合うとは・・・
緊張してるのか?
キョロキョロしてて、あっ!マリウスに何か言われて、恥ずかしそうにしてる。
あー本当可愛い。
俺達が入場する場所のカーテンの隙間から見てる俺を、兄が
「おい、覗き見か?あぁ、ルーカス見てるのか。どれ?」
と、俺の横から顔を覗くと、
「おぉ!可愛らしいな。これは大変だなぁライ?」
「えっ?何が?」
「ん?あれだけ可愛らしい子他に目をつけられても、おかしくないだろ?」
「なっ!なんだと!?」
「あら?ルーちゃん、なんて可愛いのかしら!まぁまぁ!」
隣りから、義姉の王妃の声が聞こえる。
なんだよ!
ルーが可愛いのは、当然だ!
だが、そうか・・・
他の者にも、ルーが可愛いと思う者もいるんだよなぁ。
・・・・・ルーが、もし、好きになった子がいたら?
えっ?嫌だ!
そう思うだけで、胸が張り裂けそうになる
嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ!!!
その時、ポンと肩を叩かれる。
「行くぞ!」
俺達の入場の時間になっていた。
兄上より先に、俺が入場する。
その後、国王夫妻が入場する。
会場は、静まり返り、国王の言葉を待つ。
俺は、先程考えていた事で、不機嫌な顔になっていた。
王族として、良くない事は分かってるが、大概夜会に出席する時は、不機嫌顔だから大丈夫だろう。
じゃないと、令嬢達が寄ってくるから、面倒くさい。
だから、いつもは挨拶だけ済ませて、さっさと帰るんだが。今日は、ルーがいるからルーに付き合ってやりたい。
国王の挨拶も終わり、今回デビューする子達が、1人1人国王に挨拶為に列を作る。
爵位の低い者から、並べられていて、ルーは公爵家だから、1番最後に並んだ。
俺も、王妃の隣りに座って、挨拶を受ける
さっさと済ませたいのに、令嬢の親達から
「我が娘は、器量も良くて・・・・」
云々、もういい加減にしろよな!
あーーー!面倒くさい!
興味ないんだよ!
ますます不機嫌顔になる俺を、
「ルーちゃんまで、後少しよ!我慢しなさい。」
と、義姉に言われた。
はぁぁもう!
早くルーに会いたいのに!
イライラしながら、我慢していると、ようやく、ルーの姿が見えた。
41
お気に入りに追加
1,216
あなたにおすすめの小説
【完結】別れ……ますよね?
325号室の住人
BL
☆全3話、完結済
僕の恋人は、テレビドラマに数多く出演する俳優を生業としている。
ある朝、テレビから流れてきたニュースに、僕は恋人との別れを決意した。
異世界転生先でアホのふりしてたら執着された俺の話
深山恐竜
BL
俺はよくあるBL魔法学園ゲームの世界に異世界転生したらしい。よりにもよって、役どころは作中最悪の悪役令息だ。何重にも張られた没落エンドフラグをへし折る日々……なんてまっぴらごめんなので、前世のスキル(引きこもり)を最大限活用して平和を勝ち取る! ……はずだったのだが、どういうわけか俺の従者が「坊ちゃんの足すべすべ~」なんて言い出して!?
召喚された少年は公爵様に愛される
さみ
BL
突然、魔導士により召喚された、ごく普通の大学生の乃亜(ノア)は何の能力も持っていないと言われ異世界の地で捨てられる。危険な森を彷徨いたどり着いた先は薔薇やガーベラが咲き誇る美しい庭だった。思わずうっとりしているとこっそりとパーティーを抜け出してきたライアンと出会い.....
