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ミリアリア国。
遠い昔には、領土を巡って争いはあったものの、今は平和な国となっている。
この国の王も、賢王として君臨し、それを支える王弟もまた、素晴らしいと、評判だ
公務も的確に対応し、剣の腕も騎士団の団長と互角だ。
性格も、穏やかだが、厳しい部分も持ち合わせている。
25歳だが、まだ独身が故、縁談がひっきりなしだ。
国交も安定しているので、他国の姫を娶らなくてもいいので、国内の貴族女性からの求婚は後をたたない。
王弟殿下。
ラインハルト・ミリアリア
そのラインハルトが大事にしている子がいる。
ナーヴァス公爵の次男。
ルーカス・ナーヴァス。
産まれた時から溺愛している。
ミリアリア国の王弟と、ナーヴァス公爵家は、親戚にあたる。
ラインハルトの祖母が、ナーヴァス公爵家の現在の当主の祖母と、姉妹なのだ。
だから、ルーカスとは一応血の繋がりある
ルーカスの兄のマリウスとは、同い年で親友でもある。
幼い頃から一緒に遊び学び、お互い切磋琢磨しながら育った。
10歳と、歳の離れた弟をマリウスも大変可愛がった。
産まれたばかりのルーカスを見たラインハルトは、あまりの可愛さにメロメロになり毎日ルーカスに会いに公爵家に行った。
ルーカスは、産まれた時から、少し体が弱く、よく熱を出し、ベッドから出れない日が続く事が多かった。
そんな時、ラインハルトはルーカスが退屈しないように、絵本を読んであげたり、色々な遊びを教えてあげたりと、甲斐甲斐しく世話をした。
体調の良い日には、庭を散歩したり馬を見たり乗せたりと、ルーカスが笑顔になるようにと、心を砕いたのだった。
ラインハルトだけではなく、兄のマリウスも一緒にルーカスを可愛がった。
そんな2人に育てられたルーカスは、優しい心を持ったまま成長した。
公爵家を継ぐ嫡男のマリウスを支えていけるように、ルーカスは勉学を頑張るが、やはり体が弱く剣を習うのは、皆が反対したのだ。
少し無理をすると、必ず体調を崩してしまうので、残念に思いながら、ならば、僕に出来る事は何があるのか、と、毎日考える日々だ。
そんな、ルーカスをラインハルトは、優しく見守っている。
15歳になったルーカスに、ラインハルトは自分の側近として、やってみないか?と
話をされて、ルーカスは少し躊躇ったものの、喜んで二つ返事で受けた。
ラインハルトは、自分の執務室にルーカスがいるのが、嬉しくて仕方がない。
朝、自分の執務室に入ると、
「おはようございます。殿下。」
と、ルーカスが笑顔で挨拶する。
「おはよう。ルー。2人の時は、ライと、呼んでね。」
「え、で、でも・・・」
困った顔も可愛いな。なんて思いながら、
「大丈夫。2人だけの時だからね。」
「う、うん。わかった、ライ。」
俺は、笑顔でルーカスの頭を撫でる。
・・・可愛いな・・・本当に・・・
ルーカスは、本当に可愛い。
亜麻色の髪色に柔らかい髪質で凄く触り心地が良い。
いつまで触っていたいくらい気持ちいい。
目も、大きく少し垂れ目がいい。
なんと言っても、綺麗な目の色。
スカイブルーの澄み切った色。
吸い込まれそうだ。
兄のマリウスは、新緑の色で兄弟でも違うもんだなと思う。
顔は何となく似ているが、マリウスは父親に似て、がっしりとした体付きだ。
ルーカスは、華奢で儚げな感じだ。
守ってやらなければと、思わずにはいられない。
性格も優しく、頭がいい。
仕事振りを見ても、的確に対応している。
俺の執務室にいる人間は、限られた人しかいない。
まずは、俺。
そしてルーカス。
以前から、俺の側近をしていた、ライアン
このライアンが、
「私1人では、この書類を捌けません!誰か、もう1人欲しいです!!」
と、以前からうるさかったので、ルーカスを採用したのだ。
基本3人で、扉の向こうには文官が複数人いる。
この執務室には、3つの扉がある。
1つは、文官達が居る部屋。
もう1つは、廊下に続く部屋。
ここには、護衛の騎士が2人いる。
最後の扉は、俺の仮眠室。
まぁ、プライベートな場所だ。
ここには、鍵をかけれるようになっている。
が、そもそも使う事がない。
随分と昔には、使われていたんだろうがな
俺の代になってからは、使う事はない。
女を連れ込む事など、ないからな。
だが、ルーカスの体調が悪くなる事があるかもしれないので、こまめに掃除をしておくようにと、指示はしてある。
とにかく、俺は、ルーカスが可愛くて仕方がないのだ。
産まれた時から面倒を見ているのもあるが何故か、ルーカスが側に居ないと、落ち着かない。
庇護欲。
なのだろうか?
成長するに連れ、その気持ちだけではないと、最近思うのだ。
誰かに、ルーカスを取られたら?
考えただけで、気が遠くなりそうだ。
胸が締め付けられて苦しくなる。
まだ、この気持ちは誰にも知られてはいけない。と、日々悩んでいるのだ。
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