62 / 85
62
しおりを挟むハル
孤児院の事も、お菓子の事も、うまくいって良かった。
明日には、王都の屋敷に帰るよ。
ここから離れるのは、正直寂しい。
でも、ジークの仕事もあるし、僕のチャリティーの件もあるから、帰らなきゃね!
孤児院の子供達には、また遊びに来るからそれまで、僕の事忘れないでね?
そう言うと、忘れるわけない!ハルちゃんの事、絶対忘れない。
涙流しながら、言ってくれたんだ。
僕より、ずっと小さな子達が生きる希望を少しでも与えたかった。
僕が、生きる希望を見つけたように。
帰る前の夜には、寂しくてジークの腕の中で泣いちゃった。
ジークは、そんな僕をただ優しく抱きしめてくれた。
それが、どんなに嬉しかったか。
大好きだよ。ジーク。
これからもずっと一緒にいてね。
帰る日には、涙を見せないように、頑張ったんだけど、お母様に抱きしめられたらもう、ダメだった。
すぐに会えるからね。
お父様お母様屋敷の皆、笑顔で見送ってくれて、僕も笑顔でまたね!
馬車の中から皆が見えなくなるまで、手を振っていた。
そろそろ屋敷が見えて来たな。
と、思ったら、ヴォルフが馬車の所まで走って来た。
僕は嬉しくて、馬車を止めてもらい、ヴォルフを馬車の中に迎え入れた。
嬉しくて、ヴォルフを撫で回す。
尻尾が高速でフリフリしてる。
ヴォルフも嬉しいんだね、ありがと、待っててくれて。
屋敷に戻ったら沢山遊ぼうね!
ジークは、苦笑しながら、
「ハル、俺は明日から、仕事に行かないといけないけど、ハルはゆっくり身体を休めてね。ヴォルフとは、庭を散歩するくらいにしてね。また、体調崩すといけないから。ね。」
「うん、分かった。」
ジークは相変わらず心配性だね。
もう、大分暑さも柔らかく感じるから、大丈夫かなと思うけど、心配かけたくないから、大人しくしていよう。
それからの日々は、ゆっくりとした・・
日々には、ならなかった。
朝からヴィーちゃんの、突然訪問から始まり、チャリティーの打ち合わせ、お忍びの陛下の訪問。
とにかく、まぁ、ジークとゆっくりする暇がないから、ジークのストレスが溜まる溜まる。
どうしたもんかと、チャリティーが終われば、ジークに休みをあげると、宰相さんが言ってくれたので、ジークにお休みの時には、2人きりで過ごそう、と提案した。
すると、まぁ、コロリと機嫌が良くなりましたとさ。
ジーク・・・そんなに、2人きりになりたかったんだね。。。
2人きりで何をしようとしているのですか?君は・・・
なんて、僕もジークと2人きりで、おもいっきりイチャイチャしたいよぉぉ!
だってだって、大好きなんだもん。
最近は、ちょっとだけ進んだんだ。
ほんの、ちょっとだけだけど。。。
ジークが僕のうなじをハムハムと、甘噛みするんだけど、それがぞわぞわするけど気持ち良くて、、、
本当に噛まれたら、どうなっちゃうんだろう?
この前、ヴィーちゃんに、こっそり聞いてみたんだ。
そしたら、ヴィーちゃんも、まだみたいで、結婚式の日の初夜に噛まれるんだって
言ってた。
ヴィーちゃんは、産まれた時陛下の番だってわかったから、陛下は16年待ったんだって。陛下って凄いよね。
それだけヴィーちゃんが大切で大事な存在なんだね。だから、ヴィーちゃんは物心つく頃には、結婚したその日に番うからと言われてたみたい。
だから、僕より先に、噛まれるヴィーちゃんが、どんな感じなのか、教えるわって言ったんだけど、ヴィーちゃんは、私より先にハルちゃんが噛まれると思うわ。て
ええぇぇぇ!そ、そうなのかな?
「だってハルちゃん、今度の兄様の休みの日には、多分、兄様我慢しないと思う。」
なんて、言われた。
まぁ、ね。そうかもね。
僕だって、ジークとそうなりたいし。
早く繋がりたいと思うもん。
匂いも少しずつだけど、強くなってるみたいだしね。
この前、セシルが友達のオメガの子に聞いてくれたんだけど、ヒート中は、何が何だかわからなくなって、相手が誰か分からないくらい、おかしくなる。らしい。
それって嫌じゃない?
ちゃんと、相手はジークだって認識出来ないなんて。
だったら、その前にジークとそうなっていれば、わかるんじゃないんだろうか?
そう思うんだけどな。
しかも!!ヒートなんてもんは、一週間も続くんだよ?
一週間!!やりっぱなしなの?
僕、体力持つのかな?ジークは、まぁ、大丈夫そうだけど・・・・ふぅ。
まぁ、なんだかんだ考えたって、なるようにしか、ならないんだから、ドンと構えていよう。
とりあえず、チャリティーの事、頑張りますか。
無事終える事が、出来ますように。
104
お気に入りに追加
3,372
あなたにおすすめの小説

【完結】兄の事を皆が期待していたので僕は離れます
まりぃべる
ファンタジー
一つ年上の兄は、国の為にと言われて意気揚々と村を離れた。お伽話にある、奇跡の聖人だと幼き頃より誰からも言われていた為、それは必然だと。
貧しい村で育った弟は、小さな頃より家の事を兄の分までせねばならず、兄は素晴らしい人物で対して自分は凡人であると思い込まされ、自分は必要ないのだからと弟は村を離れる事にした。
そんな弟が、自分を必要としてくれる人に会い、幸せを掴むお話。
☆まりぃべるの世界観です。緩い設定で、現実世界とは違う部分も多々ありますがそこをあえて楽しんでいただけると幸いです。
☆現実世界にも同じような名前、地名、言葉などがありますが、関係ありません。

