上 下
53 / 85

53

しおりを挟む

        ハル

 
 領地に来てからの僕は、すこぶる体調がいい!
 暑さも丁度いい。
 朝晩は少し寒いくらいだ。
 
 そして、ここでも、皆とても良くしてくれる。
 でね、すっごくビックリした事があったんだ。
 皆んなで部屋でゆっくりしてた時に、セバスさんが来たの。
 で、僕がビックリして
 「セバスさん!お留守番じゃなかったのぉぉ?」
 て、言ったら、なんと、なんと!
 セバスさん、双子だったんだよ!
 ビックリだよね!
 名前は、バレリさん。
 本当に、同じ顔なんだよ?
 どこで見分けるんですかってきいたら、額の所、眉毛の上のところに黒子があるんですよ。って教えてくれた。
 良く見ると、本当にあった!
 やっぱりバレリさんもセバスさんと同じく有能な人だった。

 
 ここには、10日ぐらいしか滞在出来ないみたい。
 ジークのお仕事もあるし、僕のチャリティーの準備もあるからね。
 だから、思いっきり遊ぶの!!
 あんまり、はしゃいで皆に迷惑かけないようにしなくちゃ!
 ジークに、屋敷内を案内して貰ったり、
近くに湖があるって聞いて、見に行ったんだけど、もう凄く綺麗。
 湖がね、凄く透き通ってて、鏡みたいに空とか、木、山が映ってて、あまりの感動にその場から動けなかった。
 ジークは、黙って僕を抱きしめ、一緒にその光景を目に焼け付けた。

 今度は、領内で1番の街に連れて行ってくれるって!
 もうもう楽しみでしょうがない。
 みんなに、お土産買わなくちゃ!
 ジークの腕の中で、お土産何がいいかなぁとか、どんな物があるの?とか、はしゃいでたら、早く寝ないと、明日連れて行けないぞ。って言われても、楽しみなんだもん!
 そしたら、ジークにキスされた。
 しかも、深いの!!
 もう、これされると、何も考えられないクラクラして、凄く気持ちがいい。
 お腹の奥が、キュンとなって、ふわふわして、ジークの匂いに包まれて、そのまま寝てしまう。
 ジーク、、、何回か、これで寝させるよね。
 うぅぅ~ん、いいのか、悪いのか。。。
 僕からも匂いがしてるのかな?
 自分では、わからないけど、ジークの匂いは凄く好きないい匂い。
 ジークがよく、僕の首元の匂いを嗅いでるけど、匂うのかな?
 ヒートになれば匂いも濃くなるって言ってたから、そろそろなのかな?
 不安だけど、ジークがいれば大丈夫。
 だよね?
 でもね、ジークって、凄く大きいじゃない?身長も体格も。
 そうなると、ねぇ、、、?
 僕、ちゃんと出来るのかな?
 学校で教えてもらったけど、
 [性交中に、オメガのうなじに、アルファが噛み付く事で、番が成立する。オメガは、番以外を受け付けない体質になる。]
 だったよね?
 ジークと、そうなる事は嬉しいし、待ち遠しく思う。
 ただ、別にヒートじゃなくても、あれは出来るんだけど、ジークはしたくないのかな?
 僕が小さいから、出来ないって思ってるのかな?
 それとも、我慢してる?
 うーん、まぁ、僕一人で考えたって、しょうがないよね。
 よし!ジークに聞いてみよう!
  まずは、明日を楽しもう!