美貌の騎士候補生は、愛する人を快楽漬けにして飼い慣らす〜僕から逃げないで愛させて〜
飛鷹
BL
騎士養成学校に在席しているパスティには秘密がある。
でも、それを誰かに言うつもりはなく、目的を達成したら静かに自国に戻るつもりだった。
しかし美貌の騎士候補生に捕まり、快楽漬けにされ、甘く喘がされてしまう。
秘密を抱えたまま、パスティは幸せになれるのか。
美貌の騎士候補生のカーディアスは何を考えてパスティに付きまとうのか……。
秘密を抱えた二人が幸せになるまでのお話。
ヴェリテ〜賢竜帝様の番は過ちを犯し廃嫡されて幽閉されている元王太子で壊れていました
ひよこ麺
BL
賢王と慕われる竜帝がいた。彼が統治してからの500年の長きに渡りポラリス帝国は繁栄を極めた。そんな素晴らしい竜帝にもひとつだけ問題があった。
彼は妃を迎えていなかった。竜人である竜帝には必ず魂の伴侶である番が存在し、歴代の竜帝も全て番と妻として迎えていた。
長命である竜人であるがゆえにそこまで問題視されてはいなかったが、それでも500年もの長い間、竜帝の番が見つからないのは帝国でも異例な事態だった。
その原因を探るために、数多手を尽くしてきたが、番の行方はようとしてしれなかった。
ある日、ひとりの男が竜帝の元を訪れた。彼は目深にローブを被り、自らを『不死の魔術師』と名乗るとひとつの予言を竜帝に与えた。
『貴方の番は、この1000年不幸な運命に翻弄され続けている。それは全て邪悪なものがその魂を虐げて真実を覆い隠しているからだ。番を見つけたければ、今まで目を背けていた者達を探るべきだ。暗い闇の底で貴方の番は今も苦しみ続けているだろう』
それから、ほどなくして竜帝は偶然にも番を見つけることができたが、番はその愚かな行いにより、自身の国を帝国の属国に堕とす要因を作った今は廃嫡されて幽閉されて心を壊してしまった元王太子だった。
何故、彼は愚かなことをしたのか、何故、彼は壊れてしまったのか。
ただ、ひたすらに母国の言葉で『ヴェリテ(真実)』と呟き続ける番を腕に抱きしめて、竜帝はその謎を解き明かすことを誓う。それが恐ろしい陰謀へつながるとことを知らぬままに……。
※話の性質上、残酷な描写がございます。また、唐突にシリアスとギャグが混ざります。作者が基本的にギャグ脳なのでご留意ください。ざまぁ主体ではありませんが、物語の性質上、ざまぁ描写があります。また、NLの描写(性行為などはありませんが、元王太子は元々女性が好きです)が苦手という方はご注意ください。CPは固定で割と早めに性的なシーンは出す予定です、その要素がある回は『※』が付きます。
5/25 追記 5万文字予定が気づいたらもうすぐ10万字に……ということで短編⇒長編に変更しました。
強制悪役令息と4人の聖騎士ー乙女ハーレムエンドー
チョコミント
BL
落ちこぼれ魔法使いと4人の聖騎士とのハーレム物語が始まる。
生まれてから病院から出た事がない少年は生涯を終えた。
生まれ変わったら人並みの幸せを夢見て…
そして生前友人にもらってやっていた乙女ゲームの悪役双子の兄に転生していた。
死亡フラグはハーレムエンドだけだし悪い事をしなきゃ大丈夫だと思っていた。
まさか無意識に悪事を誘発してしまう強制悪役の呪いにかかっているなんて…
それになんでヒロインの個性である共魔術が使えるんですか?
魔力階級が全てを決める魔法の世界で4人の攻略キャラクターである最上級魔法使いの聖戦士達にポンコツ魔法使いが愛されています。
「俺なんてほっといてヒロインに構ってあげてください」
執着溺愛騎士達からは逃げられない。
性描写ページには※があります。
天涯孤独な天才科学者、憧れの異世界ゲートを開発して騎士団長に溺愛される。
竜鳴躍
BL
年下イケメン騎士団長×自力で異世界に行く系天然不遇美人天才科学者のはわはわラブ。
天涯孤独な天才科学者・須藤嵐は子どもの頃から憧れた異世界に行くため、別次元を開くゲートを開発した。
チートなし、チート級の頭脳はあり!?実は美人らしい主人公は保護した騎士団長に溺愛される。
親友と同時に死んで異世界転生したけど立場が違いすぎてお嫁さんにされちゃった話
gina
BL
親友と同時に死んで異世界転生したけど、
立場が違いすぎてお嫁さんにされちゃった話です。
タイトルそのままですみません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる