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      ジークバルト

 やっぱりハルは、熱が出た。
 朝、抱きしめて寝ていた、ハルの身体が熱い。
 おでこにおでこを当てると、熱い。
 急いで、セシルを呼び、冷たい水とタオルを持ってこさせる。

 「ハル、お水飲もうか?」
 小さな声で、ハルを起こす。
 ハルは、ゆっくりと目を開け
 「ん、おはようジーク、ん、あれ、僕、また熱出た?」
 「おはようハル。ん、少しな。ほら、お水飲もう。」
 「ありがとう、ちょっとだけ、だるい」
 身体を起こし、水を飲ませる。
 
 ここのところ調子が良かったから、油断した。
 昨日、あれだけはしゃいでいたんだ、疲れない訳がない。
 あぁ、ハル、辛いな。
 可哀想に、、、
 ハルの頬を撫でる。
 額に冷たいタオルを乗せる。
 「ジーク、ありがとう。ごめんね。昨日はしゃぎ過ぎたんだね。弱くてごめんね」
 「ハル、謝らないで。楽しかったんだろう?俺も楽しかったよ。だから、今日は、2人でゆっくりしよう?ね?」
 ハルは、コクリと頷く。

 セシルが、食事を持って来たので、ハルに食べさせる。
 「ハル、もう少し寝るか?」
 「うん。ジークは?」
 「ここにいる。ハルの側にいるから、ゆっくりおやすみ。」
 安心した顔で、ゆっくり目を閉じた。
 俺は、ハルにキスして抱きしめる。

 ハルが心配ではあるが、ずっと顔を見ていられる、この微睡んだ時間が幸せで。
 そっとハルの手を取り、指を絡めたり、ハルの手をじっと見つめる。 
 こんな小さな手で、あんな素敵なピアノを弾いてるなんてな。
 手は小さいが指は長い、綺麗な指だ。
 が、細い。俺の指の半分くらいしかないのに、あんな力強い音も出せるんだよなぁ
凄いよな。
 そんな事をつらつら考えてたら、俺も眠ってしまったようだ。
 ふっと、目が覚めハルを見る。
 すやすや寝てるハルの頬を撫でると、熱は下がったようで、ホッとする。
 部屋の扉から小さなノックの音が聞こえる。
 俺は、ハルを起こさないように、そっと離れ扉に向かう。
 そこに居たのは、母上だった。
 「ハルちゃんは大丈夫?」
 「あぁ、今熱も下がってる。」
 「そう、良かった。」
 安堵したようで、ゆっくり休ませてあげてね。
 と、また、明日お話ししましょう。
 ハルちゃんに伝えてね。
 あぁ、伝えておくよ。
 そう言って、俺はハルの元に戻る。

 「今のお母様?」
 と、ハルが目を覚ましていた。
 「ん、ハルが心配で見に来た。ゆっくり休んでくれって。」
 「うん、今日は、お母様にお話ししようと思ってたんだ。」
 「あぁ、明日でいいらしいよ。」
 「そっか、昨日の事、沢山お話したかったんだ。」
 「今日は、俺と話そう?」
 「うん!ジークに聞きたい事もあったんだ。」
 「ん?俺に?」
 「そう、ジークに。あのね、僕って、匂うかな?」
 「えっ?は?匂う?」
 「えっと、そう!ジークがね、よく僕の首の所匂ってるでしょ?」
 「~っ気付いてたのか?」
 「うん。」
 「そうか、、、ハル、少しだけど、匂いがする。」
 「それって、、、臭い?」
 ハルが泣きそうな顔してるから、俺は慌てて、首を横にふる。
 「違う!違う!凄くいい匂いだよ!」
 「本当?に?」
 「本当に、ハル俺達は運命の番だよ。ハルの匂いは、たまらなくいい匂いだよ。」
 「僕もね、ジークの匂い大好き。あ、あのね、ヒートがもうすぐ来るんだと、思うんだけど、ね、えっとぉ、ヒートじゃなくても、その、あの、、、出来るんだよねぇあれ、、、」
 「~~~っぐはっっ!ゴホッゴホッ!」
 「大丈夫?ジーク?」
 「~っ、だ、大丈夫。え、えーと、ハルは何を言ってる?」
 「ん、だから、ジークは、僕としたくないのかな?と、」
 俺は、ハルに抱きつく。
 「そんな事、あるはずがない!したくないなんて!俺が、俺がどれだけ耐えていると・・・あっ!ハ、ハル?」
 ハルは、目を見開き俺をみてる。
 「い、いや、ハル?俺は、今すぐでも抱きたいと思ってる。でもな、その、ハルはまだ、こちらに来て日も浅いだろう?こちらの生活に慣れてからでもいいかな?と、でも、アルファの本能としては、出逢えた時に、すぐさま抱きたくてしょうがなかったよ。だけど、こんなに可愛くて、こちらの世界で頑張ってるハルを見たら、焦らなくても、いいかなと、」
 「ジーク、ありがと。嬉しい。僕もジークに抱かれたいと、思ってるよ。それでここ、噛んでもらいたい。」
 ハルは、自分のうなじを指差してる。
 俺は、ゴクリと喉を鳴らす。
 「ハル、、あぁぁ!ダメだ!」
 「えっ!ジークどうしたの?」
 無自覚に煽るハル。
 耐えろ!俺!
 「いや!ハル、今さっきまで熱があったんだ。今日は、ゆっくり休んで、お願い」
 「う、うんわかった。ジーク、ありがと、キスして?」
 ~~っく、なんて可愛いんだ!
 あぁぁぁぁ今すぐ押し倒して可愛がりたいぃぃ!!
 そんな事を思ってるなんて、微塵も見せずに、ハルの柔らかな唇にキスをする。
 ハルの体調が戻ったら、少しはいいかなぁと、思う俺だった。
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