 朝、起きたらジークは、真っ先に僕の体調を心配する。
 大丈夫だよ。と笑顔で答えると、笑顔でキスして、抱きしめてくれる。
 良かった。の言葉と、共に。

 セシルに着替えさせて貰って、髪型も整えてもらう。
 さぁ!出発だ!
 もう、ウキウキで、お父様お母様に抱きしめて貰って、気をつけて行っておいで。
と、ジークと馬車に乗る。
 この前、通った時には、もう夕方で街並みが、良く見えなかったけど、今日は、いいお天気だから、街並みが良く見える。
 凄く可愛い。色とりどりの家が並んでてお店も可愛い。
 バルみたい。小さいお店がズラーと並んでる。
 中央には、噴水があって子供達が遊んでるのが、見える。
 馬車を預かる所に着いたので、ジークに抱えられて降りる。
 すぐに下ろしてもらう。

 うわーうわー!!!
 もう、興奮する!
 思わずぴょんぴょん跳ねる。
 ジークに、落ち着いて。と言われて、ジークに手を繋がれる。
 「ハル、ゆっくり見よう。」
 「うん!ゆっくりね。」
 と、はしゃいでた事に少し反省。

 それから、お店を見て回ったよ。
 野菜、肉、果物、その他色々あって、見てるだけで楽しい!
 お店の人も、笑顔で色々と教えてくれる
 なんで皆さん優しいんだろう。
 僕は、きっと目立つと思うんだけど、お店の人も、通りすがりの人も、笑顔で挨拶してくれる。
 ジークと一緒だからかな?
 ジークに、どうして皆さん優しいの?
 て、聞いたら
 「ん?俺に番が見つかった事が嬉しいんだ。両親が、街の人達に言って回ったみたいだ。だから、皆、ハルを歓迎してるんだろう。」
 そうなんだ。
 嬉しいなっ。
 僕をジークの番だって認めてくれてるって事だよね。
 僕も、この領内で何か出来る事があればいいな。

 それから、街並みを堪能して、あっ!皆へのお土産はちゃんと買ったよ!
 次に、ジークが連れて行ってくれた所は
教会だった。
 この世界にも、ステンドグラスってあるんだなぁーって。
 綺麗な教会だ。
 中に入ると、そこには、笑顔の神父さんがいた。
 とても優しそうなお爺さんだ。

 「ジークバルト様、ようこそおいでくださいました。」
 「あぁ、久しいな。息災だったか?」
 「はい。おかげさまで、ピンピンしております。」
 「そうか、今日は、私の番のハルを連れて来た。これからよろしく頼む。」
 「ほほほ、よろしゅう御座いましたなハル様、初めまして、ここの教会の神父をしております。よろしくお願いします。」
 と、手を出して来たので、僕も、両手で
その手を取り、
「初めまして、ハルと申します。こちらこそよろしくお願いします。」
 笑顔で答える。
 「なんと、まぁ可愛らしい。ジークバルト様、良い方と、巡り逢われましたな。」
 「えぇ、神に感謝致します。」
 「あの、神父様、お祈りさせてもらってもいいですか?」
 「えぇえぇ、是非」
 「ありがとうございます。」

 僕は、ジークの手を引いて、祭壇の前に立つ。
 「ジーク、僕達が出逢えた事に、神様とね、僕の両親にお礼を言おう。」
 「そうだな。ハルに出逢えた事に」
 2人で、膝をつき、両手を合わせて祈る
 
  ありがとう。幸せになります。
     お父さんお母さん。
しおりを挟む
感想 9

あなたにおすすめの小説

どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします

文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。 夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。 エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。 「ゲルハルトさま、愛しています」 ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。 「エレーヌ、俺はあなたが憎い」 エレーヌは凍り付いた。

すべてはあなたを守るため

高菜あやめ
BL
【天然超絶美形な王太子×妾のフリした護衛】 Y国の次期国王セレスタン王太子殿下の妾になるため、はるばるX国からやってきたロキ。だが妾とは表向きの姿で、その正体はY国政府の依頼で派遣された『雇われ』護衛だ。戴冠式を一か月後に控え、殿下をあらゆる刺客から守りぬかなくてはならない。しかしこの任務、殿下に素性を知られないことが条件で、そのため武器も取り上げられ、丸腰で護衛をするとか無茶な注文をされる。ロキははたして殿下を守りぬけるのか……愛情深い王太子殿下とポンコツ護衛のほのぼの切ないラブコメディです

