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番外編(ジーク)

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      番外編ジーク



俺は、最高に幸せだ。
愛しい番。ハル。
ハルが3人も、天使を産んでくれた。

ノア、アキ、キラ。

ノアとアキは、10歳になり、キラは6歳になった。

ノアは、公爵家嫡男としての教育を受けると、共に剣術としての才能もあり、将来有望だ。
俺のように、番を探したりなんかしなくて妹のキラを溺愛している。
アキも同じくだ。
何より、キラは可愛すぎる。
ハルに言わせれば、キラの眼は、オッドアイと言うらしい。
両目の色が違う。
黒と、紫だ。
髪色は、銀髪。
顔は、本当に俺とハルに似てる。
とてつもなく、可愛い。

産まれた時には、ハルは心配していたが、その心配は、全くの杞憂で、皆に可愛がられてる。
すでに、縁談や見合いの話が上がっている

まだまだ、早いと全て断っている。
キラには、好きな人と幸せになってもらいたい。

まぁ、俺と言うより、ノアが許さないと駄目だろうな。
キラは、多分アルファだろう。
頭はいいし、覇気を持っている。
6歳にして、女王のようだ。
だからといって、傲慢さや、我儘ではない
これからどうなるか分からないが、ノアやアキがいるから大丈夫だろう。
俺とハルは、暖かく見守るだけだ。

アキは、やはり次期皇帝のエヴァンの番だった。
レオが、喜び過ぎて大変だったが、今は落ち着いて、何かとアキに会いに来る。
エヴァンと、一緒に。
エヴァンも、少し遅れて10歳になり、ノアと一緒に剣術の腕も上がって来た。

アキは、やっぱりどこか、のんびりしている。
そこが、また可愛いのだが。
ハルと一緒にピアノを弾く時には、嬉しそうに楽しそうな顔になる。
それをハルが幸せそうな顔で見つめている姿が、たまらない。
俺は、なんて幸せなんだろうと、いつ見ても泣きそうになる。

そう、あれは、ハルとの結婚式。
ノアとアキがまだお腹にいる時に、ハルの体調の良い日に行われた。
その時の、ハルの幸せそうな顔を見て、俺は涙を堪えきれなかった。
こんなに愛しい存在が、俺の側にいる事が嬉しくて嬉しくて。
その時に、ハルが俺の薬指に嵌めてくれた指輪。
今も、肌身離さず着けている。
毎日何度も、口付ける。
ハルに出逢えた事に感謝しながら、幸せを噛み締める。

そして、俺達の宝物。
3人の子供達。
幸せになれ。
そう、思いながら日々過ごしている。



ハルが、俺達に与えてくれた物は、それだけではない。

まず、ハルが孤児院の為に作った、クッキー。
とにかく、凄い。の一言だ。
領地の孤児院は、有名になり、寄付金も大変な事になり、父上は忙しくて大変そうだった。
が、前皇帝陛下が手伝ってくれたようで、今は、落ち着いている。
領民には、税収を下げ、色々と還元してる
孤児院の皆は、勉強が出来るようになった事が嬉しいとかで、ハルに何度も手紙が送られてくる。
ハルは、良かった。と返事を書いては、色々と相談に乗ってる。
他の領地の孤児院にも、ハルが、寄付金を送り、それが適正に使われているか、きちんと確認したり、不十分な所には、何故そうなのか、とか、徹底して管理している。

とにかく、ハルは忙しい。
子供達の世話も、公爵家の事も、孤児院の事も、ピアノも。
ピアノのチャリティーも、ここ最近、再開した。
とにかく、チャリティーを開催してくれとあらゆる方面から、嘆願書が送られてくる

子育ても、そろそろ大丈夫だろうと、言う事で再開した訳だが。

俺としては、まだ子供が欲しい。
だが、ハルの負担になるなら、もう諦めた方がいいのかもしれない。
そんな思いでいたのだが、ハルが突然
「ねぇ?ジーク?僕ね。子供が欲しいんだけど、ジークは?」
「~っ俺も!俺も欲しい!だけど、ハルが大変じゃないか?」
「ううん、全然。大変なのは、ジークも一緒でしょ?キラが産まれてから、6年間ジーク子供が出来ないように薬飲んでくれてたでしょう?ありがとう。僕に負担かけないようにって。でもね。僕は、ジークとの子供は何人でも欲しい。僕がこの世界で幸せでいた事を残したいんだ。」
「ありがとう、ハル。俺もハルとの子供は何人でも欲しい。俺は、産む事だけは出来ないけど、ごめんな。2人で育てよう。」
「うん。ありがとうジーク。」

そうして、その翌年にハルは出産した。
今度は、男女の双子だった。
もう、子供達も、両親も、屋敷の皆も、歓喜歓喜で、大変だった。
俺?俺も、嬉し過ぎてずっと泣いてた。
本当に本当に、可愛すぎる!!!
ノアとアキのような、くっきり別れてなくて、全く同じなんだ。
しかも、ハルそっくりだ。
小さいハルが、2人いる。
本当にそっくりなんだ。
俺の容姿は、今の所全然ない。
でもいい。全然いい!
逆に、俺に似なくて、ハルそっくりなのが凄くいい!
ハルは、ビックリしてたけど、「可愛い」
と幸せそうな顔で喜んでいた。
子供達も、ハルの事が大好きなので、ハルそっくりの双子を見て、可愛い!可愛すぎる!と、側を離れようとしなくて、大変だった。

きっと、ハルのこの世界で幸せでいる事の気持ちが強く出たのだと、思うんだ。
ハルがこの世界に居て、幸せなんだ。
そんな思いが子供達に伝わったんだろう。

愛してるよ。ハル。
ずっとずっと幸せでいよう。ね。
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