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     ジークバルト

 忙し過ぎる!! 
領地から帰って来てからの日々は、とにかく忙しい!
 ハルと、まともにゆっくり出来ないし、顔は、まぁ、寝てる顔を飽きるほど見てるが。
 ハルのピアノもまともに聴けないし、ハルも、チャリティーの件で忙しくしてるから、あまり構う事も出来ない。
 あぁーー!イライラする!!!
 ハルに一目会えれば、それだけで癒されてイライラなど、何処かに行ってしまうのにっ!
 ハルがいない、この執務室には、きっと寒いくらいの冷気が吹いているだろう。
 侍従や文官共が、青白い顔で去っていくがら、きっとそうなのだろう。
 あ''ぁぁぁーくそッ!!
どいつもこいつも、これくらいの案件、ここまで上がってくるもんじゃないだろ!
 団長どもは、何してやがる!!

「おい!ジーク!!圧を放つな!」
 宰相、、、うるさい。
「は?出してないし。」
「お・ま・え・は!!あーもー!いい加減にしろ!」
「そうですか。では、帰ります。」

 俺は、さっさと席を立つ。

「待て、待て待て、帰るな!わかった、わかったから、帰るな!」
「いえ、帰ります。」
「ジーク!休みをやるから、ちょっと待てって!」
「休み?いつ?どれくらい?」
「あ、あぁ、えぇっと、あ!そ、そうだ休みな、ハル殿のチャリティーの会が終われば、ちゃんと休みを、、そうだな、10日やる!だから、それまで仕事しろ!」
「ふん、わかった。約束守れよ!」
「わ、わかったよ。ちゃんと守る。」

 そうして、俺は休みをもぎ取ったのである。
 が、ハルのチャリティーの会は、かなり大規模になりそうだ。
 出席したい貴族が、思った以上に多い。
 まぁ、あの場にいた者はほとんど出席だが、あの場に来れなかった連中も、噂を聞いたみたいだな。
 俺の番ではなく、ピアノの方が皆の興味を引いたそうだ。
 容姿もかなり話題になってるらしい。
 カイン情報だと、そうらしい。
 そう聞かせられれば、警備を強化するしかない。
 まぁ、俺に楯突こうなら、容赦はしないし、跡形もないくらいに消してやる。

 早く、ハルに休みが貰える事になった話をしたくて、急いで屋敷に戻る。

「ジーク。お疲れ様。今日もご苦労様でした。」
「ただいま。ハル。」
 はぁぁぁ、これだけで疲れが吹っ飛ぶ癒される。。。
 ハル、、、可愛い。この笑顔を守りたいんだ。ハルの笑顔が曇る事なく。

「ハル、忙しくて、ゆっくり出来なくてごめんな。」
「ううん、忙しいのは、多分僕のせい、だよね?だから、謝らないで。」
「ハルのせいではないよ。ふっ、優しいなハルは。でな?ハルのチャリティーの会が終われば、宰相が休みをくれたんだ。ハルは何かしたい事ある?」
「そうなの?良かったね。ジークここの所忙しくて、少しイライラしてたでしょ?だからね?お休みの日には、2人っきりでゆっくりしようよ。僕も、ジークと一緒で忙しくて、ゆっくり話も出来なかったし、ジークを独り占めさせて欲しいな。」

 なんて、なんて、可愛い事を言うんだ、ハルは!!!
俺だって、ハルを独り占めしたくて、たまらないのに!!
俺の番が可愛すぎる!
 俺のハル!
 はぁぁもう可愛いが過ぎるぞ!
俺は、嬉しくてハルを、ぎゅーぎゅー抱きしめる。

もう、我慢なんてしない!
休みの日に、絶対絶対ハルを抱く!!
我慢の限界なんだ。
今、この場で押し倒したいくらいなんだ!
そう、ハルだって同じ気持ちなんだ。
だから、ハル?
覚悟してね。


その日から俺は、機嫌が良くなり仕事も順調に進める事が出来ている。
ハルのチャリティーの会も、明日と迫り、警備の方も万全の体制が出来ている。
今日は、明日のチャリティーの会の為にハルは会場で、最終の打ち合わせ来ていて同じ城内にいる事だけでも、気持ちが落ち着く。
確認に、ハルの所に行く。
会場からハルのピアノが聞こえる。
あぁ、ハルの音だ。
周りで仕事をしている、文官や団員、侍従などが、立ち止まってハルのピアノを聞いている。
まぁ、分からんでもない。
が、仕事しろ!と俺が軽く圧をかけると、そそくさと、動き出す。
はぁ、明日はどうなる事か。

扉の隙間からハルを見ていたが、スッと人が横切る。
なんだ?誰だ?
その人物は、ピアノを弾いているハルに向かって行く。
思わず出て行こうとすると、ヴィーがその人物に気付いた。
その人物越しに、ヴィーと目が合う。
ヴィーは、大丈夫だからと、俺にそこにいるように、と、軽く手を上げ手の平をこちらに向けた。
直ぐそこに行きたい気持ちをグッと我慢して留まる。

その人物は、ハルの演奏が終わるまで、じっと待っていた。

ハルがピアノを弾き終わると、その人物が口を開く。

「あなたが、サーヴァント公爵閣下の婚約者?」
「えっ?」
「だから!あなたが閣下の婚約者なのか、聞いてるの!」
「え。えぇ。婚約者?あっ!そうか、そうです!婚約者のハルです!」
「そう。」
「えっと、それがなにか?」
「あ、申し遅れました。私は、アマリア・リーシャスと申します。以後お見知り置きを。」
「はぁ、こちらこそ。で、僕に何か用ですか?」
「えぇ、少し聞きたい事がありまして、お邪魔させて頂いたの。」
「聞きたい事?なんでしょう?」
「あの!閣下とハル様は、、、第二夫人など希望されておられるのでしょうか?」
「はっ?ヴィーちゃん、第二婦人って何?僕聞いてないけど?」
「あーハルちゃん、、、」

ヴィーが何かを言いかけると、その令嬢が
「希望されてないですよね?ね?」
「う、うん僕はね。」

 ハルーーーっ!俺もだ!俺もそんな事思ってもない!!
あんのっっ!狸親父がっっ!
もう!許さん!
その場から、ハルの所に行こうとすると、

「やっぱり!!良かった!ごめんなさいね急に押し掛けて来てしまって。」
「いえいえ、大丈夫ですよ。」
「~っ、可愛い、、、あ、あの、話をすれば長くなるので、、、えっと、とりあえず明日、楽しみにしておりますわ。それではご機嫌よう。」

 その令嬢は、その場を去っていく。
すぐにハルの所まで行き、ハルを抱きしめる。

「兄様、、、ちゃんと断らなかったの?」
「断ったさ!ハル1人だけだと!」
「そう、ならいいけど、、、」
 ハルは、きょとんとした顔をしていて、「どうしたの?」
「ハルは、何も気にする事ないからな。」
「うん。」
俺の胸の所に、ハルがグリグリと頭を押し込む。
なんだこれ、可愛すぎる!
可愛い!可愛い!

 俺がデレデレしているのに、ヴィーは呆れるように、
「詳しくは兄様から、聞いてね。」

 俺は、ハルを抱っこしたまま、屋敷に帰ったのだ。
 詳しい話をする為に。
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