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しおりを挟むジークバルト
ハルが、赤と白の季節に体調が悪くなると聞き、心配でたまらない。
ハルは、もう体質だから、しょうがないんだよね。
そんな事を言う。
今の時期は、どうしたって暑い。
ハルには、負担がかかるのだろう。
横になってる事が多い。
栄養のある物を食べさせたり、涼しく過ごせるように、したのだが、、、
元々小さな身体なのに、痩せて、更に小さくなっていく。
もう、心配で心配で、、、
気分転換に、厩舎に連れて行き楽しそうに、馬に乗ったり、ブラッシングしたりと楽しく過ごせたようだ。
その日は、珍しく沢山食事をしてたな。
だから、セバスと相談して、ハルを領地に連れて行く事にした。
あそこは、ここよりも涼しいからな。
そして、領地では、両親が俺の番が見つかったと、報告したと聞いたから、大丈夫だろう。
領地に行く。
と、聞いたハルは、とても喜んで、いつ行くの?と、目をキラキラさせる。
本当に可愛い。
それから、しっかり食べないと行けないぞ!そう言えば頑張って食べてたな。
領地に行くのに、俺と屋敷の者で充分だと、思っていたが、レオに護衛を付けろ!
と言われて、仕方なく騎士団の奴を2人程連れて行く事にした。
カインに、話をしたら希望者が殺到したらしい。
だからカインに、妻子持ち限定にして貰った。
カイン曰く、ハルはもの凄く人気らしい。当たり前だ!あんな可愛い子。他にはいない。
だから、嫌だったんだ!が、しょうがない。もう、諦めた。
俺が守れば問題ない。
その為に強くなったんだ。
ハルは、自由に楽しく、笑っていて欲しいから。
領地に向かう馬車の中では、2人きりでハルとの時間を堪能した。
向こうに着いたら、きっと両親が構い倒すだろうからな。
が、痩せてしまったハルを見て、俺は責められるだろう。
それは、甘んじてお叱りを受けよう。
領地に着き、領内での街を通る時には、馬車の窓を開けて、領民に手を振って楽しそうだ。
領民も、俺の番だと分かったのだろう、ビックリした顔をしたが、すぐに笑顔で手を振っていた。
黒髪黒目は目を引いただろう。
だが、忌避する事なく受け入れてくれる事に感謝する。
ハルを悲しませたくはないから。
屋敷に着き、ハルを馬車から下ろすと、一目散に両親の元に走って行って抱きつく
嬉しそうに、涙を潤ませながら。
あぁぁ、母上の視線が痛い。。。
分かってる。分かっていますから!
そんなに、睨まないで!!
ま、まぁ、とりあえず中に入りましょう
すると、ハルがくるりと使用人の方を向き、
「ハルです。お世話になります。」
と、頭を下げて挨拶する。
使用人達は、そんな事をされるなんて、思わなかったのだろう、皆、目を丸くして驚いている。
慌てて、一斉に頭を下げる。
俺も、苦笑しながら、
「俺のハルだ。頼むな。」
そう言って、ハルと、手を繋ぎ屋敷の中に入る。
まぁ、驚くのは、当たり前だろう。
基本、屋敷の当主が連れて来た者に、使用人に頭を下げる者はいない。
まして、お世話になります。なんて。
世話をして当たり前なのだから。
当主の番となれば、それこそ高貴な身分となり、高飛車になってもおかしくはないだが、ハルはいつも、謙虚で礼儀を忘れない。
本当は、高位貴族としての振る舞いを、教えなければならないのだが、、、
両親に言えば、
「ハルはハルらしくいればいい。」
「そうよ。ハルちゃんは、自由に楽しく過ごしてくれればいいわ。ジーク、貴方がしっかりと、公爵家当主として振る舞えばそれでいいのよ。後は、貴方達の子供にきちんと貴族として、育ててれば問題はないわ。」
そう言われて、少しホッとする。
ハルはハルらしく。
そう。
本当にそうだ。
俺の為に、この何もわからない世界に来て、必死に自分に何が出来るか考えて、行動して、そんなハルに何かを強要はしたくない。
自由に、そして俺を、俺だけを愛してくれればいい。
俺の側で笑っていて。
屋敷の中を案内したり、近くの湖を見に行ったりと、ここでの生活をハルは、とても楽しんでいるようだ。
体調もかなり良く、食事もしっかりと取っていて、あまり横になる事もないようで安心した。
明日には、領内の街を案内する予定だ。
ハルは、皆んなに、お土産買わなくちゃと、ウキウキしてる。
早く寝ないと、明日街に行けないぞと、言っても、お土産何がいいかなぁ?とか、俺の腕の中であれこれ言ってるから、少しだけ、濃いキスをしてやる。
すると、ハルはフニャフニャになって、すぐに眠りにつく。
もう、何回かそうして、寝かしつけた事か。。。
この調子で大丈夫なのか?
いつになったら、抱く事が出来るのだろうか?
俺は!いつまで待てが出来るのか。
うーむ、、、ま、まぁ結婚式までは、待てる?いや、待つ!
そろそろヒートが来そうだしな。
ハルから香る匂いが、少しづつ、本当に少しづつ強くなった気がする。
まだ耐えられる。
だが、これ以上強くなれば、抗えない。
ハルも、初めてだから、な。
今は、この薄っすらと匂うハルの香りに包まれて眠りにつく。
あぁ、幸せだ。
ハル・・・早くひとつになりたい。。。
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