十七歳の心模様

須藤慎弥
BL
好きだからこそ、恋人の邪魔はしたくない… ほんわか読者モデル×影の薄い平凡くん 柊一とは不釣り合いだと自覚しながらも、 葵は初めての恋に溺れていた。 付き合って一年が経ったある日、柊一が告白されている現場を目撃してしまう。 告白を断られてしまった女の子は泣き崩れ、 その瞬間…葵の胸に卑屈な思いが広がった。 ※fujossy様にて行われた「梅雨のBLコンテスト」出品作です。

普段「はい」しか言わない僕は、そばに人がいると怖いのに、元マスターが迫ってきて弄ばれている

迷路を跳ぶ狐
BL
全105話*六月十一日に完結する予定です。 読んでいただき、エールやお気に入り、しおりなど、ありがとうございました(*≧∀≦*)  魔法の名手が生み出した失敗作と言われていた僕の処分は、ある日突然決まった。これから捨てられる城に置き去りにされるらしい。  ずっと前から廃棄処分は決まっていたし、殺されるかと思っていたのに、そうならなかったのはよかったんだけど、なぜか僕を嫌っていたはずのマスターまでその城に残っている。  それだけならよかったんだけど、ずっとついてくる。たまにちょっと怖い。  それだけならよかったんだけど、なんだか距離が近い気がする。  勘弁してほしい。  僕は、この人と話すのが、ものすごく怖いんだ。

俺の体に無数の噛み跡。何度も言うが俺はαだからな?!いくら噛んでも、番にはなれないんだぜ?!

BL
背も小さくて、オメガのようにフェロモンを振りまいてしまうアルファの睟。そんな特異体質のせいで、馬鹿なアルファに体を噛まれまくるある日、クラス委員の落合が………!!

氷の華を溶かしたら

こむぎダック
BL
ラリス王国。 男女問わず、子供を産む事ができる世界。 前世の記憶を残したまま、転生を繰り返して来たキャニス。何度生まれ変わっても、誰からも愛されず、裏切られることに疲れ切ってしまったキャニスは、今世では、誰も愛さず何も期待しないと心に決め、笑わない氷華の貴公子と言われる様になった。 ラリス王国の第一王子ナリウスの婚約者として、王子妃教育を受けて居たが、手癖の悪い第一王子から、冷たい態度を取られ続け、とうとう婚約破棄に。 そして、密かにキャニスに、想いを寄せて居た第二王子カリストが、キャニスへの贖罪と初恋を実らせる為に奔走し始める。 その頃、母国の騒ぎから逃れ、隣国に滞在していたキャニスは、隣国の王子シェルビーからの熱烈な求愛を受けることに。 初恋を拗らせたカリストとシェルビー。 キャニスの氷った心を溶かす事ができるのは、どちらか?

秘花~王太子の秘密と宿命の皇女~

めぐみ
BL
☆俺はお前を何度も抱き、俺なしではいられぬ淫らな身体にする。宿命という名の数奇な運命に翻弄される王子達☆ ―俺はそなたを玩具だと思ったことはなかった。ただ、そなたの身体は俺のものだ。俺はそなたを何度でも抱き、俺なしではいられないような淫らな身体にする。抱き潰すくらいに抱けば、そなたもあの宦官のことなど思い出しもしなくなる。― モンゴル大帝国の皇帝を祖父に持ちモンゴル帝国直系の皇女を生母として生まれた彼は、生まれながらの高麗の王太子だった。 だが、そんな王太子の運命を激変させる出来事が起こった。 そう、あの「秘密」が表に出るまでは。

オッサン、エルフの森の歌姫【ディーバ】になる

クロタ
BL
召喚儀式の失敗で、現代日本から異世界に飛ばされて捨てられたオッサン(39歳)と、彼を拾って過保護に庇護するエルフ(300歳、外見年齢20代)のお話です。

処理中です...