田舎育ちの天然令息、姉様の嫌がった婚約を押し付けられるも同性との婚約に困惑。その上性別は絶対バレちゃいけないのに、即行でバレた!?
下菊みこと
BL
髪色が呪われた黒であったことから両親から疎まれ、隠居した父方の祖父母のいる田舎で育ったアリスティア・ベレニス・カサンドル。カサンドル侯爵家のご令息として恥ずかしくない教養を祖父母の教えの元身につけた…のだが、農作業の手伝いの方が貴族として過ごすより好き。
そんなアリスティア十八歳に急な婚約が持ち上がった。アリスティアの双子の姉、アナイス・セレスト・カサンドル。アリスティアとは違い金の御髪の彼女は侯爵家で大変かわいがられていた。そんなアナイスに、とある同盟国の公爵家の当主との婚約が持ちかけられたのだが、アナイスは婿を取ってカサンドル家を継ぎたいからと男であるアリスティアに婚約を押し付けてしまう。アリスティアとアナイスは髪色以外は見た目がそっくりで、アリスティアは田舎に引っ込んでいたためいけてしまった。
アリスは自分の性別がバレたらどうなるか、また自分の呪われた黒を見て相手はどう思うかと心配になった。そして顔合わせすることになったが、なんと公爵家の執事長に性別が即行でバレた。
公爵家には公爵と歳の離れた腹違いの弟がいる。前公爵の正妻との唯一の子である。公爵は、正当な継承権を持つ正妻の息子があまりにも幼く家を継げないため、妾腹でありながら爵位を継承したのだ。なので公爵の後を継ぐのはこの弟と決まっている。そのため公爵に必要なのは同盟国の有力貴族との縁のみ。嫁が子供を産む必要はない。
アリスティアが男であることがバレたら捨てられると思いきや、公爵の弟に懐かれたアリスティアは公爵に「家同士の婚姻という事実だけがあれば良い」と言われてそのまま公爵家で暮らすことになる。
一方婚約者、二十五歳のクロヴィス・シリル・ドナシアンは嫁に来たのが男で困惑。しかし可愛い弟と仲良くなるのが早かったのと弟について黙って結婚しようとしていた負い目でアリスティアを追い出す気になれず婚約を結ぶことに。
これはそんなクロヴィスとアリスティアが少しずつ近づいていき、本物の夫婦になるまでの記録である。
小説家になろう様でも2023年 03月07日 15時11分から投稿しています。
ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?
音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。
役に立たないから出ていけ?
わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます!
さようなら!
5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!

転生したら魔王の息子だった。しかも出来損ないの方の…
月乃
BL
あぁ、やっとあの地獄から抜け出せた…
転生したと気づいてそう思った。
今世は周りの人も優しく友達もできた。
それもこれも弟があの日動いてくれたからだ。
前世と違ってとても優しく、俺のことを大切にしてくれる弟。
前世と違って…?いいや、前世はひとりぼっちだった。仲良くなれたと思ったらいつの間にかいなくなってしまった。俺に近づいたら消える、そんな噂がたって近づいてくる人は誰もいなかった。
しかも、両親は高校生の頃に亡くなっていた。
俺はこの幸せをなくならせたくない。
そう思っていた…

BLゲームのモブに転生したので壁になろうと思います
雪
BL
前世の記憶を持ったまま異世界に転生!
しかも転生先が前世で死ぬ直前に買ったBLゲームの世界で....!?
モブだったので安心して壁になろうとしたのだが....?
ゆっくり更新です。
勇者召喚に巻き込まれて追放されたのに、どうして王子のお前がついてくる。
イコ
BL
魔族と戦争を繰り広げている王国は、人材不足のために勇者召喚を行なった。
力ある勇者たちは優遇され、巻き込まれた主人公は追放される。
だが、そんな主人公に優しく声をかけてくれたのは、召喚した側の第五王子様だった。
イケメンの王子様の領地で一緒に領地経営? えっ、男女どっちでも結婚ができる?
頼りになる俺を手放したくないから結婚してほしい?
俺、男と結婚するのか?

国を救った英雄と一つ屋根の下とか聞いてない!
古森きり
BL
第8回BL小説大賞、奨励賞ありがとうございます!
7/15よりレンタル切り替えとなります。
紙書籍版もよろしくお願いします!
妾の子であり、『Ω型』として生まれてきて風当たりが強く、居心地の悪い思いをして生きてきた第五王子のシオン。
成人年齢である十八歳の誕生日に王位継承権を破棄して、王都で念願の冒険者酒場宿を開店させた!
これからはお城に呼び出されていびられる事もない、幸せな生活が待っている……はずだった。
「なんで国の英雄と一緒に酒場宿をやらなきゃいけないの!」
「それはもちろん『Ω型』のシオン様お一人で生活出来るはずもない、と国王陛下よりお世話を仰せつかったからです」
「んもおおおっ!」
どうなる、俺の一人暮らし!
いや、従業員もいるから元々一人暮らしじゃないけど!
※読み直しナッシング書き溜め。
※飛び飛びで書いてるから矛盾点とか出ても見逃して欲しい。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる