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しおりを挟むハル
ヒートも終わり、通常の落ち着いた日々が戻って来たハルです。
まぁ、なんというか、、、大変ではあったと思うけど、幸せだなぁと。
世界がパァーッと明るくなった感じが、するんだよね。
気持ちの問題だと思うけどねっ!
それは、まぁ置いといて、、、
ジークは、一応毎日仕事に行ってます。
が、毎日、行きたくないと、駄々を捏ねております。
僕も、ジークに構ってあげたいけど、やる事が多くて、大変なんだよ。
まずは、屋敷に届けられた贈り物の件。
これはお母様に相談中。
次に、チャリティーの寄付金が多すぎて、新しい部署を作るらしい。その部署の長を僕にどうですか?との事。考え中。
次、アマリアさんの、恋の応援。
これは、ヴィーちゃんと相談。
とりあえずは、贈り物だよねぇ?
ジークは、ハルの好きなようにすれば良いって言うけど、、、凄い数なんだよ。
一応、仕分けて貰ってるけど、果物なんかは、日持ちしないから、早めに使ってもらったり、使用人の人達に、持って帰ってもらい、それでも余るらしく、乾燥や、ジャムにして貰ってる。
お母様は、ジャムを気に入ったみたいで、領地の特産品にするわ!と、張り切っている。
後の物は、これまた、宝石だの、服、靴、帽子、などなど店が開けそうなくらいの量がある。
お母様から聞いた話は、宝石や値が高い物は、礼状を出せば良い。花や果物なんて物は、ほおって置きなさい。だって。
だから、僕は、せっせと礼状を書いています。
なるべく、ジークが仕事でいない時に、その作業をするようにして、ジークが屋敷に戻って来たら、一緒に居るようにしてるんだよ。
ジークと離れてるのは、正直凄く寂しい。
寂しくて、知らない内に涙が溢れる。
慌てて、なんでもない風に装う。
数分後、ジークが慌てて屋敷に戻ってくる
「ハル!どうした?」
叫びながら、僕に抱きつく。
「えっ?どうもしてないけど?」
「嘘だ!ハル、泣いてただろう?」
「はっ?どうしてわかったの?」
「ここが、寂しくて、ハルが泣いてると」
ジークは、自分の胸に手を当てて、泣きそうに僕を見る。
「あ、そ、そう?なんだね。えっとね、ジークがいなくて、寂しくてね、ちょっとほんのちょっとだけ涙が出てたんだよ。でもね、もう大丈夫。だから、お仕事抜け出したら駄目だよ。ね?」
「分かった。仕事に戻るな。」
僕は、笑顔でジークを送り出す。
あ、本当だ。
ジークの去って行く姿を見てると、ジークの寂しいって感情が、伝わってくる。
ふふっ。凄いね。
本当に、2人で1つなんだね。
ジークに心配かけないように、楽しい気持ちで、過ごさなきゃね。
そうだ。ピアノ弾いてないな。
よし!ちょっとだけ、弾こうかな。
セシルに、その事を伝えると、
「あぁ、ハル様、こちらのサロンの方へ」
ん?何で?
いつもの場所に行こうとしていた僕をセシルが、呼び止める。
「ん?ピアノ移動したの?」
「いえ、とりあえずこちらに。」
と、いつものホールではなく、お父様、お母様やヴィーちゃんが来た時に使う部屋に案内された。
その部屋に入ると、部屋の中央にピアノが置いてある。
「えっ!このピアノは?いつものと違うよね?」
セシルに聞いたつもりが、振り返ると、ジークがいた!
「えぇぇっ!ジーク!仕事に行ったんじゃないの?さっき見送りしたよね?!」
「いや、えーっと、、、ハルに伝える事があったのを思い出して、、、帰って来た」
「伝える事?あ!これ?ピアノ!」
「あぁ、そう!今日届いたんだ。」
「なんで?」
「いや、俺がハルに送りたかったんだ。」
「えぇ、そんな、、どうしよう?僕、貰ってばかりで、、、」
「いいんだよ。俺の為に弾いて欲しい。」
「うん、ありがとうジーク。嬉しい。ジークの為に、毎日弾くね。本当にありがとうね!」
涙がポロリと流れる。
ありがとうジーク。
僕は、ジークに抱きつく。
ギュ~っと僕を抱きしめてくれる、ジークに何度も、ありがとうを伝える。
「はい。ハル、これはハルの物だよ。」
ジークが僕にピアノの鍵を渡してくれた。
僕は、大事に受け取る。
そして、新しいピアノに触れる。
ジークの手を取り、一緒に椅子に座って、顔を見合わせて、笑い合う。
そして、鍵を開ける。
鍵盤の上に指を置く。
ポーンと、音が響く。
「ハル、何か弾いて?」
「うん!」
ジークにありがとうの気持ちを込めて。
僕は弾き続ける。
全ての人に感謝を。。。
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